やはり「アピタ」はドンキに飲み込まれることになりました。ユニー・ファミリーマートホールディングス(ユニー・ファミマHD)は、今月(2018年10月)11日にユニーの全株式をドンキホーテホールディングス(ドンキHD)に売却することを発表しました。日吉・綱島はドンキHDとユニーの店舗が近接する「希少なケース」として専門家も注目するエリアだけに、今後の動向に注目が集まります。

今回の買収により、伊藤忠商事を頂点とした“ファミマ・ドンキ・ユニー”の新たな流通グループが形作られる。一方、スーパー「長崎屋」のように、ユニーの独自店舗がほとんどなくなり、“ドンキ化”されていく可能性も
今回の売却では、ユニー・ファミマHDが子会社であるユニーをドンキHDへ売却する一方、ユニー・ファミマHDはドンキHDの株式約20%を取得してグループ化。
ユニー・ファミマHDの親会社である伊藤忠商事を頂点に、“ファミマ・ドンキ・ユニー”の新たな流通グループを形作る考えです。
ユニー・ファミマHDは、ユニーを手放したことで、今後は社名を変更する方針だといい、子会社にユニーが加わったドンキHDも海外展開を見据え、2月から「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」を新社名とし、社名からは“ドンキ”を消す予定とのこと。
ドンキHDは、今年2月からユニーが運営するスーパー「アピタ」や「ピアゴ」をドンキとの共同店舗化する取り組みを行っており、「店舗形態を転換したユニー店舗の確実な成長を確認することができた」(公表資料)と評価。子会社化を機に今後5年かけてユニーの100店舗を共同店化する考えを示しています。
ユニーの店舗は、今年10月1日現在でアピタなど全国190店を展開しており、5年後には半分以上がドンキとの共同店化されることになります。
“メガドンキユニー横浜綱島”にならぬよう願う
ドンキHDが完全にユニーを傘下に収め、店舗の“ドンキ化”を進めていく方向性が示されるなか、箕輪町2丁目の「ドン・キホーテ日吉店」から至近距離にある北綱島交差点付近で、ユニーが総合スーパー「アピタテラス横浜綱島」(綱島東4=綱島SST)を今年3月にオープンしたばかりの日吉・綱島エリアでの対応に注目が集まります。
日吉在住の流通ジャーナリストで、旧アピタ日吉店の閉店時にはドンキ日吉店の影響を専門誌で指摘したこともある渡辺広明さんは、先週木曜日に記者会見を行ったドンキHDの大原孝治CEOの発言について、「ドンキとユニー・アピタ・ピアゴ店舗は、現状で“カニバリ(カニバリゼーション=「共食い」現象)は無し”と判断したことを語っていた」と振り返ります。
そのうえで、「日吉と綱島は、ユニー系とドンキの2店舗が隣接する住宅街としては希少なケースですが、アピタテラスは多頻度来店型の食を中心とする店舗で、ドン・キホーテはアミューズメント型時短ディスカウントとして、現状ではきっちり“切り分け”が出来ているのは確か」との見方を示します。
渡辺さんは「2つの店舗が共存出来れば、5年後には全国でも珍しいケースになり、その動向に目が離せない」と専門家の視点からコメントする一方、両店を頻繁に利用する地元住民の立場として、「アピタテラス横浜綱島が“メガドンキユニー横浜綱島”に看板変えされないことを切に願わずにはいられません」と思いを漏らしました。
日吉では、伊藤忠商事の将来を担う若手社員が住む「日吉寮」が今年3月に箕輪町1丁目で完成し、加えてファミリーマートはセブンイレブンに迫る7店を展開するなど、今回生まれた新たな流通グループ内のいずれの企業とも関わりがあるだけに、方針次第では街全体が影響を受けることになりそうです。
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・<ドンキがユニーに40%出資>2社店舗が並ぶ日吉・綱島では将来の“統合”に不安(2017年8月26日)
・アピタテラス横浜綱島が正式開店、「多頻度来店型」のショッピングセンター目指す(2018年3月30日、ユニー社長や同店店長がドン・キホーテとの関係についても言及)
・“ドンキ・ユニー”1号店は大口駅近くに2/23(金)オープン、午前2時まで無休営業(新横浜新聞~しんよこ新聞、2018年2月2日、ドンキとユニー共同店化の第一号店)
・学生ハイツ跡地に「伊藤忠商事日吉寮」が完成、独身男性社員向けに7階建て361室(2018年3月22日、日吉には伊藤忠商事の拠点もある)
【参考リンク】