日吉・綱島・樽町・大曽根の平地部では東京湾で発生する「高潮」にも警戒しておく必要があります。
神奈川県の県土整備局は最新のシミュレーションによる「浸水想定区域図」の公開を今月(2024年)2月9日から始めました。
今回公開された浸水想定区域図は、東京湾で「想定し得る最大規模の高潮」が発生した場合、どの地域で浸水被害がもたらされるかを地図上に示したもの。
県では2019(平成31)年4月に高潮浸水想定区域を指定し、これをもとに横浜市でも「高潮ハザードマップ」を作成するなどしていましたが、同年9月に発生し金沢区などで被害をもたらした「令和元年台風第15号」では、想定区域を越えて浸水が発生したケースもあり、県が見直しを進めていました。
新たに公開された高潮浸水想定区域図によると、東京湾で発生した高潮は、鶴見川では東海道新幹線の「鶴見川橋りょう」(綱島東3丁目/6丁目~樽町2丁目/3丁目)付近まで、矢上川では「矢上橋」(日吉3丁目/川崎市幸区矢上)付近まで遡上(そじょう=さかのぼること)すると予測。
港北区内で浸水が想定されているのは、日吉5・6・7丁目、箕輪町2丁目、日吉本町4丁目、綱島東の全域、綱島西2・3・5・6丁目、大曽根2・3丁目、樽町2・3丁目、樽町1・4丁目(大倉山寄りの丘付近を除く)、師岡町のトレッサ横浜付近などで、高度経済成長期まで田畑として使われていたエリアが目立ちます。また、矢上川対岸の川崎市幸区南加瀬や、樽町や師岡町と隣接する鶴見区駒岡などでも浸水想定区域が広がっています。
これまで横浜市が公開していた「港北区高潮ハザードマップ」と比べると、新たな想定区域図では日吉本町4丁目や綱島西4丁目・5丁目などの周辺で浸水想定区域が拡大しました。
また、家屋の倒壊や流失をもたらすおそれがある範囲を示した「家屋倒壊等氾濫想定区域図」も今回新たに公開されており、港北区内では鶴見川に近い綱島東や樽町などがその範囲に入っています。
これらの想定区域図は「最悪の事態を想定」(高潮浸水想定区域図「留意点」)して作成されたものですが、起こりうる災害リスクの一つとして知っておく必要がありそうです。
【関連記事】
・高い場所でも浸水危険性、港北区の「内水ハザードマップ」に注目を(2022年6月13日、下水道や水路から水があふれる危険性も指摘されている)
【参考リンク】
・神奈川県「高潮浸水想定区域図、家屋倒壊等氾濫想定区域図」(2024年2月9日公開、港北区は「5」の地図参照)
・神奈川県「東京湾沿岸における高潮浸水想定区域について(令和6年2月)」(高潮浸水想定区域の見直しについてなど)
・【従来のデータ】横浜市「高潮ハザードマップ」(港北区など区ごとにPDFで公開)