人口が8万人に迫る日吉地区で、“7年ぶり”となる新リーダーが誕生しました。
日吉地区の自治会町内会からなる「日吉地区連合町内会」では、今年(2023年)4月から日吉本町西町会会長の青博孝(あお ひろたか)さんが、2016(平成28)年度から会長を務めた小島清前会長(箕輪町町内会現会長)の後を継ぎ、新会長に就任。
日吉本町・日吉・箕輪町・下田町の4つの街を合わせて約3万9500世帯、約7万8300人(2023年5月末現在)が住む日吉の街の「新たな街の顔」としての活動をスタートしています。
青さんは、三重県津市(旧河芸町久知野)生まれ・津市育ち。津市立北立誠(きたりっせい)小学校、市立橋北(きょうほく)中学校、三重県立津工業高校電気科に学び、愛知県名古屋市内にあった4年制大学に入学するも、「ふるさとの同級生たちと同様に、都会へ出たいという気持ちがあり、川崎市幸区に上京しました」と、大学を2年で辞め、“社会に出たい”気持ちから、神奈川県に移り住んだ当時を振り返ります。
高校時代から電気について学び、配電盤の設計を学んでいたこともあり、電気関連の会社に就職するも、「自分で会社を経営してみたいと思い、独立しました」と、1971(昭和46)年12月に24歳で向栄電気工業株式会社(日吉本町3)を設立し社長に就任。
以降、半世紀超にわたり、日吉本町を拠点に住宅やビル、工場やプラントなどの電気工事を請け負い、また神奈川県や横浜市関連の入札による事業も手掛けるなど、「電気は数学。電気理論や計算などを駆使し、数々の事業を手掛けてきました」と、仕事に追われ忙しい日々だったという経営者としての半生を振り返ります。
電気工事業の発展に尽力、業界団体の県理事長としても活躍
高度成長期からバブル経済期、また現在にいたるまで、人材の獲得や育成が難しいともいわれる電気工事事業者としての業界の発展にも尽力した青さんは、神奈川県電気工事工業組合(中区三吉町、現顧問・理事)でも活躍。
2005(平成17)年から2012(同24)年まで副理事長、2013(同25)年度から2020年度までは理事長として、全国組織の役員も務めるなど、業界全体の地域の代表者としても、“日本狭し”と飛び回ったことについても言及します。
日吉本町駅に「いきいき会館」建設の想い出も
青さんが川崎市から引っ越してきた頃、昭和40年代の日吉の街は、「まだ下水道もなく、街には側溝もあり、溝(どぶ)の掃除なども地域ぐるみで行っていました。街には、お互いが“助け合っていく”という雰囲気に満ちていました」と、地域での活動を通じて“自然に”日吉の街に溶け込むことができたという青さん。
日吉本町5~6丁目と同町2~4丁目の一部をエリアとする大規模自治会・日吉本町西町会での活動も仕事と両立。
4期務めたという副会長時代を経て、2016(平成28)年から会長に就任し、町内会内外の地域まちづくりに尽力してきました。
町内会活動で特に印象に残ったのが、横浜市営地下鉄グリーンライン日吉本町駅(日吉本町5)が完成した2008(同20)年3月に、日吉本町西町会会館「いきいき会館」が完成したこと。
公共施設が少ないともいえるこの日吉エリアに「駅ができることで、会館を作りたいという話が持ち上がりました。町内会を法人化したことが大変でした」と、会館を建設した際の苦労を振り返ります。
「地域の人々がボランティア精神を発揮しました」(青さん)という建設にまつわる苦労をいまも感じているといい、「町内会館としてはもちろん、多世代交流施設として週2回、一般の利用者への開放も行っています」と、現在も、水曜と日曜の9時から17時まで、多目的ホールを自由に使える「開放デー」を設定。
同会館が広く「地域貢献施設」としての役割を、現在も果たしていると語ります。
日吉地区や港北区をより“活気”ある地域にとの願い
青さんは町内会活動のほかにも、2013年から、保護司法で定められた犯罪をした人の改善や更生を助ける「保護司」としての活動も続けています。
「特に薬物の犯罪などは、“遊びのつもりで”始めてしまうケースもあるようです。学校などでその危険性を教えることはとても大切なことですね」と、“人”として生きる道を日々の活動を通じて伝えながら、“犯罪がない”社会の実現に向けても日々尽力しています。

「日吉本町西町会へようこそ!」ホームページ(写真・リンク)も2019年に新たに立ち上げ、街の情報発信にも力を入れている
日吉地区全体のリーダーとして会長職を担う中、「今後、なかなか日吉地区に(公共施設を)誘致するということは難しいかもしれないですね」と、「いきいき会館」を建設できたことを“奇跡的”とも感じているとのこと。
特に、新しいマンションなどでの自治会・町内会への加入を「強制」はできないこともあり、「新しい住民の皆さんが、地域まちづくりに関心を持ってもらえるのか。“街づくりに入ってきてもらう”ためにもと、その呼び掛けは続けていきたい」と、日吉本町西町会でも、2019(平成31)年か立ち上げたというホームページや会報などによる情報発信で、若い世代の地域活動への参画を呼びかけていると語ります。
日吉駅前の商店街などについても「地元の企業が減ってしまい、大手企業のテナントが増えている状況もあり、地域まちづくりに“核”となるものがあるのか、非常に難しいとも感じています」と、大型再開発が進む綱島エリアなどと比較しての日吉地区の活気を生み出すことができるのかにも心を砕く日々とのこと。
町内会未加入の新築の集合住宅などから排出される「ごみ」問題など、生活レベルでの問題は山積しているともいい、「地域で起きている問題について、意見や議論をできる機会もあれば。子育て支援なども町内会単位では実践していますが、日吉や港北区としても具体的なその方法についても考えながら、より新しい日吉の街の理想像についても考えていきたい」と青さんは語ります。
「横浜市立駒林小学校(日吉本町2)、市立日吉台西中学校(日吉本町5)の創立10周年時にもPTA会長として活動し、駒林サッカークラブ(駒林SC)の運営にも関わった時期がありました」と、青さんはこれまでの歩みを振り返り、それらの経験も活かしつつ、人口8万人規模となった日吉周辺地区の街づくりの未来を見据えての活動に邁進していく考えです。
【関連記事】
・港北区「連合町内会」初の女性会長・関さんが就任、日吉地区は青さんが新会長に(2023年4月26日)
・大規模町内会「日吉本町西町会」がサイト開設、ネットでの情報発信進む(2019年7月9日)
・<レポート>日吉唯一の夏祭りは「校庭シアター」、駒林小で初の“屋外”映画上映会(2022年7月25日)
・全国的に珍しい巨大な日吉の「自治会・町内会連合会」、四半世紀ぶりに新会長(2016年6月18日)※前会長・小島清さん就任時の記事。当時と比べて人口が大幅に増えている
・男女プロ選手を多数輩出、伝統の「駒林サッカークラブ」がサイトを刷新(2017年5月10日)
【参考リンク】
・日吉地区連合町内会の紹介(港北区連合町内会)
・日吉地区連合町内会について(日吉地区連合町内会)
・人事発表・組織発表(同)
・日吉本町西町会「いきいき会館」(日吉本町駅併設)の案内(同)