「綱島の桃」復活の“恩師”に育て方を学ぶ、3/28(水)午後に市民の森で散策会も | 横浜日吉新聞

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綱島の桃をもっと広めたいと企画された「花桃のお話と散策会」。綱島在住の御倉多公子さんが企画したイベント。「キッチンガーデンクラブ」会の例会として実施されるが、一般公開して行われる(同会提供)

綱島の桃をもっと広めたいと企画された「花桃のお話と散策会」。綱島在住の御倉多公子さんが企画したイベント。「キッチンガーデンクラブ」会の例会として実施されるが、一般公開して行われる(同会提供)

「綱島の桃」を復活させた“恩師”とも呼べる専門家と語り合う貴重なイベントが開催されます。綱島在住の園芸研究家・御倉多公子(おんくらたきこ)さんが代表(世話人)を務めるキッチンガーデンクラブは、明日(2018年)3月28日(水)12時30分(受付開始12時15分)より、同会の定例会「花桃のお話と散策会」を開催します。

当日は、綱島地区センター(綱島西1)の2階和室にて、農学博士で元神戸大学、宇都宮大学教授の吉田雅夫さん(つくば市在住)を招き、「花桃のお話」講演を行った後、15時から同センターより徒歩約4分程度の綱島市民の森(綱島台)内の「桃の里広場」に移動、“春爛漫(らんまん)”の散策を楽しむといいます。

今回のイベントを主催する「キッチンガーデンクラブ」は、1987年から2015年まで日本に置かれていた英国王立園芸協会日本支部(RHSJ=事務局:東京都豊島区)の元会員の中で、キッチンガーデン(観賞と収穫の目的を兼ねる、ガーデニング風の「家庭菜園」の意味)や野菜、果樹に興味のあるメンバー約20人が所属している団体。今回は、同会の通算100回目の例会ですが、一般に公開し行います

綱島の“日月桃(じつげつとう)”復活させた吉田さんが登壇

池谷家(綱島東1)の日月桃。今年(2018年)は3月18日に開花した(3月19日、池谷道義さん提供)

池谷家(綱島東1)の日月桃。今年(2018年)は3月18日に開花した(3月19日、池谷道義さん提供)

綱島の桃栽培は、現在綱島に唯一残る桃農家「池谷(いけのや)家」(綱島東1)の第16代当主・池谷道義さんの曾祖父(そうそふ)の故・池谷道太郎(みちたろう)氏が新品種「日月桃(じつげつとう)」を1907(明治40)年に栽培成功させたことをきっかけに、「東の神奈川、西の岡山」と言われるほどの、全国屈指の一大桃産地に発展したと言われています。

しかし、1938(昭和13)年には鶴見川が氾濫する大水害により、綱島の街一帯が水没観光資源にもなっていた桃も大きな被害を受け、1945年に終戦した第二次世界大戦(太平洋戦争)の影響もあり、日月桃の歴史も途絶えてしまうのです。

日月桃の花(2018年3月19日、池谷道義さん提供)

日月桃の花(2018年3月19日、池谷道義さん提供)

終戦後、この歴史を守ろうと農業、そして桃栽培に従事してきた道義さんの父、故・池谷光朗(みつろう)さん(2013年没)が、日月桃の復活を願い、かつて神奈川県平塚市、茨城県つくば市にあった果樹研究所(現在の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構:果樹茶業研究部門)に勤務していた、今回のイベントで講師を務める吉田雅夫さんに、日月桃を復活できないか、と相談したといいます。

32年間、同研究所にて果樹育種研究に従事してきたという、果樹品種の育種のエキスパートとして知られる吉田さんは、かつて平塚市にあった研究所が、1977(昭和52)年につくばに移転する際に、「たくさんの桃の品種の苗を育て、つくばに運びました。日月桃は、歴史的な品種なので、大切に扱いました」と、2010年に開催された「綱島桃まつり」に参加した際のあいさつの言葉の中で述べたとのこと。

私が継ぎ木して育てた桃の木から、後輩が補木をとり、池谷氏に渡したそうです。綱島の地に、日月桃が復活したのは嬉しいこと」との、桃まつりでの吉田さんのあいさつの言葉を聞き、御倉さんは綱島と桃の関係に魅せられたといいます。

「桃」育てる秘訣(ひけつ)学び、未来へつなげる情報共有を

今年の綱島桃まつりでも、花桃の苗木が配布された(2018年3月11日撮影)

今年の綱島桃まつりでも、花桃の苗木が配布された(2018年3月11日撮影)

果樹研究所勤務の後、大学教授の道を歩んだ吉田さんは、現在、北は岩手県から南は大分県まで、各地に花桃や八重桜の輪を広げるための活動を行っているとのこと。

同クラブでは、2014年の例会でも吉田さんを招いた際、メンバーから好評を博したこともあり、吉田さんを再度招くことを決定。

主宰の御倉さんは、「綱島では今週末も『桜まつり』が開催されるなど、桜の名所として知られていますが、かつては桃の名所であったこと、綱島が桃にゆかりのある街であることを、もっとたくさんの地域の皆さんに知ってもらいたいと思っています」と、今回のイベントを企画した経緯を説明します。

桃まつりは今年も多くの人出で賑わったが、「まだ綱島じゅうに知れ渡っているとはいえない」と御倉さん。散策のみの参加もお待ちしていますとのこと(2018年3月11日撮影)

桃まつりは今年も多くの人出で賑わったが、「まだ綱島じゅうに知れ渡っているとはいえない」と御倉さん。散策のみの参加もお待ちしていますとのこと(2018年3月11日撮影)

日月桃のような、“実”のなる桃の栽培は、ハードルが高いとのことですが、「花桃については、花を楽しむくらいに咲かせるのはそこまで難しくはないと言われています。今回、吉田先生のアドバイスをいただけることもあり、綱島で“桃を育てる”動きが、もっと広がれば。途中からの参加も歓迎です。事前予約も不要ですので、お気軽にご来訪ください」と、御倉さんは当日の参加を呼び掛けています。

なお、講演会の参加費用は500円。その後の散策からもの参加も可能で、無料。自由参加の後、自由解散(回遊して綱島駅に17時頃到着予定)とのことです。

【関連記事】

2018年の綱島桃まつりは3/11(日)、鉄道工事の影響と“桃”を継ぐ人々(2018年3月7日)

<開港資料館>綱島温泉を発見したのは誰か、戦前までを振り返る研究を発表(2018年3月19日)※桃が被害を受けた歴史を記載

百年余の歴史継ぐ伝統の「桃の花」は今週末にも満開、綱島東の池谷家で(2017年4月7日)※昨年の記事

【参考リンク】

「花桃のお話と散策会」イベントの案内(キッチンガーデンクラブの御倉多公子さんのFacebook投稿記事)

綱島地区センター公式サイト

桃の里広場(綱島市民の森)周辺(Googleマップ)


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