全国的に珍しい巨大な日吉の「自治会・町内会連合会」、四半世紀ぶりに新会長 | 横浜日吉新聞

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2016年4月から日吉町内会連合会の会長に就任した箕輪町町内会会長の小島清さん

2016年4月から日吉町内会連合会の会長に就任した小島清さん(箕輪町町内会会長兼務)、二代・半世紀以上にわたって箕輪町で商売を続けた後、「少しでも地域の役に立ちたい」と町内会活動を続けている

4つの街を合わせて3万5000世帯・7万1500人が住む日吉。住民の自主組織として各地区に10以上の自治会や町内会があり、それらを束ねているのが「日吉地区連合町内会」です。この連合町内会で26年ぶりに会長が代わりました。相鉄・東急電鉄の新鉄道の建設を契機に大きな再開発が進み、街の姿が変わろうとするなかで、日吉の自治会・町内会が果たす役割も大きくなっています。今年(2016年)4月から連合会の会長に就任した小島清さんに話を聞きました。

現在、箕輪町町内会でも会長をつとめる小島清さんは、かつて綱島街道沿いの箕輪町1丁目で中華料理店「梅ヶ枝」を親子二代で約60年にわたって経営。「半世紀以上もの間、地域の方にお世話になってきましたので、60歳での引退後は何かの形で恩返しをしなければと思っていました」と町内会活動に携わったきっかけを話します。

1つの町内会のまとまりが7万人以上の人口を抱えるケースは全国的に珍しく、港北区内ではもちろん最大規模。1つの自治体になったとしても不思議ではない規模の巨大組織といえます。

連合会の役割には、港北区や横浜市など行政と住民との橋渡しがあります。「日吉全体でまとまって動いているので規模が大きく、区内で一定の存在感は出せるのですが、巨大すぎて小回りが利かないのは課題かもしれません」と話します。

再開発後の日吉は「なかなか想像できない」

旧野村総研のデータセンター跡地には小学校が建てられるため、これから解体作業が行われる

旧野村総研のデータセンター跡地には小学校が建てられるため、これから解体作業が行われる

現在、日吉の街が抱える“希望と課題”の一つが再開発です。「開発を機に公共施設や買物場所が増えるなど利便性が向上するとの期待はあるものの、人口がさらに増えることになり、新しい小学校もでき、5年後はどんな姿になっているのか、なかなか想像がつかない」と明かします。

再開発が行われているのは、すべて小島さんの地元である箕輪町です。会長をつとめる地元町内会では、アピタ日吉店の閉店にともない、買物で困る人のために付近の商店に生鮮品の販売強化を呼び掛けたり、ネットスーパーの活用講座を開いたり、影響を最小限にすべく積極的に活動してきました。「町内会としてやれることはやりましたが、不便であることには変わりないので、再開発が完了するのを期待するばかりです」。

加えて、町内会・自治会が担う大きな役割が災害時の対策です。30年以内に震度6程度の地震が起きる確率が8割以上と予測されるなかで、常時備えておく必要性が一段と高まっています。

各自治会・町内会では震災に備えさまざまな準備を行っている

各自治会・町内会では震災に備えさまざまな準備を行っている

箕輪町では2011年の東日本大震災時には区内唯一の避難所(防災拠点)を開設し、昨年(2015年)は2000人以上の規模で大型防災訓練も行った経験も持ちます。

「日吉の町内会や自治会では、どこも小学校校区ごとに防災訓練を行って備えていますが、いざ震災が起こったら想定外のことが多々でてくる可能性があります。もし、倒壊する家屋が予想以上に多く、数千人の避難者が小学校に殺到したらどうすればいいのか。歩行に不自由な高齢者や障がい者の人をどうやって救助に行くか。課題は山積みです」といい、実践的な防災訓練の重要性を強調します。

「震災に備える非常用食料や災害対策は、みなさんに支払っていただいた町内会や自治会費でまかなっています。ごみ収集場所の管理も同様です。未加入の方はその点を考えていただければと思っています」。

子どもの安全対策に注力、見守り活動も

綱島街道は多くの小中学生の通学路になっている

綱島街道は多くの小中学生の通学路になっている

今、小島さんがもっとも気にかけているのが子どもの安全だといいます。特に鉄道建設や再開発工事では、大型トラックの往来も増えるだけに「小中学生の通学時間帯は気になって仕方がない」と、自ら蛍光色のベストを着て子どもの通学に同行することもあります。

「日吉の町内会や自治会では、子どもの見守り活動を行っているところが目立ちます。地域のボランティアの人々が雨の日も雪の日も毎日毎日、通学路に立っている方が多い。本当に頭が下がるばかりです」。

町内会活動と並行して10数年前からは、犯罪を起こした成人や青少年の立ち直りを支援する保護司としても活動している小島さん。「真面目といえる人間ではないので、自分なんかで本当にいいのかとの迷いがありましたが……。それだけに相手と同じ目線で聴いたり話したりすることは心がけました。もっとも最近は日吉での犯罪件数は減っていて、保護司としての活動は少なくなる傾向にあります」。

7万人を超える日吉の住民組織を代表する重責を担うだけに、「一つひとつ、すべきことを確実にやっていきたい」と丁寧な活動を心掛けます。「住民のみなさんには、地域の自治会や町内会活動にぜひ手を貸していただけるとありがたいです」と積極的な参加と協力を呼び掛けました。

<12の自治会・町内会から成る「日吉連合町内会」とは>

港北区内の連合町内会のエリア図、日吉はエリア・人口ともに巨大だ(同連合会ホームページより)

港北区内の連合町内会のエリア図、日吉はエリア・人口ともに巨大だ(同連合会ホームページより)

「日吉連合町内会」は、日吉本町東町会(日吉金蔵寺より東側)、日吉本町西町会(日吉金蔵寺より西側)、日吉町自治会(常盤台・日吉台・宮前を除く日吉町)、日吉台町内会、日吉町宮前自治会(日吉5~7丁目)、常盤会自治会(日吉1丁目と下田2丁目の境界付近)、下田町自治会(常盤会・サンヴァリエを除く)、サンヴァリエ日吉自治会、コンフォール南日吉自治会、箕輪町町内会、日吉第7コーポ自治会、さかえ住宅自治会が集まり、12の自治会・町内会が連合となった団体

エリア人口が7万1500人超におよぶ巨大な自治組織は全国でも異例。2016年3月までは、日吉本町東町会の前会長で日吉商店街協同組合の理事長をつとめる薄井芳夫さん(普通部通り「ウスヰカメラ」創業者)が長年にわたって”日吉の顔”として率いてきたものの、2015年度限りで自治会・町内会活動からは勇退。副会長として支えた小島清さんが後継者として会長に就任しました。

【関連記事】

多発する災害や地震、いざという時の頼りは“隣近所”の「町内会・自治会」(2015年9月12日)

<日吉の5地区>福祉面と防災対策の充実へ、住民の自主的な取り組みを報告(2016年2月7日、町内会などの取り組み報告)

【参考リンク】

港北区連合町内会(日吉や綱島、高田など13の連合会で組織)

箕輪町町内会(小島清さんが会長)


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