<慶應野球部>主将・廣瀬選手はソフトバンクから指名、優勝目指す“慶早戦”に挑む | 横浜日吉新聞

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慶應普通部時代から「日吉に通った」プロ野球選手が誕生、最後の“慶早戦”での勝利で六大学野球での2年ぶり優勝も目指します。

慶應義塾大学はきのう(2023年)10月26日17時から行われたプロ野球ドラフト会議で、プロ志望届を提出していた硬式野球部主将廣瀬隆太選手(商学部)の記者会見を日吉キャンパス内(日吉4)で開催。

「伝統」になっているというボール型色紙へのサインとバットでポーズ。「福岡」への新しい旅立ちの日となった(10月26日、慶應義塾日吉キャンパス)

「伝統」になっているというボール型色紙へのサインとバットでポーズ。「福岡」への新しい旅立ちの日となった(10月26日、慶應義塾日吉キャンパス)

新型コロナウイルス感染症の影響で4年間行うことができなかった、約26社40人の報道陣を招いての会見。大学関係者らとともにドラフト会議の模様をテレビ中継で確認しながら、指名の瞬間を待ちました。

1巡目、2巡目での指名がなく、焦燥感も感じるなかでの、緊張感漂う「指名直前」の瞬間

1巡目、2巡目での指名がなく、焦燥感も感じるなかでの、緊張感漂う「指名直前」の瞬間

ドラフト会議が始まってから約1時間超を経過した18時20分ごろ、3巡目の福岡ソフトバンクホークスからの指名選手としてその名を呼ばれると、一斉に報道陣からのカメラの撮影音が。

「慶應幼稚舎」からは初のプロ野球選手の誕生。名前が呼ばれた直後、笑顔を見せる堀井監督(左)。廣瀬選手の表情も口元が瞬間緩んでいた

「慶應幼稚舎」からは初のプロ野球選手の誕生。名前が呼ばれた直後、笑顔を見せる堀井監督(左)。廣瀬選手の表情も口元が瞬間緩んでいた

堀井哲也監督喜びを嚙みしめるかのような笑顔を浮かべ、また、廣瀬選手は、一瞬目を見開き、緩む口元をまた引き締め、また一瞬目を閉じ、再び自身を落ち着かせたかのように、遠く確かな未来を見据えるかのような表情を静かに浮かべていました。

幼稚舎「初」のプロ選手、日吉での10年間も“成長の礎”に

廣瀬選手は慶應義塾幼稚舎(小学校、東京都渋谷区)、慶應義塾普通部(日吉本町1)、慶應義塾高校(塾高、日吉4)の出身。

高校2年生だった2018(平成30)年には春夏連続で甲子園に出場しています。

指名を受けた後の落ち着いた段階では「輝く笑顔」も。堀井監督は「長打力・バッティングは非常に注目を集めると思うが、守りや走力も大学生としてはトップクラス。またさらに上の世界で色々なことを学んでいけば球界を代表するような選手になるのではないか」と、廣瀬選手の将来を激励していた

指名を受けた後の落ち着いた段階では「輝く笑顔」も。堀井監督は「長打力・バッティングは非常に注目を集めると思うが、守りや走力も大学生としてはトップクラス。またさらに上の世界で色々なことを学んでいけば球界を代表するような選手になるのではないか」と、廣瀬選手の将来を激励していた

まず、慶應幼稚舎で初のプロ野球選手となることについて聞かれると、「僕が第一人者になるという気持ちはあるので嬉しい」と、素直にその喜びを語ります。

カメラマンの様々なリクエストに応えてポーズ。ニックネームについての質問には「まずは名前を憶えていただいて、ニックネームで呼ばれるような、ファンに愛されるような選手になれるよう頑張りたい」と語っていた

カメラマンの様々なリクエストに応えてポーズ。ニックネームについての質問には「まずは名前を憶えていただいて、ニックネームで呼ばれるような、ファンに愛されるような選手になれるよう頑張りたい」と語っていた

また、現在も塾高監督を務める森林貴彦監督からの“教え”については、「(森林監督は)基本的には『自由にやってくれ』と。僕自身、そこで自分で考えて試行錯誤して、コツをつかんだりということはありました」と、森林監督らしい指導方針が自身の成長につながっているとも説明します。

「慶應幼稚舎」からは初のプロ野球選手の誕生。ソフトバンクでは慶應塾高OBの柳町達(やなぎまちたつる)外野手や正木智也外野手も活躍している

ソフトバンクでは慶應塾高OBの柳町達(やなぎまちたつる)外野手や正木智也外野手も活躍している

また、今年夏の全国制覇で沸いた日吉近郊の人々に対しては、「中学校(慶應普通部)時代から日吉にずっと通っていたので、(地元の人たちには)期待されていると思うので、その期待に応えられるような成績を残していきたいと思っています」との決意を示します。

子どもたちに対しては、「夢を与えられるような、本当に応援されるような選手になりたい」との思いも披露していました。

小久保裕紀(こくぼひろき)新監督についての質問には「僕と同じ右の強打者タイプ。プロ入りしたらいろいろアドバイスをいただけたらなと思っています」と答えていた

小久保裕紀(こくぼひろき)新監督についての質問には「僕と同じ右の強打者タイプ。プロ入りしたらいろいろアドバイスをいただけたらなと思っています」と答えていた

廣瀬選手が日吉で培(つちか)い学んだ約10年間の日々の集大成となる、最後の「慶早戦」は、あす10月28日(土)と29日(日)の13時から、明治神宮野球場(神宮球場、東京都新宿区)で開催。

最後の「慶早戦」を「大事な」試合と語り、「まずはそこに全力を尽くしたい」との意気込みを語っていた

最後の「慶早戦」を「大事な」試合と語り、「まずはそこに全力を尽くしたい」との意気込みを語っていた

いずれかのチームが先に2勝しての「勝ち点」をあげることでの優勝が決定、インターネットでの中継も行われることから、球場や自宅で廣瀬選手の“慶應野球部”最後の雄姿を見届けることができそうです。

「慶應スポーツ」も熱烈“取材”で感動を共有

この日のドラフト会議に伴う廣瀬選手の記者会見を、固唾を呑み(かたずをのみ)最前列で見守っていたのが、慶應義塾体育会の情報、最新の記事を発信している「慶應スポーツ新聞会」北村可奈さん工藤佑太さん大泉洋渡(ひろと)さん

北村さん、工藤さん、大泉さん(右より)がこの日は取材。新型コロナ禍の2020年から2022年までは会見はオンラインで開催されていたという

北村さん、工藤さん、大泉さん(右より)がこの日は取材。新型コロナ禍の2020年から2022年までは会見はオンラインで開催されていたという

「神宮球場で開催される六大学野球は、全試合、学生記者が取材をし記事にしています」と、“野球が大好き”だという部員たちに囲まれながら、第3戦まで試合があることもある月曜日の履修にも工夫を凝らしながら取材する日々だと説明します。

指名の瞬間を待つ工藤さん、大泉さん(左)

指名の瞬間を待つ工藤さん、大泉さん(左)

現在の部員は約40人と、「他大学のスポーツ新聞部と比較すると、多くはないほうです」と、新規部員も歓迎しているといい、多く在籍しているという女性部員たちも、取材現場で活躍するほか、レイアウトにこだわり、よい新聞をつくるためにと努めているとのこと。

日吉の会見場には26社約40人のメディアが訪れた

日吉の会見場には26社約40人のメディアが訪れた

「きょうのドラフト会議の結果についても、原稿の締め切り時間に記事が間に合いそうです。慶早戦では約8000枚完成した新聞を配布する予定です」と、学生たちにとってリアルでの初取材となったドラフト会議や記者会見での“感動”を、広く塾生(在学生)や塾員(卒業生)たちと共有していく考えです。

日吉周辺の人々はもちろん、「オール慶應」での熱き声援にも期待したい

日吉周辺の人々はもちろん、「オール慶應」での熱き声援にも期待したい

【関連記事】

・【過去記事】<慶應野球部>全日本大学選手権で34年ぶり優勝、塾高出身選手も投打に活躍(2021年6月13日)

・【過去記事】<2019年球春>2/27(水)から慶應野球部が下田町のグラウンドでオープン戦17試合(2019年2月22日)※2020年から2023年まで「新型コロナ禍」により記事化を見送っている

・【過去記事】高知商の強力打線を止められず、慶應塾高の10年ぶり「夏の甲子園」は2回戦で終える(2018年8月12日)※廣瀬選手が4番打者として出場した

【参考リンク】

慶應義塾体育会野球部のサイト ※ドラフト会議についてや「主なOB」(プロ野球選手ほか)についても紹介

2023年ドラフト会議特集(福岡ソフトバンクホークス)

東京六大学野球連盟公式サイト ※秋季リーグ戦や戦績、「ライブ動画配信」(BIG 6.TV、Abema TV)へのリンクやチケット販売についてなど

競技別記事~野球(慶應スポーツ新聞会)

東京六大学野球 両校が優勝をかける早慶戦 見どころは(NHK SPORTS)※Eテレサブチャンネルで10月29日(日)13時の試合開始から生放送、NHKプラスでも同時配信する予定とのこと


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