<大倉山駅・トレッサ間>43戸分譲の「師岡町計画」、会館の隣接地に“公園”を | 横浜日吉新聞

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「新しい公園」は、町内会館の横に設置してほしい――住民の声が開発業者や行政に届くことで、新しい地域コミュニティ構築への足掛かりとなるのでしょうか。

相鉄不動産が開発を進める「師岡町戸建計画(師岡町計画)(仮称)」を南西側(大豆戸町・大倉山側)から眺めて。一戸建て住宅43戸の多くは傾斜地に立てられる計画

相鉄不動産が開発を進める「師岡町戸建計画(師岡町計画)(仮称)」を南西側(大豆戸町・大倉山側)から眺めて。一戸建て住宅43戸の多くは傾斜地に立てられる計画

相鉄不動産株式会社(西区北幸)は、環状2号線にも近い師岡町(331番外)の農地などの跡地(約7877平方メートル)に、2階建ての一戸建て住宅(敷地面積104~148平方メートル)43戸を建設する「師岡町戸建計画(師岡町計画)(仮称)」について公表。

大倉山駅から徒歩約10分、トレッサ横浜からも徒歩約12分という場所に、一戸建て住宅43戸を一気に分譲するとの計画が進んでいます。

昨年(2022年)9月27日に建設地に隣接する師岡町会館(師岡町)で、同開発地をエリアとする師岡南町内会の関係者と相鉄不動産、同計画の総合企画を担当する株式会社ユーエスアイ・エンジニアリング(東京都中央区)の担当者が初めて対面。

地域住民からの「意見書」に対し、開発事業者側が「見解書」を配布、意見への回答をおこなった(2022年12月17日、師岡町会館・読者提供)

地域住民からの「意見書」に対し、開発事業者側が「見解書」を配布、意見への回答をおこなった(2022年12月17日、師岡町会館・読者提供)

10月14日と17日のいずれも夜に周辺住民向けの説明会を港北公会堂(大豆戸町)で開催し、周辺地域に居住する住民はこの内容に対しての「意見書」を翌11月中に提出。

対する事業者側は12月8日付で「見解書」と記した文書を用意し、同月17日夜には、ユーエスアイ・エンジニアリングと、設計をおこなう共立設計株式会社(中区宮川町)の担当者が建設地に隣接する同会館に来訪、質問書の回答について、「見解書」を配布し口頭での説明をおこないました。

「盛り土」を止め、町内会館の横に「公園」設置を

地域住民から最も大きな要望として出されているのが「公園」位置の変更です。

住民側は「公園」の位置を師岡町会館側に変更してほしいと要望している

住民側は「公園」の位置を師岡町会館側に変更してほしいと要望している

今回の開発では、計画地の南西位置に、横浜市で定められた開発区域面積の6%以上(例外は非住宅的施設では3%以上)となる約496平方メートルの公園を設置する計画となっています。

しかし、開発地の東端に位置する師岡町会館の隣接地一戸建て2区画については、現状よりも約1.4メートルの「盛り土」をするとされていることから、「盛り土をして、ブロックや塀を設置することで、車両のすれ違いも困難となります」と隣接住民の代表者。

約1.4mの「盛り土」が予定されている場所。地域住民側は土を盛らずフラットな公園にすることを求めている

約1.4mの「盛り土」が予定されている場所。地域住民側は土を盛らずフラットな公園にすることを求めている

「さらに、その北側の日当たりが悪くなり、道路(師岡113号線)に降雪などがあった場合にはとけにくく困るという声があがっています」と、周辺住民を代表し開発事業者に意見書を提出していました。

「盛り土をすることなく、高さを現在のままとし、隣接住民が“高いところから見下ろされる”こと、強風時に土ぼこりが今まで以上に入り込むことも防ぐことができれば」との声もあがっているとのこと。

町内会館の隣接地に公園を設置することで、「地域の見守りの上でもプラス。会館を拠点に子どもたちの見守りをしやすくなり、安全・防犯上にも大きな利点になる」との声が多数に上るといい、同町内会会長鈴木大成さんも、公園位置を変更することでのメリットが大きいと指摘します。

「盛り土」予定地では新たに建設される住宅により師岡113号線側の日照が遮(さえぎ)られ、圧迫感が加わることも予想される

「盛り土」予定地では新たに建設される住宅により師岡113号線側の日照が遮(さえぎ)られ、圧迫感が加わることも予想される

開発業者側は、「北側の市道(師岡113号線)は幅員を約1.17メートル拡幅します」と、道路すれ違いのリスクは“現状より改善される”と回答。

公園の位置の変更については、「(会館の隣接地では)公園の面積が約284平方メートルのみになり、基準に達しない。鋭角の場所があるのも公園に適さず、仮に隣接地に公園を設置しても、会館との出入りは行わない設計となる」との回答を述べています。

しかし住民側からは、「公園の面積を会館側に確保するために、(道路なども含めて見直すなど)計画図を敷き直すことはしたのか」といった声や、「公園が会館の隣接地にあることで、引っ越してくる住民にも、既存の住民にも安心感を与えることができる。公園が会館とともに活動拠点となることで、地域コミュニティづくりに大いに役立つ」という声も多く上がり、開発業者への計画の再考を求めていました。

「ごみ捨て場」は2カ所で足りる?道路や貯水槽の懸念も

また計画図によると、横浜市の「ごみ集積場所設置基準」によれば、集積場所の有効面積は、1戸当たり 0.13平方メートル以上、おおむね10~30世帯につき1カ所とすることと定められています。

開発予定地の西側、大倉山駅寄りにある「ごみ置場」は公道(大倉山133号線)沿いに置かれる予定だが、左右はすでにある民家となっており、再開発エリアの他の一戸建て住民は南側を迂回しなければごみを捨てに来ることができない

開発予定地の西側、大倉山駅寄りにある「ごみ置場」は公道(大倉山133号線)沿いに置かれる予定だが、左右はすでにある民家となっており、再開発エリアの他の一戸建て住民は南側を迂回しなければごみを捨てに来ることができない

今回設置される予定の2カ所の「ごみ集積場所」は、合計で約6.46平方メートルと、43戸分の面積や設置数についてはクリアしているものの、「数が少ない。4カ所は必要なのではないか」という声も。

その管理は「自主管理」であることに加え、1カ所は、多くの世帯が通行するとは限らない開発区域外の道路(大倉山113号線)側に設置、もう1カ所は、環状2号線からは遠い中央より北側に設置されているため、師岡町会館の「ごみ集積場所」に多くの新住民がごみを捨てる可能性が高いのではないかと住民側は指摘します。

「師岡町会館」のごみ集積場にごみを捨てられてしまうのではないかという懸念が広がっている

「師岡町会館」のごみ集積場にごみを捨てられてしまうのではないかという懸念が広がっている

また、師岡町会館側の道路(師岡117号線)が、一方通行道路と狭いにもかかわらず、「開発敷地内の図面では大きな道路が面するように敷かれており、通行が不安」といった指摘や、大倉山133号線側も幅5メートルを切る場所もあるだけに、その通行量を不安視する声も。

「今回の土地造成に関係する工事車両により、近隣住宅のブロック塀が破壊されてしまったという事例もありました」と、開発事案にともなう大型車両が誤って通行することへの心配の声もあがっています。

師岡町会館側からの道は狭く、解体作業をおこなう車両による物損事故も発生した

師岡町会館側からの道は狭く、解体作業をおこなう車両による物損事故も発生した

さらには、当初、貯水槽(雨水調整池)の貯水量について約490トンと説明していたものの、計画が約440トンに変更されたといい、「現在の基準は、30ミリリットルの雨が3時間続いた場合を計算している。自然に下水へ流れるがあふれることもある」と開発業者は回答。

貯水量が減らされた理由がわからない」という声や、「高低差が大きい傾斜地なだけに、豪雨となった際は大変怖い。数値の根拠や対策を示してほしい」といった点も住民側が指摘。こちらも「居住者が管理」する予定ということもあり、“いざ”ゲリラ豪雨など襲来した際の具体的な対応策なども、建築サイドからの地域住民へのより丁寧な説明が必要となりそうです。

着工は今年夏以降、2025年12月末完成を計画

「公園の場所」を会館側に再設計できるのかに大きな注目が集まる

「公園の場所」を会館側に再設計できるのかに大きな注目が集まる

今回の計画について開発事業者は、施工業者は未定(12月17日時点)となっているものの、工事は今年夏以降には着工し、再来年2025年12月31日までの完成を予定しているとのこと。

12月17日に地域住民がおこなった「再質問」については、横浜市から港北区役所(区政推進課)、開発業者を経由して最後に町内会に連絡が入る予定となっているとのことで、地域住民にとって納得がいく回答となるのか、「より良い未来」に向けての計画の再考がなされるのかに大きな注目が集まりそうです。

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港北区役所近くで「新築マンション」が2棟、241戸の物件もサイト公開(新横浜新聞~しんよこ新聞、2023年2月2日、今回の一戸建て43戸計画地から800メートルほど離れた場所ではマンション建設も進行中)

師岡町の“明治横浜研究所”が閉鎖、薬品研究60年超の歴史に幕(2022年3月16日、トレッサ側では一定規模の空地が出現する可能性。跡地活用についてはまだ公表されていない)

【参考リンク】

「師岡町戸建計画(仮称)」の場所(Googleマップ)※師岡町会館・トレッサ横浜寄り


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