新型コロナウイルス禍の影響は「火災」にもおよんでいます。港北消防署が今月(2021年)7月18日時点での区内における火災発生状況をまとめたところによると、建物火災と死者数が増加し、出火原因に「たばこ」「こんろ」が急増していることがわかりました。同署は「コロナ禍で在宅時間が長くなっており、家での喫煙や家事が増えていることも要因の一つではないか」とみています。
区内の火災件数自体は前年と変わらないものの、今年は1月下旬に下田町と綱島西で死者が発生する火災が相次いで起きるなど、7月18日時点で前年はゼロだった火災による死者数は4人。負傷者も5人増の8人となっています。
出火原因を見ると、「たばこ」が前年比4倍増の8件で、「こんろ」も前年から4割以上増えて7件となった一方、「放火(疑い含む)」は7割以上減って5件にとどまっており、新型コロナ禍による在宅時間増の影響がうかがえます。
火災によって建物機能が失われた部分の床面積を表す「焼損床面積」は、区内全体で前年比11倍増の1011平方メートルに達しており、「初期消火ができていれば、ここまで大きな焼損にはなっていない」と港北消防署予防係長の千葉陽(あきら)さんは話します。
同署では、火災の早期発見につながる住宅用火災警報器の設置を呼びかけるとともに、すでに設置している場合でも電池寿命が約10年とされているため、定期点検の重要性を訴えています。
消防団の重要性が高まるも団員は不足
7月18日時点で区内の火災件数は35件。13地域別に見ると、大曽根地区を除くすべての地区で火災が起きており、菊名地区(8件)や日吉地区(7件)、綱島地区(4件)などでの多さが目立ちます。
そのため、各地域に密着して活動する「消防団」の重要性が高まっていますが、「区内の8分団で約650人の方に日夜区内の防火防災活動に従事していただいていますが、活動を継続するためには50人ほど不足している」(港北消防署)のが現状です。
区内の消防団では約90人の女性が活躍しており、「団員の多くが会社などに勤務する“サラリーマン”で、昼間の災害発生時に活動することが難しい。女性団員の存在は欠かせない」(同)
「地域のために、力をお貸しいただけたら」と港北消防署では呼びかけています。
【関連記事】
・下田町・綱島西で死者が発生する「火災」相次ぐ、火の扱いに警戒呼びかけ(2021年1月27日)
・<港北消防>区内で死者発生の火災、東急バス車内掲示やチラシで注意呼びかけ(新横浜新聞~しんよこ新聞、2021年2月15日)
・「災害時に身を守る」日吉の消防団、 働き盛り世代が参加する理由とは(2018年6月20日)
・人口増えても「消防団員」は不足、“地域に力を貸してほしい”と日吉の分団長・森さん(2017年10月21日)
【参考リンク】
・港北消防署からのお知らせ・イベント情報(「たばこが原因の火災が増加しています」の注意喚起も)