<日吉と縁深い2社>伊藤忠商事が「ファミマ」を完全子会社化、非上場に

横浜日吉新聞

伊藤忠商事は傘下のコンビニエンスストア「ファミリーマート」を完全子会社とする方針を今月(2020年)7月8日に発表しました。ファミリーマートは日吉エリアにコンビニ数では2番目となる7店舗を展開しており、伊藤忠商事は2018年3月から日吉駅近くの箕輪町1丁目に若手の社員寮を設けています。

ファミリーマート店舗(日吉)

1973(昭和48)年に西武百貨店などの「セゾングループ」傘下にあった西友が埼玉県狭山市に1号店を出店したことに始まるファミリーマートは、1998(平成10)年に伊藤忠商事が子会社を通じて株式の30%弱を取得したことを契機として経営に参画していました。

伊藤忠商事は現在、子会社の所有分を合わせてファミリーマート株の50%超を持っていますが、これを株式の公開買い付け(TOB)ですべての株を買い取って完全子会社としたうえ、ファミリーマートの上場を廃止する計画で、買い付け価格は1株2300円。

株式会社ファミリーマートの株主の状況(同社「第39期 報告書」より)

完全子会社化の理由について伊藤忠商事は、ファミリーマートの一般株主の利益にとらわれず、迅速な意思決定を行うためだといい、グループの経営資源を使って物流コストの削減などを目指す考え。

たとえば、人(ヒト)型AIの活用による店舗業務の効率化や、伊藤忠商事グループを横断するデータ活用プラットフォームを活用し、ファミリーマートが持つ購買データなどと連携することにより、ビジネスモデルを高収益化させる構想を描きます。

日吉駅近くの箕輪町1丁目にある伊藤忠商事の若手社員寮

今回の完全子会社化に際しては、伊藤忠商事と協業関係にあるJA全農(全国農業協同組合連合会)と、伊藤忠グループのメインバンクの1つである農林中金(農林中央金庫)の2者がファミリーマート株の計4.9%を取得して資本参加し、JA全農は商品供給面で、農林中金は金融サービスの提供などでビジネス構築を行っていくとしています。

日吉在住の流通ジャーナリストで、コンビニ事情に詳しい渡辺広明さんは「商社である伊藤忠商事はエンドユーザー(実際の購入者)との繋がりが薄いため、日本でもトップクラスの消費者接点であるファミリーマートを子会社化することで、その部分の解消に期待が持てる」と評価。また、これまでは必ずしも高いとは言えなかった両社の相乗効果も、海外展開デジタルトランスフォーメーション(「DX」=ITで良い方向へ変化させること)面での取り組みが加速するとの見方を示します。

am/pm・サークルK・サンクスを統合した「ファミマ」

ファミリーマートは今年5月末時点で、国内に1万6613店、東アジアを中心とした海外に8032店をそれぞれ出店。

日吉エリアでもおなじみだったコンビニ「サークルK」と「サンクス」はいずれもファミリーマートに転換された

2009年には、日吉駅近くに1号店を出店していたコンビニチェーン「am/pm(エーエム・ピーエム)」を買収して統合し、2016年になるとコンビニ「サークルK」と「サンクス」を展開していたユニーグループと合併して両ブランドを統合しており、店舗数ではセブンイレブンに次ぐ業界2位となっています。

特に日吉エリアでファミリーマートの店舗が目立ち、旧am/pmやサークルK、サンクスからの転換もあって、セブンイレブンの10店に次ぐ7店を展開中です。

一方、ファミリーマートでは、ユニーグループと合併後に総合スーパー「アピタ」「ピアゴ」の部門を2019年に売却。今年2月には全社員の7%に当たる1025人の社員が早期退職するなど、組織のスリム化が図られていました。

また、今年春以降は新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けており、ロードサイド立地店舗の売上は堅調に推移する一方で、「外出自粛に伴う客数減により、特にオフィス立地は大きな影響を受け、営業収益は減収」(2021年2月期「第1四半期 決算説明会」資料)しています。

伊藤忠商事は、ファミリーマートの業績に落ち込みが見られるなかで「一刻も早く対象者(ファミリーマート)を非公開化」(発表資料)したうえで、グループとしての「全体最適の観点で、制約のない経営資源の再配分を行わなければ、対象者の企業価値がますます毀損されることが懸念される」(同)などとして公開買い付けに踏み切ったとのことです。

日吉周辺の「ファミリーマート」店舗一覧

  • 日吉駅前店(日吉本町1、駅前中央通り)
  • 日吉二丁目店(日吉2、駅前サンロード、旧「サークルK」)
  • 日吉本町店(日吉本町1、駅前中央通り、旧「am/pm」1号店)
  • 箕輪町一丁目店(箕輪町1、綱島街道沿い)
  • 日吉本町駅前店(日吉本町3、日吉本町駅正面)
  • アスロード港北下田町店(下田町5、元「サンクス」、旧「ファミリーマート横浜下田町5丁目店」)
  • 日吉六丁目店(日吉6、日吉七郵便局近く)
  • 横浜綱島東店(綱島東2、綱島街道沿い、旧「サークルK」)
  • 高田東一丁目店(高田東1、日吉元石川=荏田綱島線沿い)
  • 樽町二丁目店(樽町2、大綱橋たもと)

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【参考リンク】

株式会社ファミリーマート株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせPDF、伊藤忠商事株式会社、2020年7月8日)

親会社である伊藤忠商事株式会社の子会社であるリテールインベストメントカンパニー合同会社による当社株券等に対する公開買付けに係る意見表明に関するお知らせ(株式会社ファミリーマート、2020年7月8日)


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