悲願の“箱根復活”へ向けて走り続けるチームをあと一歩バックアップしたいところです。
慶應義塾大学の体育会「競走部」は、2025年「箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)」の本大会出場を目指し、練習環境を確保するうえで不足している活動資金を補うため、今月(2024年)7月31日(水)までクラウドファンディングを通じた支援を呼びかけています。
箱根駅伝はもともと今から1世紀以上前の1920(大正9)年に当時の東京高等師範学校(現在の筑波大学)と明治大学、早稲田大学、慶應大学のわずか4校でスタートしたものでした。
慶應は1932(昭和7)年の第13回大会で総合優勝するなど創始大学としてふさわしい実力を備えていましたが、その後に参入したライバル大学が力を付けてきた戦後は成績が停滞。
強化は自主努力と周辺が頼り
慶應ではスポーツ推薦枠などで入学する手段がほぼ無いことから有力選手の獲得が難しく、すべての部活動に“自主性”が求められる気風もあって、部の強化は指導者と学生による努力とOB・OGや教員など周辺関係者の支援が頼りとなっています。
そのため、箱根駅伝へ向けて学校をあげた支援体制を築く他大学とは実力や環境面で差を付けられており、1994(平成6)年に本戦へ出場して以降、30年間にわたって予選を突破できていない状態です。
それでも競走部の創部100年を迎えた2017(平成29)年には「慶應箱根駅伝プロジェクト」が立ち上がり、実績豊富な保科光作コーチ(日本体育大学出身、日清食品グループ陸上競技部元コーチ)を招いたり、大学内の教員が持つ知見で部の強化をサポートしたりと、“復活”へ向けて徐々に支援体制が築かれつつあります。
一方で部の活動資金を自らで確保しなければならない環境は変わっていないため、一昨年からクラウドファンディングを通じて幅広い支援を呼びかけてきました。
部主将のパリ五輪出場も刺激に
昨年(2023年)10月に臨んだ予選会では、例年より3校多い13の本戦出場枠(シード校10校を含め計23校が出場)を争いましたが、総合22位の結果となり、予選突破の壁はまだ越えられていません。
ただ、前年(26位)と比べて約18分のタイム短縮を図れたうえ、昨年出走した12人中11人が3年生以下だったため現在も戦力を維持できている点は強みで、「チーム全体の経験値を格段に上げることができた」(同部)。
そして昨年の9月入試で加わり、1年生ながらエース級の活躍を見せた成沢翔瑛選手(環境情報学部)ら新たな戦力もチームに好影響をもたらしているといいます。
また、競走部の主将をつとめる豊田兼選手(環境情報学部4年)が間もなく開幕する「パリオリンピック」の男子400メートルハードルに出場するなど、部全体で「刺激し合える環境」(同部)となっていることもプラスに働きそうです。
強化合宿へ、目標達成にあと一歩
今年のクラウドファンディングは800万円を集めることを目標に6月24日に始めましたが、7月25日時点で目標額には達しておらず、締切の7月31日(水)まで残り時間が少なくなってきました。
今回は寄付者へのギフトとして「卓上ミニのぼり」や「競走部オリジナルポロシャツ」、「競走部オリジナルパーカー」といったグッズも新たに作成し、感謝の気持ちを形で伝える取り組みも始めています。
「夏合宿になるべく多くの選手をできるだけ長く連れて行き、徹底的に鍛え上げることが箱根駅伝予選会突破への重要な鍵。チームを底上げしてくれるための、最後の最大の一押し」(同部)だという充実した合宿の実現に向けて支援を呼びかけます。
箱根駅伝を創始した大学の一角として、107年という長い歴史を持つ慶應競走部の復活へ向けた挑戦が続きます。
【関連記事】
・慶應競走部が「箱根駅伝」予選突破に挑戦、地域貢献で陸上イベントも開催(2023年10月14日、地域イベントも実施)
【参考リンク】
・2024年6月24日~7月31日実施「第3章 みなさまと、ともに箱根へ|慶應箱根駅伝プロジェクト」(慶應義塾体育会競走部、クラウドファンディング「READYFOR(レディーフォー)」)
・慶應箱根駅伝プロジェクト(箱根駅伝の本戦出場に向けた取り組み状況など)
・箱根駅伝公式サイト「歴代優勝校」の紹介(第1回大会から第100回大会までの全成績を掲載、第13回大会など戦前を中心に慶應が活躍、現時点で最終の本戦出場は1994年の第70回大会)