日吉・綱島に最悪のシナリオは「川崎直下地震」、今から何をどう備えるべきか

横浜日吉新聞
神奈川県ではこれまで多数の地震が起こっている(政府地震本部)

神奈川県ではこれまで多数の地震が起こっている(政府地震本部)

2016年4月14日(木)から16日(土)にかけて大地震が熊本県で発生し、活断層が動いたことで他の地域にも波及するのではないかとの懸念が全国で広がっています。横浜や川崎市内には現在のところ「活断層は確認されていない」と言われていますが、未知の活断層がないとも限りませんし、首都圏に幾つか存在する活断層が動いた時点で、横浜や川崎に大きな被害をもたらすことが考えられます。

国が発表している「30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」は、横浜市役所の場所が78%でトップ。地震が起きない確率は22%しかありません。ちなみに千葉市役所は73%、東京都庁では46%です。横浜に大きな地震が来ない、ということは考えづらい状況です。いざ大きな地震が起きた時、われわれは何をすればいいのでしょうか。この機会に考えてみました。

201X年XX月XX日、首都直下型地震が発生したと仮定してみます。

川崎市直下型地震の震度予測地図(朝日新聞より)

川崎市直下地震の震度予測地図、日吉や綱島一帯はほぼ震度6強となり、一部で震度7となる場所も(朝日新聞より)

「首都圏直下型」といってもさまざまなパターンがあります。日吉や綱島の場合、「横浜市直下型(マグニチュード6.8)」では震度が6弱~震度6強となるのに対し、「川崎市直下型(マグニチュード7.3)」では、ほぼ全域で震度が6強となり、場所によっては震度7になると予測されています。川崎市直下型では被害がより大きくなるおそれがあり、日吉・綱島の周辺住民にとっては、もっとも避けたい地震です。

そして、日吉や綱島、高田など日吉周辺で見た場合、日吉本町2丁目の駒林小学校に置かれた震度計では震度が高くなる傾向が見られます。一概には言えませんが、日吉駅の周辺では、揺れが大きくなる可能性があります。また、綱島街道沿いでは液状化のおそれがあり、がけ地の多い日吉周辺では土砂災害の危険性もあります。

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揺れている1~2分間をとにかく耐えて生き残る

「備える。かわさき」より

震度6以上になると大きな被害が出る(「備える。かわさき」より)

まず、地震発生後、われわれが第1にすべきは大きな揺れに耐えて命を守ることです。直下型では、緊急地震速報が流れる前に揺れることが予想されますので、とっさの判断が迫られます。

とにかく、この1~2分間を耐えてケガなく“生き残る”ことがもっとも大事です。建物が倒壊したり、家具が倒れたりして下敷きになると、地震発生後はすぐに救助にかけつけてもらうことは難しい状況になるからです。そもそも、救助の電話さえできない可能性もあります。

日吉(箕輪町1)と綱島(綱島西3)、高田(高田西2)にはそれぞれ港北消防署の出張所が置かれ、日吉と高田には救急隊(救急車)や救助・消防隊(消防車)があり、綱島は救急隊(救急車)がないものの、レスキュー隊(特別救助隊)が置かれています。

日吉駅に近い川崎市内の場合、幸区は幸消防署の「加瀬出張所」が南加瀬4丁目にあり、中原区は井田中ノ町に「井田出張所」が置かれています。いずれも救助・消防隊(消防車)と救急隊(救急車)が配備されています。

横浜市消防局の救急車(横浜市消防局資料より)

救急車の数は限られているため、震災時に利用することは難しい可能性が高い(横浜市消防局資料より)

また、各地域には消防団も組織されており、港北区は日吉が「第5分団」(1~6班)、綱島は「第4分団」の1~2班、高田が「第6分団」の1~2班が担当となり、中原区は木月や井田地区が「住吉分団木月班」、幸区の南加瀬など日吉地区は「第4分団」という形で受け持ちが決まっており、消防車(ポンプ車)も持っています。

しかし、周辺で何件もの救助依頼や火災の消火依頼があった場合、消防署や消防団だけですべてに対応ができるわけではありません。地震による建物の倒壊や火災で道路が寸断されることも考えられ、現場へたどり着けないこともあるでしょう。消防団は住民の自主組織のため、自らが被災した場合は出動自体が困難になるかもしれません。

地震が起きてから揺れがおさまるまでの1~2分間、とにかく自らの力で耐え、何とか生き抜くしかないということが言えます。

地震が起きた後、どこへ避難すればいいのか

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すぐに避難するのではなく、まずは状況把握を(「備える。かわさき」より)

大きな揺れがおさまった後、震度6以上の地震だと家具などが転倒したり、窓ガラスが割れたり、家の中はめちゃくちゃになっているはずです。

東日本大震災時の日吉がそうでしたが、長時間の停電が起こる可能性も高く、夜の地震だと辺り一面が真っ暗の中で外へ逃げることが求められます。(ただし、マンションなどで建物自体が安全である場合は、無理して外へ出る必要はありません。外のほうが危険なこともあります)

ようやく外へ出られたとしても、付近の壁が崩れたり、電柱が倒れたりしているかもしれません。とにかく近くの公園や空地、学校など近所の「広い場所」へ向かうことが基本です。

自宅が倒壊するなどして、家に戻ることが困難であったり、危険性が疑われる場合は「地域防災拠点」と呼ばれる避難場所(避難所)へ移動することになります。

避難する際は

避難する際はブレーカーやガス元栓の確認と戸締りを(「備える。かわさき」より)

避難所は、各地区ごとに指定されており、日吉や綱島、高田の場合は最寄りの公立小中学校が該当します。このうち日吉南小学校(日吉本町4)や下田小学校(下田町4)、綱島東小学校(綱島東3)、高田中学校(高田町2439)は医療救護隊が集まる場所となっており、ここへ集まった医師や看護師らは、被害状況に応じて各避難場所へ派遣されることになっています。川崎市内も公立小中学校が避難場所となります。

日吉の街は川崎市と接しているため、たとえば、日吉6丁目住民の避難場所である矢上小学校(日吉3)や日吉台小学校(日吉本町1)へ歩いていくよりも、南加瀬小学校(南加瀬4)のほうが近い地域もありますし、中原区の井田2丁目や高津区の蟹ヶ谷地区などでは、下田小学校のほうが近いかもしれません。市の境界近くに住んでいる人は、行政区分にとらわれず、もう一つの避難場所を覚えておいたほうがいいでしょう。

日吉や綱島、高田にある公立小中学校や、川崎市内の学校施設はすべて耐震化されているため、大地震で倒壊するようなことはないとみられますが、万が一、火災や建物損傷などで避難場所が使えない事態になった場合は、「広域避難場所」へ向かうことになります。

日吉の周辺では、慶應義塾大学日吉キャンパス(日吉4)と大型団地の「コンフォール南日吉」(日吉本町4)一帯、高田小学校(高田町)一帯の3カ所が広域避難場所として指定されています。川崎市では、元住吉駅近くにある「川崎市中原平和公園」(木月住吉町)が該当します。

避難所は全員を収容できません、自助が基本です

地域の小中学校を使った防災拠点の役割と機能(横浜市資料より)

地域の小中学校を使った防災拠点の役割と機能(横浜市資料より)

避難所は、普段は小学校や中学校として使われていますが、地域の防災拠点となる場所ですから、災害用の食料を備蓄し、校庭の地下タンクには飲料水も貯めており、「いざ」という時のために、さまざまな防災用の資機材が防災倉庫などに置かれています。

ただし、こうした備蓄の食料や飲料水には限りがありますし、避難生活をおくるために体育館や教室などを使うとしても、1カ所あたり1000人も収容できれば良いほうです。たとえば、日吉の人口は7万1500人に対し、地域の防災拠点は5つの小学校だけですから、単純計算で1校あたり1万4300人の“面倒を見る”ということになります。

防災拠点を担うのは、各地域の自治会や町内会が中心ですが、1万人が避難所に殺到しても対応ができません。綱島や高田、日吉に近い川崎の地域でもこれは同様です。そもそも、住民全員を受け入れるということ自体が無理なのです。

たとえ日吉にある2つの中学校を開放したり、慶應大学日吉キャンパスなどの広域避難場所を使ったとしても限りがあります。特に大学の場合は、数千人におよぶ学生の安全確保を行うことが先決になってきます。日吉の場合、慶應大学や高校、日本大学高校・中学、慶應普通部などを合わせ、時期によっては首都圏各地から数千から1万人以上が通っており、学校当局としては、学生や生徒の安全を最優先に考えなければなりません。住民の避難に対応できるだけの余裕はないのが現状です。

そのため、住民に求められているのが「自助(自らで助ける)」という考え方です。

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家庭ごとに地震に備えてさまざまな準備をしておく必要がある(「備える。かわさき」より)

建物の耐震化でつぶれない家にし、家具などは固定して事故を防ぎ、各家庭で最低3日分の食料備蓄を行うことで、避難所などの「公助(公的な助け)」にできるだけ頼らないというものです。

大きな地震が起これば、公的な助けはほぼ受けられないと考えておく必要があります。これは日吉や綱島などに限らず、全国どこでも同じです。広域で被害が起きれば、ますますその傾向が強くなるでしょう。

今、できることは、地震が起きた時のことを想定し、さまざまな準備をしておくことです。

インターネット上でも、あらゆる情報が公開されており、大地震が起きた際の心構えを学ぶことができます。現在の技術では予知が難しい以上、地震への対応策を学習するしかありません

下記に大地震への備えに役立つ資料へのリンクをまとめました。PDF資料が多いので、スマートフォンで見づらいのが難点ですが、一度は閲覧してみてください。きっと役立つはずです。

<大地震を学ぶ>

首都直下地震の被害想定(朝日新聞、横浜市直下や川崎市直下など21のパターンで、震度分布を地図上で見ることができます)

神奈川県の地震活動の特徴(政府の地震本部、これまでどんな地震が起き、これから起こるかの予測をしています)

<地震に対する備えを学ぶ>

備える。かわさき(川崎市、川崎市民はもちろん、誰が見ても分かりやすくコンパクトに防災対策がまとまっています。特に「ポータブル版」がオススメです)

わが家の地震対策(横浜市、家庭でどうやって地震対策を行えばいいのかを分かりやすく解説。各区ごとにPDF版が提供されているほか、動画や音声版もあります)

<避難場所を知る>

港北区防災マップ(港北区民の方はまずご覧ください、細かな地図を画像で見られるので重宝します)

港北区の避難場所一覧(港北区、避難場所の一覧表です)

幸区防災マップ[PDF](幸区民の方はまずご覧ください)

中原区防災マップ[PDF](中原区民の方はまずご覧ください)

高津区防災マップ[PDF](高津区民の方はまずご覧ください)

<「日吉都民」「綱島都民」の心得>

都市直下地震、もし「帰宅難民」になってしまったら(読売新聞、具体的アドバイスが多数あり、都内への通勤者は必読です。日吉へ通学している学生の方もぜひ)

<横浜日吉新聞の関連記事>

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