港北区で初の「ワクチン集団接種」、早すぎる来訪や導線に課題も | 横浜日吉新聞

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港北区でも、ワクチンの「集団接種」がいよいよスタートしました。

港北区初、そして現在では唯一の集団接種会場となっている港北公会堂。約11カ月に及ぶ天井改修工事を終えたものの、まずはワクチン接種会場としての「こけら落とし」となった(5月19日9時頃)

港北区初、そして現在では唯一の集団接種会場となっている港北公会堂。約11カ月に及ぶ天井改修工事を終えたものの、まずはワクチン接種会場としての「こけら落とし」となった(5月19日9時頃)

横浜市健康福祉局は、港北区における新型コロナウイルスワクチンの集団接種を、大倉山駅から徒歩約7分の港北公会堂(大豆戸町)で、きのう(2021年)5月19日(水)10時から開始。

事前にワクチン接種の予約した人々が、雨が降る中、ワクチン接種に順次訪れていました。

同公会堂では、15分の枠内で、一回あたり約20人の接種が可能となっており、一日最大約450人が接種を受ける予定となっています。

長蛇の列が公会堂の外に伸びることはなく、無事に受付がスタート。まずは手指の消毒、検温から

長蛇の列が公会堂の外に伸びることはなく、無事に受付がスタート。まずは手指の消毒、検温から

横浜市では、5月3日の9時からワクチン接種予約をスタートしたものの、予約システムにアクセスが集中するといったトラブルも発生。その後も予約が取りづらい状態が続くことから、多くの市民から注目を集めているワクチンの集団接種。

港北区の集団接種会場である港北公会堂では、接種と並行して「新型コロナウイルスワクチン相談所」が8時45分から17時まで開設されており、「予約者は公会堂内には入れる状態」(港北区総務課・田畑哲夫課長)だったこともあり、屋外に行列ができることはありませんでした

受付から「予診票」確認、問診後に接種へ

港北公会堂でのワクチン接種は、どのような手順で行われるのでしょうか。

案内、受付などは、市から委託された株式会社ヒューマントラストから派遣された約30人が対応

接種者は会場へ入ると、まずは手指の消毒、検温を実施。接種の「第一段階」となる受付では、予約時間の枠順に呼び出しがあり、それぞれがワクチン接種券を提出し、受付スタッフが本人確認を行っていました。

受付が終了したのち、これまでの診察歴などをそれぞれが記述した「予診票」の確認コーナーへ。

「予診票」の確認が終了した人から、順次、ワクチン摂取の待合会場であるホール内へと案内され、最後に医師による3カ所の「予診ブース」での問診を実施、「問題がなければ接種を受ける」という流れで、6カ所ある「接種ブース」へと案内されていました。

「予診票確認」コーナーでは、持参した「予診票」に記入漏れがないかのチェックが行われていた

「予診票確認」コーナーでは、持参した「予診票」に記入漏れがないかのチェックが行われていた

接種後は、ホール前方位置にもうけられた「経過観察スペース」で、頭痛や倦怠感(けんたいかん)などの症状がないかの観察時間を30分間行い、終了。接種を終えた人々が、順次、館外へと退出

なお、接種がスタートした19日のスタート時には、ワクチン接種に要する時間は、受付を実施してから約20分間と、事前におこなわれたシミュレーションの成果どおりに行われていました。

また、接種後に懸念される「アナフィラキシー」などの急激なアレルギー反応も、開始後1時間以内には見られることはなく、「医療従事者が待機していますので安心して接種を受けてください」と、市の担当者は案内していました。

今後の接種で気になる改善ポイント

この日、見られたのは会場へ「早く来すぎる」接種対象者の存在です。

医師による「予診ブース」は3カ所、接種ブースは右側に6カ所設置されていた

医師による「予診ブース」は3カ所、接種ブースは右側に6カ所設置されていた

待ちに待った「予約」だったこともあるのか、開始2時間前に訪れる高齢者も多く、接種会場の向いに位置する港北区役所内(3階・食堂跡)には臨時の待機スペースも設置。

約30人が収容できるものの、先の時間帯の予約者が次々と訪れることもあり、早すぎる訪問は避けたいところ。

会場の案内や受付などを担うスタッフは、市から委託された株式会社ヒューマントラスト(東京都豊島区、阪本昌之社長)から派遣された約30人が対応しましたが、受付開始時には、受付用のタブレット端末の誤操作による不具合も一部発生するシーンも見られました。

また、受付が出入口近くにあるため、その時新たに来訪した人と、すでに待機していた人が呼ばれた際に導線の中で“交じり合う”シーンが見られた点も、今後改善の余地がありそうです。

7万人の接種は無事に行われるか、職員も奮闘

早めに来訪した人は港北区役所内に設けられた臨時の待機スペースに案内されたが、「密」を防ぐためにも時間通りに訪れることが求められそう

早めに来訪した人は港北区役所内に設けられた臨時の待機スペースに案内されたが、「密」を防ぐためにも時間通りに訪れることが求められそう

港北区内では、65歳以上の区民約7万人を対象に、優先しての集団接種をまずは行う計画で、港北区では、きのうスタートした同公会堂での集団接種を主会場に、スポーツ医科学センター(鳥山町)、綱島地区センター(綱島西1)などの接種会場が追加されていく予定です。

接種会場の準備にあたった市健康福祉局の片受(かたうけ)明担当係長は、「直前の土日も準備にあたるなど、職員は全力で業務にあたってきました。初日ということもあるので、きょうも事後の作業にかなり時間がかかるとみられます」と、市・区職員約10人もオペレーション対応にあたる中での苦労があると説明します。

港北公会堂内の接種受付スペースより奥に設置されている相談所には「予約が取れない」と来訪する人も見られた

港北公会堂内の接種受付スペースより奥に設置されている相談所には「予約が取れない」と来訪する人も見られた

誰もが初めて経験する「新型コロナウイルス」への対応、そしてワクチン接種に向かう医師、看護師、そして市や区職員らの対応が、どこまでスムーズに行われていくのか。

今後の接種状況の行方を占ううえでも、同公会堂での集団接種の実施方法やその成果に、さらなる注目が集まっていきそうです。

なお、同公会堂でのワクチン接種の受付時間は、9時45分から12時15分までと、12時15分から15時45分まで(16時接種終了)。

市や区の職員は直前の土日にも準備にあたるなど奮闘してきた

市や区の職員は直前の土日にも準備にあたるなど奮闘してきた

ワクチン接種は事前の「予約制」になっており、「焦らず、予約時間を確認して接種会場を訪れて欲しい」(片受担当課長)とのことです。

※9月6日追記:港北公会堂での集団接種は9月19日で終了となります)

【関連記事】

<厚労省のサイト>ワクチン接種に対応の医療機関を掲載、港北区は140カ所超(横浜日吉新聞、2021年5月18日)

地域の医療関係者が総力、港北公会堂での「ワクチン接種」は5/19(水)開始(横浜日吉新聞、2021年4月22日)

綱島に続き高田にも「ワクチン接種会場」、5/17(月)から市サイトで受付(横浜日吉新聞、20212年5月12日)

<詳細案内>医科学センターでワクチン集団接種、新横浜駅から無料バスも(新横浜新聞~しんよこ新聞、2021年6月10日)※リンク追記

【参考リンク】

【港北区】新型コロナウイルス感染症及びワクチン接種に関する情報について(横浜市港北区)


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