<港北区>子育てや高齢者支援の「計画」更新へ、ネットで初の意見募集 | 横浜日吉新聞

横浜日吉新聞

高齢者や幼児・児童、障害者など、助けを必要としている人たちを地域でどう支えていくか――。港北区内の各エリアごと福祉(安心な暮らし)や保健(健康維持)の方向性を決める「ひっとプラン港北」が2021(令和3)年度に更新されることになり、港北区では今月(2020年)6月15日からインターネットを通じた意見募集を始めています。

2016(平成28)年度に始まった現在の「ひっとプラン港北(第3期)」は2020年度が最終年度となっている(港北区のページより)

「ひっとプラン港北」は、“ろがる”“ながる”“どく”の頭文字を愛称とした地域の福祉保健計画で、港北区で2006(平成18)年度に初めて作られました。

その後は5年ごとに更新されており、現在の「第3期ひっとプラン港北」は2020(令和2)年度(20年4月~21年3月)が最終年度。新たに「第4期」として内容の更新を行うことが決まっています。

このプランでは、区内を13の地区(エリア)に分け、それぞれの地域実情にあわせた内容を独自に決めるため、行政(区役所)だけでなく、社会福祉協議会をはじめ、自治会・町内会や地域団体、子育てや福祉・保健に関する事業者など“地域”というくくりで、多くの人が関わっているのが特徴です。

区内を13の地区(エリア)に分けてそれぞれの事情に合わせた「地区計画」を作っている(港北区のページより)

そのため、「ひっとプラン港北」で13地区ごとに決めた計画には、それぞれ特色が出ています。

たとえば、区内最大の人口を持つ日吉(日吉・日吉本町・箕輪町・下田町)は「防災」をテーマに災害時の支援に重点を置き、再開発の進む東エリアを中心に新住民も目立つ綱島(西・東・綱島上町・綱島台)では「交流」を重視して地域単位のイベントや情報発信を拡充。

高田(西・東・高田町)では「連携」に重きを置き、町内会・自治会や地区社会福祉協議会、民生委員、子育て団体などが一体となって支援できる仕組みづくりに注力しています。

地区ごとの計画には愛称が付けられている(ひっとプラン港北のページより)

新住民の転入が相次ぎ人口増加が続く樽町「住民交流」を重視し、大曽根地区は若い世代が流入する一方で居住歴の長い住民も多いことから「交流/見守り・ささえあい/安全・安心」をそれぞれテーマに掲げます。

住宅街から工場、農地が混在した広いエリアを抱える新吉田地区は「災害時要援護者の支援」「高齢者への支援」「子育て世帯への支援」という重要3分野をカバー。

綱島(早渕川)寄りの新吉田あすなろ地区では、新田中学校での盆踊り大会など“地区3大イベント”を継続することで、多世代交流に力を注ぎます。

日吉や綱島など“自治体並み”の人口持つ地域も

港北区内では「日吉」と「綱島」の人口が多く、今も人口が増え続けている(港北区のページより)

港北区は日本の行政区(独立した自治体である東京23区を除く)では最大となる35万6134人(17万2943世帯)(6月1日推計)の人口に膨れ上がっており、そのなかの13地区自治体と同レベルの人口規模を持つ地区もあります。

たとえば、「市」レベルの人口規模を持つ日吉は7万3834人(3万7036世帯)、神奈川県南足柄市よりも多くの人が住む綱島が4万3848人(2万1660世帯)、日本の平均的な「町村」と同規模の高田は1万8570人(8914世帯)といった状況です。(人口・人口比率はいずれも2020年9月末時点のデータ)

また、地区のなかでも居住者に違いが見られ、支援の対象となりそうな「0~5歳」「75歳以上」に限ると、地域ごとの人口比率に特徴があります。

日吉エリアの年齢別人口の割合
(第4期計画策定に関連する各種統計基礎データより)

日吉では箕輪町2・3丁目と日吉6・7丁目で「0~5歳」の人口比率が約6~8%と高い一方、下田町1・4・6・2丁目や日吉本町5・6丁目では「75歳以上」が約12~17%にのぼります。

綱島エリアの年齢別人口の割合
(第4期計画策定に関連する各種統計基礎データより)

綱島は東6・4・3・2丁目で「0~5歳」の人口比率が約8~11%と区内有数の高さとなっていますが、綱島西1・5丁目と東5丁目では「75歳以上」が10%を超えました。東5丁目は75歳以上だけでなく、「0~5歳」の人口比率も高めです。

高田エリアの年齢別人口の割合
(第4期計画策定に関連する各種統計基礎データより)

高田では、高田西1丁目や東2丁目、西2丁目で「0~5歳」の人口比率が高い一方、「75歳以上」の人口比率が18%超と区内有数の高さとなっている高田町をはじめ、高田西5丁目や東3丁目でも15%を超えています。

同じエリアであっても、場所によって居住者の年代構成が異なるため、細かな地域課題をくみ取り、新たな「ひっとプラン港北」に盛り込むことが必要となってきます。

港北区内における「障害者手帳」保持者数の動向(第4期計画策定に関連する各種統計基礎データより)

また、港北区全体で見ると、「障害者手帳」を持つ人の数が増えている点も見逃せません。地区ごとに、支援を必要としている人の現状を把握することが重要となりそうです。

新たな「ひっとプラン港北」を作るにあたっては、区民から広く意見を求め、インターネット上での募集を始めている(港北区の意見募集ページより)

区では、これまで特別養護老人ホームや各種ボランティア、保育所、在宅福祉、子育てなど各分野ごとに関係者を集めたヒアリングを開催してきましたが、さらに多くの声を拾うため、「アンケート」という形で初めてインターネットを通じた意見募集を行うことになったとのこと。

このアンケートは、7月26日(日)まで受け付けており、誰でも回答することが可能です。

【関連記事】

<港北区>子育ての未来はどうなる?支援現場の約50人からヒアリング(新横浜新聞~しんよこ新聞、2020年1月8日、子育て分野におけるヒアリングの様子)

病床数は“周辺ワースト”、日吉・綱島・高田で超高齢社会を生き抜く鍵は「地域」(2018年6月5日、大型病院は川崎市や他区頼み)

【参考リンク】

「ひっとプラン港北」策定に関する地域活動調査を実施中です(港北区、アンケート回答はこちら)

港北区地域福祉保健計画「ひっとプラン港北」について(港北区)

第4期地域福祉保健計画(策定中)について(港北区)


カテゴリ別記事一覧