新綱島の区民文化センターに「図書館機能を」、港北区要望に市が2年連続で“却下” | 横浜日吉新聞

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再開発が進む綱島エリアで、図書館所蔵の本の取次を行うなど「図書館機能」を求めた港北区の要望に対し、横浜市教育委員会が2年連続で予算措置などの対応を“却下”するという判断を下しました。

新綱島駅の地上部に建てられる計画の28階建てビル内には「区民文化センター」が設けられ、「図書館との連携や貸出の取次等も検討します」との答申も出されている(2016年2月16日都市計画市素案説明会資料「新綱島駅(仮称)周辺地区における都市計画決定・変更について」より)

これは、市民に身近な区役所がニーズをくみ取り、横浜市の各部局に要望を行う「区提案反映制度」によるもので、港北区では2年連続で「綱島地区への図書館機能導入について」などと題し、図書取次サービスなど図書館機能の導入を検討するよう求めていました。

綱島では相鉄・東急直通線(仮称)新綱島駅の地上部に28階建ての再開発ビルを2023年3月までに建て、ビル内に区民文化センター(区民ホール)を設置する計画となっています。区民文化センターの構想では、地域住民や専門家らによる「区民文化センター基本構想検討委員会」が「歴史・文化などの様々な図書や情報を充実させ、図書館との連携や貸出の取次等も検討します」との答申を市に提出していました。

これをうけ港北区は、前年に続き区提案反映制度を使い、2018(平成30)年度も「区民文化センター内で図書取次サービスなどの図書館機能が導入できるよう、設計時点からの設置検討をお願いします」と市の教育委員会に要望していたものです。

これに対し市教育委員会は2018年の予算化などで「対応しない」と判断。「地域のニーズやまちづくりの観点も踏まえ、港北区が主導で進めるもとで、図書館機能導入の可能性について検討します」と回答しています。

横浜市は人口約34万3000人の街に図書館が1館だけという状況を変える気はない様子

前年の2017(平成29)年度は「図書取次サービスは、既に実施している行政サービスコーナー等での運営経費が、図書館資料費など他の経費を圧迫していることなどから、現状のところ実施は困難と考えています」と述べており、“ほぼゼロ回答”だったことに比べると、多少は前進しているともいえます。

一方で今年度は、「港北区が主導で進める」もとでならば「可能性について検討」すると述べられており、区が予算を使って主導しない限りは検討さえ始まらないようです。

なお、旭区や戸塚区、青葉区では図書館の本の取次サービスが行われていますが、すべて区独自の取り組みとして位置付けられています。“関内(横浜市の場所)”側としては、18区ある公平性の観点から個別図書館でのサービス拡充を主導したくないとの思いがうかがえます。

横浜市は、人口34万3000人(2018年2月末現在)を持つ港北区に図書館がわずか1館だけという日本有数の“図書館砂漠”状態を変えようとしないばかりか、他の公共施設における書籍取次の検討さえも、できれば行いたくない様子です。

【関連記事】

<新綱島駅>「芸術ホール」は300人規模、検討委員会の答申案まとまる(2016年1月29日、図書の充実や図書館との連携についても記述)

図書館の本を「日吉駅行政サービスコーナー」などで受け取れないのはなぜ?(2017年6月3日、図書館の本の取次サービスには年間500万円程度の維持費がかかるとみられる)

日本一の人口持つ“仮想自治体”港北区、政治への反映欠如が行政サービス低下に?(2015年12月25日、同じ規模の「自治体」とのサービス比較)

イメージだけで実は魅力的じゃない横浜市、週刊「プレイボーイ」が特集(しんよこ新聞、2017年8月23日、港北区など横浜市が「図書館砂漠」という言葉で紹介されている)

【参考リンク】

平成30年度予算編成に向けた区提案反映制度「港北区提案項目一覧」(横浜市市民局、6つ目に「綱島地区への図書館機能導入について」)


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