図書館の本を「日吉駅行政サービスコーナー」などで受け取れないのはなぜ?

横浜日吉新聞
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ひよしコラム日吉駅の構内にある「行政サービスコーナー」で本の貸し出しや返却ができるようになりませんか――。横浜市の「市民の声」コーナーに日吉住民から意見が寄せられています。市はお決まりの「財政状況」を理由にあげて取り合おうとしていませんが、実は他の区では図書館以外の公的施設を使って本の取り次ぎサービスを行っているケースが複数存在します。

この声は「日吉○丁目(原文伏字)」に住むという住民が、

  • 図書館の本の貸出と返却を日吉駅行政サービスコーナーで運用してください
  • 最寄りの図書館は菊名ですが、たいへんに不便です
  • また、根本的には、日吉地区に図書館があるべきだと思います

との意見を述べたもので、市側はいずれの要望も「横浜市の財政状況などから現状では困難」「貴重なご意見をありがとうございました」などと回答しています。

日吉駅の構内にある「行政サービスコーナー」

日吉駅行政サービスコーナーは、日吉駅東口(慶應大学)側にある東急電鉄の旅行部門「東急トラベルサロン」の店内に併設されており、住民票や印鑑証明書、戸籍謄本などの証明書類を取得できる区役所の出先施設です。

こうした施設は、新横浜駅をはじめ、横浜駅や鶴見駅西口など市内に12カ所あり、日吉や新横浜のように、大倉山エリアにある港北区役所から若干遠い地域の住民にはありがたい存在です。

旭区の「二俣川駅行政サービスコーナー」には図書取次サービスの専用カウンターも併設されている

そんな行政サービスコーナーですが、公的書類の発行だけではなく、「二俣川駅」(旭区、相鉄線沿線)や「東戸塚駅」(戸塚区、JR線沿線)では、図書館の書籍取次業務も行っており、インターネットを通じて予約した横浜市立図書館の本を受け取ったり、返却したりすることを可能としています。

ほかにも港南区では「港南台地区センター」で、青葉区は「美しが丘西地区センター」など7カ所で同様に本の受け取りや返却ができます。

「図書館は各区に1館」という方針をかたくなに崩さない横浜市ですが、一部の区ではすでに図書館サービスの拡充は図られているわけです。

「不公平じゃないか」と思ったら、このサービスはあくまでも「試行」ということになっていて、公平性の観点から“逃げ”がうたれていました

青葉区のあざみ野にある「山内図書館」では区内7施設で図書の取次サービスを実施。同館は指定管理者として有隣堂が運営している

一昨年(2015年)3月の横浜市会で市側が明らかにしたところによると、こうした図書取次サービスは、「市民の図書館利用の利便性向上を目指し、(市の図書館を管轄する)教育委員会事務局と旭区、戸塚区、青葉区との区局連携事業の仕組みを活用し実施してきました」(中央図書館長の答弁)といいます。つまり“区が主体となって行っている特別な取り組み”のようです。

たとえば港南区の港南台地区センターでサービスを始めるにあたっては、「港南台エリアは、図書館への距離が遠く、地域の方々によるアンケート調査や自治会町内会などでも図書取次サービスに対する要望を取りまとめるなど積極的な働きかけがなされてきました。このようなニーズを踏まえて、港南区からの地域ニーズ反映システムによる予算要求があり、平成28年1月から港南台地区センターでの図書取次サービスを開始しようとするものでございます」(同)と述べています。

この説明めいた答弁の意図を想像すると、図書館を運営する横浜市教育委員会としては、“地域住民と区の熱心な要望に応えた例外的なものであり、全区で実施を約束するものではありません”ということが言いたいのかもしれません。

なお、港南台でサービスを始めるにあたっては、図書館システムの改修に547万円を要したといい、「平成28年度以降については、人件費として300万円、図書運送経費として110万円、オンライン経費として90万円の計500万円を想定しています」(同)と明かしています。

初期費用が600万円弱、年間維持費が500万円だという金額が安いのか高いのかの判断は難しいところですが、実施するためには少なくとも年間で「千万」単位のお金がかかるわけではないようです。

なお、図書館側でも“1区1館”の方針に対する市民からの不満に応えようとはしており、今年(2017年)3月から川崎市などの隣接自治体と相互利用協定を締結し、双方の住民がいずれの自治体の図書館も利用できるようにしています。ただし、川崎市は従来から横浜市民の利用を制限していませんでした。

日吉駅行政サービスコーナーは利用枚数が多かったため廃止対象から漏れたが、新横浜駅は基準を何とかクリアしている数値のため、今後が不安(2015年12月10日に横浜市会へ提出された「証明発行サービスのあり方の検討結果について」の資料より)

一方、図書取次サービスを行ううえで、懸念される動きもあります。行政サービスコーナーでは証明書類の交付件数が年々減っていることに加え、マイナンバー制度の導入によりコンビニでも証明発行サービスが受けられることもあり、施設廃止の動きが出ていることです。

市は2012年度から2014年度までの証明発行実績が平均10万枚を下回った4カ所のなかから、長津田、金沢文庫、新杉田の各駅行政サービスコーナーを廃止対象とし、新杉田を今年3月で廃止。今後も順次廃する予定としています。

日吉駅コーナーでの証明書発行枚数は市内5位の11万9000枚だったため、廃止対象となることを免れましたが、新横浜駅は基準を何とかクリアする10万枚。次の“ターゲット”として狙われる可能性があります。

港北区の人口は年々増え続ける一方なのに、行政側の“景気があまり良く感じられない”のはなぜだろうかと考えてしまいます。

【関連記事】

3月から横浜・川崎市民は図書館の相互利用が可能に、各市で利用登録が必要(2017年2月23日)

【参考リンク】

本の貸出と返却を日吉駅行政サービスコーナーで運用してください(横浜市「市民の声」、2017年6月1日公開分、※一定期間で消されます)

横浜市立図書館の「図書取次サービス」について

横浜市の「行政サービスコーナー」について

証明発行サービスのあり方の検討結果についてPDF、行政サービスコーナーの廃止に関する資料、2015年12月10日横浜市会)


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