なぜ横浜市の担当者がこの場にいないのか――。旧アピタ日吉店など3つの跡地を再開発する「(仮称)日吉箕輪町計画」について、開発事業者の野村不動産と協力会社の株式会社フォーエバーサンクス(東京都港区)が昨日(2016年10月)14日(金)夜に慶應義塾大学日吉キャンパス内で開いた説明会では、住民13人が質問の手をあげ、開発地周辺の狭あいな道路や事故が多発する交差点など、交通環境が改善されていないなかでの開発を不安視する声や、行政が不在の説明会となったことを疑問視する意見も見られました。
今回の説明会は、8月22日に行われた1回目の説明会で寄せられた質問に回答するとの目的で開かれ、野村不動産は綱島街道に近い建物については高さを低く抑えるなど、圧迫感をなるだけなくす工夫をしていると説明。
現行の最大で高さ60メートルとする計画については、土地の一部を広場などの空地として供出していることから、「この地域にはこの(高さの)計画が望ましいと考えている」と理解を求め、横浜市の「都市美対策審議会」の議論を通じ、周辺の景観に配慮していく姿勢を示しました。完成後の眺望を不安視する住民に対しては、個別でも説明していきたいと回答していました。
特に多くの質問が上がったのが周辺の交通環境に関する内容で、野村不動産は、再開発の敷地内については周囲に4~5メートルの歩行者空間を設けるとしましたが、同社の“管轄外”となる周辺の道路環境については「警察や横浜市と協議中」(同社)として改善の兆しが見られませんでした。
「現在でも狭くて大変なのに、3000人もの住民が来たら交通量が減るなどあり得ない。(渋滞が多くや狭く危険な歩道といった)現在の環境が改善してから計画を実行すべき」との住民意見に会場から拍手が起こり、「なぜ横浜市がこの場にいないのか」との声も複数あがりました。
特に綱島街道の日大高校入口交差点から日大高校方面へいたる道路では歩道が極端に狭いことに加え、南日吉団地入口交差点から日大高校方面に向かう道路の突き当りとなる交差点では、信号がないため事故が多発しているといいます。そんななかで巨大再開発が行われることを不安視する意見が目立ちました。
野村不動産は、横浜市も出席した形での説明会を検討したいとの考えを示しました。
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【参考リンク】
・第31回 横浜市都市美対策審議会景観審査部会議事録(2016年8月8日開催、日吉箕輪町計画が審議されている)