<東急・相鉄直通線>日吉・綱島・高田住民から見たメリットとデメリット(2019年版) | 横浜日吉新聞

横浜日吉新聞

【2019年1月版】最速で今から3年9カ月後、遅くとも4年3カ月後の2022年度後半(2022年10月~2023年3月末)に開業するとされている「東急・相鉄直通線」東急新横浜線相鉄新横浜線、日吉~新綱島~新横浜~羽沢横浜国大~相鉄線方面)。日吉・綱島・高田の住民から見たデメリットとメリットをまとめました。

「東急・相鉄直通線」(東急新横浜線・相鉄新横浜線)とは何か?

  • 現在は日吉駅で止まっている目黒線の線路を新横浜方面へ伸ばす工事が続いている(2018年12月)

    首都圏の大手私鉄では唯一、東京都内と直結していない相模鉄道(相鉄)を東京都心へ乗り入れさせるために建設される新たな鉄道。港北区内には新綱島(仮称)と新横浜(仮称)の2駅が設けられる

  • 国(鉄道・運輸機構)や神奈川県、横浜市の税金で建設し、東急電鉄と相鉄がそれぞれ「施設使用料」を支払う形で鉄道を運行するため、運賃に転嫁される可能性が高い
  • 現在は日吉駅で終点となっている東急目黒線の線路を伸ばす形で箕輪町からトンネルを掘り、綱島東や大倉山駅近くなどを通り新横浜駅前へ。新横浜からは環状2号線の地下を通り、神奈川区羽沢の新駅「羽沢横浜国大」へ至り、ここで相鉄線方面から来る「相鉄・JR直通線」とつなげる約10キロの鉄道(地下鉄)
  • 日吉駅と新横浜駅間は「東急新横浜線」、新横浜駅から相鉄線方面は「相鉄新横浜線」という路線名となり、新横浜を境に東急と相鉄がそれぞれ運行を担当する。新横浜駅発着の列車も設けられるが、基本的には相鉄線~東急線の相互直通運転となる。路線名は決まったが、「新綱島」と「新横浜」の駅名は正式に決まっていない
  • 開業予定は2022年度後半(2022年10月~2023年3月末)とされ、開業後は朝ラッシュ時間帯に1時間あたり10本~14本、その他の時間帯は4~6本程度の運行が予定されている。
  • 相鉄線からの列車は東急目黒線・目黒駅や東横線・渋谷駅それぞれへ乗り入れるが、その先の東京メトロ線(副都心線・南北線)や都営三田線へ乗り入れるか否かは正式に発表されていない
  • なお、相鉄線とJR横須賀線・埼京線などと直通運転する「相鉄・JR直通線」は、今年(2019年)12月にも開業する見通しとなっている(参考記事

【デメリット1】マンション・住宅が続々と建ち、公共インフラ不足懸念

  • 日吉駅の混雑悪化も不安材料

    鉄道開通に伴う「大型再開発」(箕輪町2丁目や綱島駅東口)などに誘引され、今後も日吉・綱島の各地で再開発や住宅建設が相次ぐことが予想され、急速な人口増加により公共インフラ(道路、学校、保育所など)が今より不足する可能性が高い。乗り換え駅となる日吉の混雑も不安要素

  • 再開発の活発化により、日吉5~7丁目や箕輪町の一部、綱島東エリアでは、工場集積地だった場所にも住宅建設が相次いでおり、工場地と住宅地が混在する場所が目立っている。居住者にとっては「騒音や臭いで住みづらい環境」、工場側は「周辺住民の苦情により操業しづらい地域」となり、企業のさらなる流出につながる可能性がある
    (参考記事:横浜市の「日吉綱島東部地区まちづくりビジョン」では、「工場の操業環境を保全しながら、住宅との共存を図ります」という目標を掲げており、現時点で課題となっていることが分かる)

【デメリット2】今年始まるトンネル掘削にともなう「地盤沈下」の不安

  • 2019年1月時点で港北区内(箕輪町~綱島東~大倉山~新横浜)のトンネルはほとんど掘られていない。今後、トンネル掘削によって、周辺住宅街で地盤沈下などの影響が出ないとも限らない
  • トンネルを掘ることで地下水の流れが変わるため、地盤が緩くなり、トンネルから少し離れた場所でも影響が出ることもある(参考記事:首都高速道路「横浜北線(きたせん)」における菊名駅近くの鶴見区内における地盤沈下被害

【デメリット3】日吉駅の始発列車が大幅減、綱島駅のバス乗り換えも影響

東急新横浜線(相鉄・東急直通線)の開通後は、日吉駅始発の列車は大幅に減らされる(2018年12月)

  • 現在は日吉駅から発着している「東急目黒線」が新横浜・相鉄線方面へ伸びることになるため、始発列車は大幅に削減され、日吉駅から座っての通勤は今より難しくなる
  • 綱島駅では現在東口から発着しているバス路線のうち、日吉や鶴見方面の路線を中心に新駅「新綱島(仮称)」側のターミナルに移される予定のため、綱島駅からの乗り換えは不便になる
  • 新綱島駅(仮称)利用時の運賃は、安価に抑えられている東急線の運賃水準にいくらかの金額が上乗せされる可能性が高く、移動時に金銭的な負担が増える

【メリット1】新横浜と直結し、新幹線・企業・大型公園・学校・イベントのアクセス容易に

  • 新横浜が日吉や綱島と「同じ沿線」となることで、東海道新幹線への乗り換えや、同地のオフィスへの通勤時に利便性が高まる。また、横浜アリーナや日産スタジアムなどで行われるイベントやスポーツ観戦時も今より便利になる。「新横浜公園」などの公共施設も利用しやすくなる
  • 横浜国立大学の最寄り駅となる「羽沢横浜国大」へは日吉から3駅、新綱島(仮称)から2駅でアクセスが可能に

    横浜国立大学(新横浜の次駅となる新駅「羽沢横浜国大駅」徒歩約10分=参考記事)をはじめ、フェリス女学院大学(相鉄いずみ野線「緑園都市駅」徒歩3分)や慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)(相鉄「湘南台駅」バス15分)、新横浜駅近くに複数位置する専門学校(岩崎学園など)、県立岸根高校(新横浜駅下車徒歩約15分)といった学校へ通いやすくなる

【メリット2】「新横浜線」との分岐駅となる日吉の価値が今より高まる

  • 東急「東横線」(大倉山・菊名方面)と「新横浜線」(新綱島・相鉄線方面)の分岐駅となり、開業時より利用者が大幅に増えている市営地下鉄グリーンラインの乗り換え駅でもある日吉は、現在は通過している特急(Fライナー)の停車駅となる可能性がある(参考記事
  • 日吉周辺の地価上昇が予想され、土地や住宅の売却時には有利となる可能性がある

【メリット3】綱島駅東口は安全に歩けて、買物スポットも充実した街に

  • 綱島駅の東口には高層ツインタワーが建設される計画(「新綱島駅前地区市街地再開発組合」の紹介映像より)

    狭い道路にバスと自動車と歩行者が入り乱れて危険な環境にある綱島駅東口は、駅新設による再開発を機に改善される可能性が高い。東口駅前へ乗り入れるバス路線が減り、綱島街道の道路拡幅(参考記事)も行われる予定

  • 綱島駅の高架下(2019年以降=参考記事)をはじめ、東口駅前の高層ビル(2026年4月以降=参考記事)や新綱島駅の高層ビル(駅開業時に完成予定=参考記事)には、商業施設がそれぞれ設けられる予定のため、駅周辺での買物スポットが大幅に増える。また公共施設である「区民文化センター」(2023年4月以降=参考記事)が新たに設けられ、音楽などの芸術イベント開催も期待される

以上、日吉・綱島・高田住民から見た「東急・相鉄直通線」(東急新横浜線・相鉄新横浜線)の開業にともなうデメリットとメリットをまとめました。

これからの4年間、そして鉄道が開通する4年後に街はどのように変わっているのでしょうか。

【関連記事】

日吉~新綱島~新横浜間は「東急新横浜線」、日吉が東横・目黒線との分岐駅に(2018年12月13日)

<トンネル工事で説明会>新綱島駅の建設は「正念場」、掘進は1日最大14メートル(2018年5月28日)

<相鉄・東急直通線>「綱島トンネル」の掘削は来年、新綱島駅の工事は長期間に(2018年1月22日)

<レポート>横浜の免許所持者が一度は行く「二俣川」、激変する“近未来の沿線”(2018年8月23日、免許取得や更新、免停時などの際に行く免許センターへのアクセスも改善される)

【参考リンク】

相鉄・東急直通線(鉄道・運輸機構)


カテゴリ別記事一覧