<下田町通信>エッセイ初掲載・黒須さんが考える「新価値観」を京都・関西から日吉へ | 横浜日吉新聞

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法人サポーター会員による提供記事です】下田町、そして日吉から新価値観や、新たな文化を発信するエッセイがここに。

下田町に在住している黒須悟士(さとし)さんは、株式会社Cross Dimension(クロス・ディメンション、千葉市)の代表取締役社長として、“次世代を作り出す”ためのプロジェクトやコンサルティング事業に奔走するほか、高田町での農業体験、空き家を活用した異世代交流スペース「えんがわの家よってこしもだ」(下田町6)、下田学童保育所(下田町4)の運営にも参画しています。

黒須さんが、活動拠点の下田町から、現在従事している公益財団法人国際高等研究所(京都・木津川市)での“これからの社会に必要なコンセプト”を産み出す事業の中から学び、広めていきたいと感じた「新価値観」とは。

下田町や高田、日吉から京都、そして京都から日吉周辺エリアに住まう全ての人々に向けたメッセージとしての「エッセイ」を不定期で掲載します。

下田・日吉から京都・関西へ~新価値観や新たな文化を発信

今年(2018年)の冬、「横浜日吉新聞」での記事~下田町の黒須さんが産む「新たな価値」、農業体験や子どもたちの居場所づくりも(2月21日掲載)には多くの反響を頂きました。

地元の秋祭り的な「下田ふれあい祭り」に、えんがわの家よってこしもだも参加。恒例の手づくり市、ジャックオランタン製作、地元の朝取れ野菜の販売を行った(2017年10月28日、黒須悟士さん撮影)

地元の秋祭り的な「下田ふれあい祭り」に、えんがわの家よってこしもだも参加。恒例の手づくり市、ジャックオランタン製作、地元の朝取れ野菜の販売を行った(2017年10月28日、黒須悟士さん撮影)

保育園のママ・パパ友など数年ぶりの懐かしい方々からもラインやSNSを通して久々にお話しする機会が出来ました。仕事について地元の友人と話す機会もあまりありませんので、出張ばかりで地元にいない人間という印象が強かったようです。

下田町にある空き家を活用した異世代交流スペース「えんがわの家よってこしもだ」をはじめ、高田町での農業体験下田学童保育所の運営にも参画していることを初めて知ったという声も頂きました。取り組むことに一生懸命になることと同じ力を、知って頂くことにも向けなければいけないということに気づく良い機会でした。

子どもが二人いますが、上の子と下の子とで時代が大きく変わったと思う点は、パパの育児参加でしょうか。上の子の時は保育園でパパが送迎されている家庭は2、3のみでしたが、下の子の時は保育園に通うパパが明らかに増えました。家事・育児が出来ない人は仕事も出来ない!という叱咤激励をもってパパとしてお互いに頑張りたいものです。

高田町での農業体験も積極的に公開して行っている(2017年7月に実施されたイベント風景、黒須悟士さん提供)

高田町での農業体験も積極的に公開して行っている(2017年7月に実施されたイベント風景、黒須悟士さん提供)

下田町では、スーパーの撤退により、「首都圏で買い物難民が発生」というまさかの事態にも遭遇しました。企業の論理に生活者が振り回される、旧来的な構造の延長線上に発生する典型的な事例でした。「よってこしもだ」の運営を通して薄々気づいていましたが、生活者主導による地域社会の構築が求められていると思います。その方法論や方向性を私たちは考えていかなければなりません。

そういう意味では、副業が認められる、人工知能の発達により人間が細かい作業から解放される、「限界費用ゼロ社会」(編注:数十年後には世界中で多くの物やサービスなどほぼ価格ゼロになるという考え方)が到来する、など言われています。

こういった大きな変化の中で、私たちは「方法論」に注力しがちですが、より大切なことは、どのような価値を実現したいかという視点です。どのような社会を作りたいか、どのような人生を送りたいか、という問いが重要な時代になってきました。

京都や関西で「日本文化」を学ぶシンポジウムを開催

2016年5月に行われた、京都・鞍馬山での座禅メディテーション当日は好天に恵まれた。黒須さんの出張が多いため、「地元(下田町)での活動は知らなかった」との声も多く寄せられたという(2016年5月14日、黒須悟士さん撮影)

2016年5月に行われた、京都・鞍馬山での座禅メディテーション当日は好天に恵まれた。黒須さんの出張が多いため、「地元(下田町)での活動は知らなかった」との声も多く寄せられたという(2016年5月14日、黒須悟士さん撮影)

2012年からプロジェクトに参画している公益財団法人国際高等研究所(京都府木津川市、略称:高等研)では、日本を代表する研究者の先生方に囲まれ、正にそのような価値を考える仕事に取り組んでいます。

価値のあり様を研究する観点も様々ありますが、その中でも日本の文化伝統が育んできたモノの考え方を長い歴史の文脈で捉えることは一つの柱です。このとき、日本人が育んできた宗教観なしでは語れないということが分かりました。

日本文化とは何かを言葉で説明していくにあたり、古くから日本の中心であった京都は最適な場所です。下田町から見ると京都はかなり遠く感じますが、新横浜駅から新幹線で2時間です。2時間以上かけて通勤・通学している方も多くいらっしゃるので、下手すると京都に行くほうが近いかもしれません。

宗教を知的教養として学習する必要に迫られていたところ、高等研の仕事を通して鞍馬寺(京都市左京区)の顧問と知り合う機会があり、お願いして2年前から宗教講座を坐禅体験と併せて開催して頂きました。

初めての京都での一人暮らしで初訪問した先が鞍馬寺だったという偶然。ビジネスパーソン向けの宗教教養講座としての「座禅座禅メディテーション」開催の様子(2016年5月14日、黒須悟士さん撮影)

初めての京都での一人暮らしで初訪問した先が鞍馬寺だったという偶然。ビジネスパーソン向けの宗教教養講座としての「座禅座禅メディテーション」開催の様子(2016年5月14日、黒須悟士さん撮影)

実は1993年に大学生となり一人暮らしを始めた京都で初めて訪問した先が鞍馬寺でした。不思議なご縁もあるものだと思います。

宗教という二文字は日本社会である種のタブーでもありますが、思い切って踏み込んだ甲斐はありました。

今回、その取り組みを拡大し、比叡山延暦寺滋賀県大津市)において「現代社会における宗教の役割」というシンポジウムを開催します。基調講演には、元京都大学(京都市左京区)総長の長尾真(まこと)先生をお迎えし、「心の時代~科学と宗教の対話」と題して、これからの時代に求められる世界観についてお話頂きます。

京都らしい「歴史と伝統」と自然の息遣いの中、座禅で新たな価値観を発見し、下田町での日々に活かす(2016年5月14日、鞍馬寺にて黒須悟士さん撮影)

京都らしい「歴史と伝統」と自然の息遣いの中、座禅で新たな価値観を発見し、下田町での日々に活かす(2016年5月14日、鞍馬寺にて黒須悟士さん撮影)

ここで得られる斬新な視点を下田町に持ち帰り、地元での活動を通して新価値観として還元していきたいと考えています。

<IN比叡山シンポジウム「現代社会における宗教の役割」>

■日時:2018年4月22日(日)12時~17時 ※雨天決行

■場所:延暦寺会館(宿坊)
滋賀県大津市坂本本町4220 比叡山延暦寺内)

(開催概要)https://peraichi.com/landing_pages/view/kurama ※現在、参加者募集中

<執筆者(自己紹介)>

黒須悟士(くろす さとし):独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)にて、海外におけるビジネスや知的活動の支援に従事、JETRO退職後は外資系リスクマネジメント会社日本支社代表、慶應義塾大学助教を経て、現在、株式会社クロス・ディメンションの代表取締役。立命館大学国際関係学部卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)、同博士後期課程単位満了退学。

起業家として、勢力的に海外・知財・社会事業を展開する一方、「よってこしもだ」を新しい都市型地域交流拠点モデルとして構築するという事業運営を目指しているほか、高田町での農業体験、下田学童保育所の運営への参画など、下田町というローカルにもこだわり生活を豊かにする活動にも取り組む。

【関連記事】

下田町の黒須さんが産む「新たな価値」、農業体験や子どもたちの居場所づくりも(2018年2月21日)

高田町で“冬の自然と大地”感じる「麦踏み体験」、2/17(土)午前に(2018年2月15日)

港北区内の小学生らの“放課後”を考えるトークイベント、12/6(水)夜に公会堂で(2017年12月4日、新横浜新聞~しんよこ新聞)※黒須さんも登壇

<下田町5>スーパー誘致の動きもあった旧サミット裏手は「ドラッグセイムス」(2018年3月26日)

【参考リンク】

株式会社クロス・ディメンション~Cross Dimensionのサイト

IN比叡山 シンポジウム「現代社会における宗教の役割」(株式会社Cross Dimension)※お申込み・お問い合わせ先

株式会社Cross DimensionのFacebookページ

クロスディメンションTwitter

発起人プロフィール(えんがわの家よってこしもだのサイト)

法人サポーター会員:株式会社クロス・ディメンション~Cross Dimension提供)


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