「綱島SST」がまちびらき、先端技術と人を集め“イノベーション創出”を目指す

横浜日吉新聞

イノベーション(革新)”をキーワードとした実験的な街が始動します。綱島東4丁目のパナソニック(松下通信)工場跡地「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(綱島SST)」で、きのう(2018年3月)26日に“まちびらき”が行われました。

このほど完成した慶應義塾大学の国際学生寮(右)の1階にはイノベーションを生み出すための施設として「イノベーションスタジオ」(7月オープン予定)と「エクスチェンジスタジオ」が設けられている

2015年9月から工事が始まった綱島SSTは、都市ガスを使って電力を供給する「タウンエネルギーセンター」と米アップルの研究所「YTC」が2016年末に完成し、続く翌年(2017年)3月にはJXTGエネルギーの「横浜綱島水素ステーション」がオープン。

残る慶應義塾大学の国際学生寮や、94戸のマンション「プラウド綱島SST」、大型スーパーの「アピタテラス横浜綱島」(今月30日オープン)がこの春までにいずれも工事を終え、街としてスタートしたものです。

慶應の国際学生寮は、すでに1週間ほど前から入寮が始まったといい、9階建ての建物には163室を備え、留学生と日本人学生がそれぞれ半数ずつ暮らします。

「Tsunashima SST Lab(綱島SSTラボ)」の活動拠点となる「エクスチェンジスタジオ」

同建物の1階は「タウンマネジメントセンター」と名付けられた拠点となっており、警備会社の待機所や防災センターとして使われるだけでなく、イノベーションを生み出すための施設として「イノベーションスタジオ」(7月オープン予定)と「エクスチェンジスタジオ」という2つの部屋も設けています。

イノベーションスタジオは、綱島SSTの運営主体であるパナソニックが新たな技術などの実証を行うスペースとして使い、エクスチェンジスタジオは、パナソニックと慶應大学が中心となり、綱島SSTの参画企業や地域などを巻き込んだ活動「Tsunashima SST Lab(綱島SSTラボ)」の拠点となる予定です。

パナソニックの津賀社長や横浜市の平原副市長ら関係者が一堂に集まりまちびらきを祝った

また、玄関前には5台のカーシェア車両30台のシェアサイクルも設置され、シェアサイクルは国際学生寮の学生向けに慶應日吉キャンパス内で乗り捨ても可能としています。

26日の午後に開かれた“まちびらき”の記念式典には、パナソニックの津賀一宏社長横浜市の平原敏英副市長野村不動産の宮嶋誠一社長ユニーの佐古則男社長ら綱島SSTの関係者が一堂に揃い、地域からは綱島連合自治会の佐藤誠三会長や日吉連合町内会の小島清会長らも参加して鏡開きが行われました。

パナソニックの津賀社長は「(松下通信工業だった時代)新入社員の頃に研修や実習を受けた思い入れの深い土地で、感慨深い」と振り返り、「参画企業や地域とともに新たなまちづくりに挑戦していきたい」とあいさつしました。

綱島SSTが目標とするところは何なのか?

パナソニックは綱島SSTを“共創イノベーションタウン”と名付けている

綱島SSTは、米アップルのYTCやアピタテラスといった大型施設に目を奪われがちですが、この街には、目には見えない目標や取り組みが多く仕込まれています。それを知るキーワードが“共創”と“イノベーション”で、言い換えると「参加型」や「革新」という言葉で表現することができそうです。

今回の再開発は、古くから土地を所有してきたパナソニックが主導していますが、同社は当初から“共創(参加型)のまちづくり”を掲げ、これまでに野村不動産をはじめ、米アップルやユニー、JXTGエネルギー、ALSOK(アルソック)などの企業に加え、横浜市や慶應大などを次々と巻き込んできました

カーシェアリングやシェアサイクルといったエコな移動サービスも完備

共創の大きな目的は、自社だけでは起こせないようなイノベーション(革新)を創り出せる可能性が高くなるためで、綱島SSTはそのための場(基盤=プラットフォーム)として活用していきたい考えです。

イノベーションを創り出す場としての綱島SSTは、CO2排出量の削減や新エネルギーの高い利用率といった“エコ”面をはじめ、街全体の見守りサービスや、クリーンな移動手段としてのカーシェアリングやシェアサイクルなど、イノベーションの萌芽となりそうな新しい技術や取り組みは、とにかく積極的に取り入れているのが特徴です。

いたるところに機器が備え付けられ「街全体をデジタル化する」との取り組みも行われる

たとえば、近年の流行となっている「IoT」(アイ・オー・ティー=常時インターネットに接続している機器のこと)分野では、さまざまな情報を測定(センシング)できる機器を街のいたるところへ設置。屋外の湿度や気圧はもちろん、UVやPM2.5、花粉量までを常時測定したり、カメラで画像解析することで来訪者の数や性別、年齢などを判別したり、空間の温度分布を算出して空調制御を行ったりと、「街全体をデジタル化する」(綱島SST協議会)という取り組みも行われています。

そうした最新技術の導入に加え、人的な面では「Tsunashima SST Lab(綱島SSTラボ)」と名付けた活動の場を設け、パナソニックと慶應大が中心となり、綱島SSTの参加企業や横浜市、地域も巻き込んで交流を図りながら、事業の素となるアイデアを集める考えです。綱島SSTを活用した実証を行ったうえで、実際に新たな事業を行う組織として発展させていく構想を描きます。

新入社員時代は綱島で研修や実習を受けており、「思い入れの深い土地」と話すパナソニックの津賀社長

パナソニック(松下電器)が1918(大正7)年に誕生してから今年でちょうど100年。その半分以上の歴史を歩んできた綱島の地からは、電話機や無線機、ラジオに始まり、ワープロや携帯電話といった世の中の注目を集めた製品が次々と生み出されてきました。

日本のものづくりを支えた大型工場から、技術と人が集う“新たな実験場”に変わったことで、再び国内外を驚かせる革新的な事業を綱島の地から創り出すことはできるのでしょうか。綱島SSTでの挑戦は始まったばかりです。

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【参考リンク】

Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(綱島SST)


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