<箕輪小>児童急増で4月から1000人超、「5階建て」校舎増築の説明会 | 横浜日吉新聞

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これまでの推計を大きく上回るスピードで箕輪小学校の児童が増えています。

またも「工事用車両」が出入りする見込みとなった箕輪小学校。車両の出入りは正門でおこなわれる予定。真正面に写る倉庫棟は解体される計画(2020年3月)

またも「工事用車両」が出入りする見込みとなった箕輪小学校。車両の出入りは正門でおこなわれる予定。真正面に写る倉庫棟は解体される計画(2020年3月)

今年(2023年)4月からは早くも1000人規模になり、その後も増加が想定されるため、4年後(2027年)の使用開始を目指して5階建て校舎が増築されることになりました。

横浜市立箕輪小学校(箕輪町2)では、きのう(2023年)2月3日(金)の14時と18時からの2回、横浜市教育委員会による「校舎の増築等に関する説明会」を開催。

在校児童の保護者と通学区域や関係地域に住まう人々を対象とし、校舎の内部改修増築棟を建設することについての説明をおこなっています。

同校が開校した2020年時の推計では、児童数が1000人を超えるのは2024年度の予定としていましたが、翌2021年の推計では2023年度から1000人超の見込みとなることに前倒し。

在校児童の保護者と通学区域や関係地域に住まう人々を対象とする「校舎の増築等に関する説明会」がおこなわれた(読者提供)

在校児童の保護者と通学区域や関係地域に住まう人々を対象とする「校舎の増築等に関する説明会」がおこなわれた(読者提供)

さらに、2021年3月に「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」が改正され、横浜市でも同年4月から段階的な35人学級の導入が始まったことで、学級数が増える一因になったと市教育委員会は説明します。

学級数はかつて2016(平成28)年の開校準備部会時で示された推計よりも上回っており、2022年度は当時の推計より3クラス多い28学級に達しています。

2022年に市教育委員会が示した新たな推計では、2028年に箕輪小の児童数は1485人・46学級にまで増える見込みとなりました。

内部改装で「9教室」、増築校舎は「19教室」を確保

児童と学級数の増加に対応するため、箕輪小では4月に始まる2023年度から既存校舎の多目的ホールのスペースを教室に転用したり、内部を改修したりして6教室を増やす工事を実施。

広々とした「多目的ホール」空間などを教室として改装する計画。工事は夏休みや冬休み期間になるべくおこなうことで授業や子どもたちへの影響を最小限にしたいとしている(写真は2020年4月の開校時)

広々とした「多目的ホール」空間などを教室として改装する計画。工事は夏休みや冬休み期間になるべくおこなうことで授業や子どもたちへの影響を最小限にしたいとしている(写真は2020年4月の開校時)

翌2024年度はさらに多目的室などの内部改修によって3教室を確保し、給食室の拡張工事も実施する予定とのことです。

校舎の増築計画も同時に進め、2023年度中に基本設計、2024年度中の実施設計を経て、2025年度中には増築工事をスタート。

鉄骨造5階建て増築校舎は敷地面積が約540平方メートル、延べ床面積を約2600平方メートルとし、ここで計19教室分のスペースを確保する計画です。

増築校舎を建てる場所は校庭(グラウンド)の東側とし、渡り廊下を設けて既存校舎とつなぐ予定。2027年度からの使用開始を目指すといいます。

給食室の拡張工事も2024年6月から2025年3月まで予定、工事期間は給食の提供ができなくなるため代替案を検討しているが「他校の事例もある」と市教育委員会の担当者(同)

給食室の拡張工事も2024年6月から2025年3月まで予定、工事期間は給食の提供ができなくなるため代替案を検討しているが「他校の事例もある」と市教育委員会の担当者(同)

説明会では、工事の安全対策などについての説明があり、増築校舎の建設時には「工事ヤード」を校庭に設けるほか、大型車両を正門(南門)側で通行させるため、現在ある倉庫棟も解体しての工事となる見込みとのことです。

質疑応答時には参加者から、人口推計についての見込みが変わる可能性や、児童の増加にともなう特別教室の確保、給食室の拡張工事期間中には給食を自校調理で提供できなくなることへの心配や、増築工事の際の校庭スペース確保への要望、学区を弾力化すべきとの意見や、逆に「必ずこの学校(箕輪小学校)でこどもを見てほしい」といった声があがっていました。

開校3年にして「新たな試練」、児童増にどう対応するか

わずか開校3年目を終えるタイミングで想定を上回る「児童増」という新たな試練に直面する箕輪小学校。

校舎の増築は校庭敷地内の東側でおこなわれる予定(読者提供)

校舎の増築は校庭敷地内の東側でおこなわれる予定(読者提供)

市教育委員会の説明では、「周辺校も人口が減少する見込みが低く、学区の変更はない」とし、周辺の日吉台小学校(日吉本町1)や綱島東小学校(綱島東3)、矢上小学校(日吉3)や日吉南小学校(日吉本町4)が箕輪小の児童増を受け入れるほどの児童減少にならないと判断しているといいます。

箕輪小の児童数が増えた要因として、市教育委員会では通学区域内で出生数が想定より大幅に増えたことに加え、「当初検討以降に届け出がされた住宅開発」を一因として挙げています。

一定規模の再開発に対しては市が認める権限を持っており、事態把握や見通しの「甘さ」については、地域住民からの厳しい目線が今後向けられることになりそうです。

校庭の中央に「工事ヤード」も設けられることから、「一人あたりの校庭の広さをどの程度確保できるのか」との質問も。学びの環境をいかに確保できるのかについても注目が集まる(同)

校庭の中央に「工事ヤード」も設けられることから、「一人あたりの校庭の広さをどの程度確保できるのか」との質問も。学びの環境をいかに確保できるのかについても注目が集まる(同)

箕輪小の学区でもある横浜市立日吉台中学校(日吉本町4)では、生徒増に対応するため今年度(2022年度)までにプレハブ校舎が新設され、現在は教職員室の拡張工事もおこなわれているように、小学校の児童増に連動して学区内の公立中学校でも生徒数が「爆発」してしまいかねない懸念があります。

また、競争倍率が高くなりつつある港北区近郊の公立高校の将来的な定員増をどのように実現していくかも含め、人口減少時代のなかでも局地的な人口増に対応するための具体的な議論と準備を、今後迅速に進めていく必要がありそうです。

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<市教委が推計>日吉台中で生徒急増、箕輪小は5年後倍増、綱島東も再度増加へ(2020年9月15日)※2020(令和2年)時点での推計。実際は4年後に倍層。日吉台中学校のプレパブ建設・使用開始に結果つながった

<箕輪小の概要発表>日吉台小と綱島東小の児童中心に500人超で4月開校(2019年12月2日)※学区割についてなど

<箕輪町の新小学校>中学校区も統一、「日吉台中で受入れできるか」不安の声(2016年10月20日)※その後、日吉台中学校ではプレハブ校舎を設置

【参考リンク】

令和4年(2022年)度義務教育人口推計表(横浜市教育委員会)※市内小学校の推計をPDFファイルで区ごとに公開

横浜市立箕輪小学校のサイト ※今回の配布資料(スライド27枚分)や質疑応答についての回答などを3月中までにも同校サイト上で公開予定

校舎の増築等について(同)※リンク追記(2月10日)※PDFで当日配布した資料を公開


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