師岡町の“明治横浜研究所”跡地などを使った巨大な物流施設が計画されています。
トヨタホーム株式会社(名古屋市東区)とミサワホーム株式会社(東京都新宿区)、住友商事株式会社(東京都千代田区)の3社は、師岡町のトレッサ横浜北棟付近で物流施設「(仮称)SOSiLA(ソシラ)横浜港北Ⅱ(2)」を開発すると発表しました。
今回の計画は、明治ホールディングス傘下の製薬事業者であるMeiji Seika(メイジセイカ)ファルマが2022年1月に横浜研究所を閉鎖し、跡地を売却したことを機に動き出したもの。
同研究所が位置する一帯の敷地は、1960年代からトヨタ自動車系が所有しており、現在はその多くが傘下の商業施設「トレッサ横浜」となり、そのほかは特装車などを手掛ける株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(師岡町、旧トヨタテクノクラフトなど3社合併で誕生)の本社などとして使われています。
このうちトレッサ横浜北棟の裏側でトヨタカスタマイジング&ディベロップメントが所有していた工場や駐車場などの大部分はトヨタホームが入手。
一方、Meiji Seikaファルマの研究所跡地については、三井住友系の企業に売却されていました。
関係者によると、当初はトヨタホームが住宅開発を検討したものの、横浜市が住宅化に難色を示したといいます。地元の師岡小学校(師岡町)が市内でもっとも児童数が多くなっていることが背景にあるとみられます。
トヨタホームは住宅開発が困難であるとの見通しから、物流施設のノウハウを持ち隣接する研究所跡地の再開発を構想していた住友商事と連携。
また、トヨタホームと同じ持株会社のPLT(プライムライフテクノロジーズ)傘下にあるミサワホームが住宅事業以外のノウハウも持つことから今回の開発計画に参画し、両社はこれを機に非住宅系の事業にも注力していく考えです。
今回トヨタホームが入手した工場や駐車場跡地と、旧Meiji Seikaファルマ研究所跡を合わせた面積は4万6321平方メートルとなり、東京ドーム1つ分の規模。
3社はこの敷地に4階建て(高さ約31メートル)で延床面積約11.2万平方メートルの大型物流施設を2026年春から夏ごろまでに完成させる計画で、今年10月に着工する予定です。
計画されている「SOSiLA(ソシラ)」は住友商事が首都圏などに25物件を展開する物流施設のブランドで、「消費地近接」というコンセプトのもと住宅地からも比較的近い場所に立地していることを特徴としています。
たとえば、2017(平成29)年9月に中山駅から徒歩15分ほどの緑区上山町に竣工した「ソシラ横浜港北」は、県道の青砥上星川線沿いに位置していますが、周辺はマンションやアパートなどの住宅も目立つエリア。
一般的な物流施設の立地として好まれる高速道路のインターチェンジ付近などではなく、消費者に近い場所に物流施設を置くことで、通信販売事業者やコンビニ、ドラッグストアなどの配送品や商品の中継地などとしての活用を見込んでいるといいます。
今回、師岡町に計画されている施設についても、アルコール類(スプレー缶・消毒液など)の保管を想定した危険物倉庫を併設し、需要が高まっているという冷凍冷蔵倉庫の導入も可能にする計画とのことです。
古くからトヨタの特装車やレーシングカーを中心とする開発関連の施設や、旧明治製菓の製薬研究拠点だった一連の土地は、物流を支える巨大施設として生まれ変わることになりました。
(※)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の共通記事です
【関連記事】
・師岡町の“明治横浜研究所”が閉鎖、薬品研究60年超の歴史に幕(2022年3月16日、研究所閉鎖時の記事)
【参考リンク】
・横浜内陸部最大の消費地近接型物流施設「(仮称)SOSiLA横浜港北Ⅱ」を共同開発~トヨタホーム、ミサワホームとして初の物流施設開発を住友商事「SOSiLA」シリーズで(2024年2月15日、住友商事などのニュースリリース)
・解体工事が行われている旧Meiji Seikaファルマ研究所跡の位置(グーグルマップ)
・解体工事が行われているトヨタカスタマイジング&ディベロップメントの工場などの施設の位置(グーグルマップ)