今週末を逃すと次は2034年までありません。高田西4丁目の塩谷寺(えんこくじ)や日吉本町5丁目の西光院、高田町の興禅寺、綱島西1丁目の東照寺などでは12年に一度、寅年(とらどし)だけ本尊の「薬師如来(やくしにょらい)像」を拝観できる開帳が行われており、高田と日吉本町の寺院は今月(2022年)4月10日(日)までが開帳期間となっています。
病の苦しみを取り除く仏(ほとけ)として信仰されてきた薬師如来を本尊とする寺院は、港北区内や周辺区に多くあり、それらが幾つかのグループを作って古くから12年に一度の開帳を行っているもので、寺院を巡ることは「霊場巡り」とも呼ばれます。
高田と日吉の寺院では、「塩谷寺(えんこくじ)」(高田西4)と「西光院」(日吉本町5)、「興禅寺」(高田町)の3カ所に加え、川崎市宮前区や高津区、鶴見区獅子ケ谷の計7寺院が「稲毛(いなげ)七薬師霊場」として、今月4月3日(日)から10日(日)まで8日間にわたって開帳を実施。
江戸時代以前には“稲毛領”と呼ばれた旧「橘樹(たちばな)郡」の北部にある7寺院で1番目の札所(ふだしょ)となっているのが高田西の「塩谷寺」で、ここから宮前区、日吉本町、鶴見区、高田町を経て高津区の7番札所「薬師院」までを巡る形となっています。
7寺院のなかには、2番札所の「影向寺(ようごうじ)」(川崎市宮前区)のように、橘樹(たちばな)郡を代表する郡寺と言われ、今は国の重要文化財となっているような古刹(こさつ)もあり、時間があれば足を伸ばす価値はあります。
港北区内では、高田小学校に近くにある塩谷寺と興禅寺、日吉本町駅近くの西光院は、いずれも巡りやすい環境にあるため、まずは3寺院だけでも訪れ、桜吹雪が舞うなかで12年ぶりの雰囲気を味わっておきたいところです。
一方、綱島駅西口近くの「東照寺」(綱島西1)は、かつて「都筑(つづき)郡」と呼ばれ、現代は旧港北区(港北・都筑・青葉)だった地域の12寺院が集まった「都筑橘樹(つづきたちばな)十二薬師霊場」の11番札所となっています。
新羽駅から徒歩20分ほどの場所にある1番札所「蓮華寺(れんげじ)」をスタートし、新吉田町から都筑区にかけての一帯に点在する寺院を経て、大倉山記念館や梅園に近い大曽根台に位置する最後の12番札所「大乗寺」までを1日でまわるのは至難。
ただ、都筑橘樹(つづきたちばな)十二薬師霊場の開帳は今月4月1日から20日(水)までの期間が設定されているため、まずは綱島駅に近い「東照寺」や、センター南駅から徒歩5分ほどの「正覚寺(しょうがくじ)」(都筑区茅ヶ崎東)など行きやすい寺院から巡るのもよさそうです。
なお、今回は12寺院のうち都筑区内の「清光寺(勝田会館)」(4番札所=都筑区勝田町)と「自性院」(8番札所=都筑区茅ヶ崎南4)、「慈眼寺」(9番札所=都筑区中川7)は開帳を行っていません。「御朱印」については朱印済みの紙が東照寺に置かれているとのことです。
日吉・綱島・高田エリアの寺院に関係する開帳は次の通りです。
※寺院名から公式サイトに、MAP部分からグーグルマップへそれぞれリンクしています
稲毛(いなげ)七薬師霊場(案内ページ)
開帳期間:2022年4月3日(日)~10日(日)
- 第1番札所:塩谷寺(えんこくじ)(高田西4:MAP=高田駅から徒歩約13分)
- 第2番札所:影向寺(ようごうじ)(川崎市宮前区野川本町3:MAP)
- 第3番札所:正福寺(川崎市宮前区土橋6:MAP)
- 第4番札所:西光院(日吉本町5:MAP=日吉本町駅下車)
- 第5番札所:光明寺(鶴見区獅子ケ谷2:MAP)
- 第6番札所:興禅寺(高田町:MAP=高田駅徒歩約11分、「天満宮前」バス停徒歩約5分)
- 第7番札所:薬師院(川崎市高津区新作3:MAP)
都筑橘樹(つづきたちばな)十二薬師霊場(案内ページ)
開帳期間:2022年4月1日(金)~20日(水)
- 第1番札所:蓮華寺(れんげじ)(新羽町:MAP=「新羽庚申掘」または「ししがはな」バス停から徒歩12~13分)
- 第2番札所:浄流寺(新吉田町:MAP=「貝塚」バス停近く)
- 第3番札所:正福寺(新吉田町:MAP=東山田駅から徒歩約10分)
- 第4番札所【開帳無し】:清光寺(勝田会館)(都筑区勝田町:MAP)
- 第5番札所:龍福寺(都筑区大棚町:MAP)
- 第6番札所:真福寺(青葉区荏田町:MAP)
- 第7番札所:正覺寺(正覚寺=しょうがくじ)(都筑区茅ヶ崎東3:MAP)
- 第8番札所【開帳無し】:自性院(都筑区茅ヶ崎南4:MAP)
- 第9番札所【開帳無し】:慈眼寺(都筑区中川7:MAP)
- 第10番札所:大善寺(都筑区南山田2:MAP)
- 第11番札所:東照寺(綱島西1:MAP=綱島駅西口下車)
- 第12番札所:大乗寺(大曽根台:MAP=大倉山駅から東横線陸橋経由で徒歩約10分)
【関連記事】
・<2022年4月>寅年だけ12年に一度の「霊場巡り」、港北区内は11寺院で開帳(新横浜新聞~しんよこ新聞、2022年3月30日、区内南部の開帳情報も)
【参考リンク】
・稲毛七薬師霊場の案内ページ(2022年4月3日~10日開帳、影向寺サイト内)
・シリーズわがまち港北「稲毛七薬師霊場」の紹介(連載第135回「12年に一度の霊場巡り~その4」より)※前回2010(平成22)年開帳時の内容です、今回は文中の開催日程と異なります
・都筑橘樹(つづきたちばな)十二薬師霊場の案内サイト(2022年4月1日~20日開帳)
・シリーズわがまち港北「都筑橘樹(つづきたちばな)十二薬師霊場」の紹介(連載第136回「12年に一度の霊場巡り~その5」より)※前回2010(平成22)年開帳時の内容です