35年来の悲願「綱島東口」再開発へ期待、新綱島の高層ビル建設で組合が発足 | 横浜日吉新聞

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綱島東口における30数年来の悲願に向け、新たな一歩を踏み出しました。相鉄・東急直通線の新綱島駅(仮称)上部で28階建ての再開発ビル建設の主体となる「新綱島駅前地区市街地再開発組合」の設立祝賀会が今月(2018年11月)25日に新横浜で開かれ、再開発事業の詳細などが発表されました。

地上28階・地下1階の再開発ビルは2023年3月の完成を目指す(同再開発組合制作の紹介映像より)

再開発組合が2023年3月の完成を目指して計画している再開発ビルは、地上28階・地下1階の高さ約100メートルの建物で、243の住戸を設けるほか、高さ約40メートルの低層棟では1階から3階までに商業施設を誘致。その上部は400席のホールから成る港北区の「区民文化センター」として活用されます。

同ビルの地下では新綱島駅と接続したり、2階部分では隣接して計画されている民間ビルとデッキで結んだりする計画としています。ビルの周辺には、主に日吉や鶴見方面行の路線バスが乗り入れるバスターミナルも整備される予定です。

理事長に就任した池谷(いけたに)完治さん(写真中央)ら地権者らで設立された再開発組合

ビルの建設主体となるのが同地の地権者11人によって今回結成された再開発組合1983(昭和58)年に再開発の議論を始めて以来、35年を経て初めて組合の設立までこぎつけたことになり、「綱島東エリアの悲願」(祝賀会の参加者)である再開発の着手へ向けて大きく前進した格好です。

ただ、理事長に就任した歯科医の池谷(いけたに)完治さんは、「新綱島の計画だけが出来上がれば良いというものではない」と力を込め、「近隣の方も(ビルなどの)事業計画を立案され、綱島街道と綱島駅間の駅前東口再開発も計画されている。それらが途切れることなく続くことで、綱島の街が安心安全で住みやすく、より魅力的なまちになってくれることを祈って、この(新綱島の)計画を進めていきたい」と述べます。

池谷(いけのや)家16代当主で副理事長に就任した池谷道義さん

また、副理事長に就任した池谷(いけのや)家16代当主の池谷道義さんも、過去には大正期から戦前までがラジウム温泉と桃・桜による観光地として栄え、戦後の高度経済成長期には温泉街として栄華を誇ったという綱島の歴史をひも解きながら、「今は“第三次綱島バブル”といえる状態。バブルが崩壊してきた歴史を繰り返さないよう、持続可能な街づくりをしていかなければならない」と気を引き締めます

来賓として設立総会に参加した横浜市の平原敏英副市長は、前職が再開発などを担当する都市整備局長だったこともあり、「初期の頃から新綱島地区や綱島地区に関わらせていただいており、(再開発組合の発足は)個人としても大変喜ばしいこと」と述べる一方、「この(新綱島の)事業がきっかけとなり、綱島駅東口地区、さらには綱島・日吉地区のまちづくりと連帯し、もう少し広域には新横浜との連携も必要になる」との認識を示しました。

計画は新綱島駅上部の約3890平方メートルで行われる(「新綱島駅前地区市街地再開発組合」のパンフレットより)

早くから拓(ひら)けたからこそ、逆に立ち遅れた不便な街になった」(池谷道義さん)ともいわれる綱島。特に駅東口は「地権者の権利調整が進まず、“空白の期間”が長かった」(祝賀会参加者)ことも影響し、綱島街道をはじめとした狭い道路による慢性的な渋滞と、駅周辺の危険な歩行環境といった課題が長年横たわってきました。

相鉄・東急直通線の新駅建設地となったことを契機に動き始めた再開発計画。呼応するように横浜市が綱島・日吉エリアを街づくりの拠点地区に指定し、東急電鉄も新綱島駅や新横浜駅を拠点整備の重要エリアとして位置付けるなど、新たな街づくりを後押しする動きも目立っています。

今回の「新綱島駅前地区」をきっかけに、駅東口全体を見据えた街づくりが本格的に動き出すのか、注目が集まります。

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【参考リンク】

綱島駅周辺地区の再開発について(横浜市都市整備局)


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