日吉駅前で「ドイツ合唱」と古楽の響きを、来日学生と慶應生が合同演奏会 | 横浜日吉新聞

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ドイツから来日した学生と慶應義塾の学生が合同演奏会で誕生から300年を経たバッハの名曲を披露することになりました。

慶應義塾大学日吉キャンパス(日吉4)で、大学の学生に向け実践的な音楽の授業を複数開講している日吉音楽学研究室「古楽アカデミー・オーケストラ」は、ドイツから来日している「ヴェルニゲローデ放送合唱団青年部」との合同演奏会を開催。

あす11月18日(土)17時から行われる慶應義塾大学古楽アカデミー・オーケストラ・小合唱とヴェルニゲローデ放送合唱団青年部による「合同演奏会」の案内ポスター(主催者提供)

あす11月18日(土)17時から行われる慶應義塾大学古楽アカデミー・オーケストラ・小合唱とヴェルニゲローデ放送合唱団青年部による「合同演奏会」の案内ポスター(主催者提供)

あす(2023年)11月18日(土)17時から19時まで(16時30分開場、終演時間は予定)、同キャンパス内協生館「藤原洋記念ホール」で、いまから300年前の1723年に作曲されたバッハの名曲「マニフィカト」(ニ長調・改訂版)をメインのプログラムとして披露することになりました。

同大学「古楽アカデミー」は、慶應義塾大学教養研究センターの設置科目「身体知・音楽」の成果発表の場で用いている演奏団体名。

日吉音楽学研究室による同授業は、日吉キャンパスの全学部の学生を対象とした実践的な音楽の科目となっており、「器楽クラス」(古楽オーケストラ)と「声楽クラス」(小合唱)が開講されています。

「慶應義塾大学日吉音楽学研究室」公式サイト内の「コンサート情報」ページ。ようやく“制限なし”で、事前予約不要(自由席)での演奏会の公開を復活することができた

「慶應義塾大学日吉音楽学研究室」公式サイト内の「コンサート情報」ページ。ようやく“制限なし”で、事前予約不要(自由席)での演奏会の公開を復活することができた

今回は、ドイツの中心部、標高1142mのブロッケン山の麓に位置する街「ヴェルニゲローデ」(ドイツ・ザクセン=アンハルト州)にあるヴェルニゲローデ州立音楽教育高校に通学している「ヴェルニゲローデ放送合唱団青年部」の45人がドイツ政府などの派遣事業により来日。

11月13日に慶應日吉で行われた授業に参加してもらい、初めてリハーサルを行ったところ、「期待以上に素晴らしく、授業後にホールを案内したのですが、試しにそこで歌ってくれた際も、とても素晴らしい演奏でした」と、古楽アカデミーの全体指導や指揮を行う経済学部の石井明教授は今回のコンサートについて“地域の人々と共有したい”との想いを強く抱いたと語ります。

「合同演奏会」案内の2面には「慶應義塾大学古楽アカデミー・オーケストラ・小合唱」と「ヴェルニゲローデ放送合唱団青年部」の説明を詳しく掲載している(主催者提供)

「合同演奏会」案内の2面には「慶應義塾大学古楽アカデミー・オーケストラ・小合唱」と「ヴェルニゲローデ放送合唱団青年部」の説明を詳しく掲載している(主催者提供)

日吉の地域コミュニティにとっても、とても貴重な機会になるのではと感じています。せっかくのハイレベルな演奏会を、少しでも多くの方々にお聞きいただければ」と、演奏会当日の地域からの来場を広く呼び掛けています。

当日のプログラムは、古楽アカデミー・オーケストラによるオープニング演奏(リュリ作曲のオペラ曲のうち2曲)や、古楽アカデミー・オーケストラと小合唱12人、来日メンバーの中から選択された11人によるバッハ「ミサ曲ト長調(BWV264)」から2つの楽章を披露します。

また、来日メンバーがアカペラでメンデルスゾーン作曲の楽曲やドイツ民謡を奏でた後、休憩をはさんで、「マニフィカト」を演奏するというスケジュールを予定。

ソリストはソプラノの神戸佑実子さん、メゾソプラノの高橋幸恵さん、テノールの田口昌範さん、バスの石本高雅さん(声楽部門・2022年大学の部・横浜市民賞)が担当します。

「合同演奏会」についての案内動画を限定公開中(YouTube動画サイト)

「合同演奏会」についての案内動画を限定公開中(YouTube動画サイト)

今回の古楽アカデミー・オーケストラには、バロックのトランペット演奏者3人も賛助で参加する予定となっており、「約35人による、それなりの大きさの規模のオーケストラ。普段、お目にかかることは少ない古楽器での貴重な演奏となります」と石井教授は語ります。

「マニフィカト」は、初版が作曲されてから300年となる「記念イヤー」にもなっているほか、「今、ドイツから日本に渡航することは、飛行機代の高騰などもあり、ドイツ政府からの助成や、企業・団体などからのかなりの寄付といった支援がなければ実現できない貴重な機会となっています。このようなプロジェクトを実施できたことは大変喜ばしく、全ての人々にとって想い出深いイベントになるのではないかと感じています」と、“光栄”だと語る機会に対し、“熱意”で応えたいと感じているといいます。

日吉音楽学研究室の演奏会は、ようやくコロナ禍の影響がなくなり、事前予約不要・自由席での参加が今年度(2023年度)から可能となっており、慶應義塾と日吉周辺地区との音楽を通じた交流の復活にも熱き注目が集まることになりそうです。

なお、演奏会はYouTube(ユーチューブ)動画を通じたライブ配信も予定されており、当日足を運べない場合でも、オンラインを通じ演奏会を自宅などから堪能することができそうです。

きょう11月17日(金)16時から横浜市役所内アトリウムで「ヴェルニゲローデ放送合唱団青年部」によるコンサートも開催される(写真は9月1日の慶應義塾高校野球部「優勝セレモニー」開催時)

きょう11月17日(金)16時から横浜市役所内アトリウムで「ヴェルニゲローデ放送合唱団青年部」によるコンサートも開催される(写真は9月1日の慶應義塾高校野球部「優勝セレモニー」開催時)

さらに、来日メンバーは、きょう11月17日(金)16時から17時まで横浜市役所内のアトリウム(中区本町)にて、入場無料の演奏会を開催する予定(15時30分から受付、先着順)とのこと。

横浜市内全域にドイツの学生たちとの「音楽を通じた交流」を発信する機会としても大きな注目を集めることになりそうです。

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・【過去記事】実践的授業で学べる日吉音楽学研究室、新春も藤原ホールで3公演(2020年1月14日)

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【参考リンク】

慶應義塾大学 日吉音楽学研究室のサイト ※ライブ配信や演奏会案内動画へのリンクも


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