地域課題を解決する糸口に、2025年度までの「ひっとプラン港北」が更新 | 横浜日吉新聞

横浜日吉新聞

コロナ禍に加えて自然災害が多発する今だからこそ、地域課題を解決する糸口となる重要な計画です。

港北区内の13地区ごとに福祉や保健の方向性をまとめた「ひっとプラン港北」が更新され、2025年度までの計画がこのほど決まりました。防災や交流、子育てなど、地区ごとに細かく活動方針や注力分野を決めているのが大きな特徴となっています。

横浜市の「地域福祉保健計画」は市の計画をもとに18区がそれぞれ策定し、さらに「市の中でも地域により生活上の課題等が異なっている」「お互いに顔の見える小さな圏域を単位とすることが必要」などとして、区のなかで各地区が実情に応じて独自に計画をつくる形を取っている。行政単位ではない地区ごとに細かく計画を策定しているケースは全国の自治体でもめずらしいという(「第4期・横浜市地域福祉保健計画~よこはま笑顔プラン(令和元年~5年度)」より)

「ひっとプラン港北」は、港北区社会福祉協議会をはじめとした地域団体の協力を得て区が策定した福祉保健計画のこと。

2025年までの第4期「ひっとプラン港北」は、コロナ禍の影響で策定が遅れ、昨年12月に公表された

ろがる”“ながる”“どく”の頭文字を愛称としており、こつこつと「ヒット」を積み重ねることで、確実に計画がつながり進んでいくという願いが込められているといいます。

今から約16年前の2006(平成18)年3月に初めて策定され、その後は5年ごとに地域での議論を経て新たな計画に更新されてきました。

4期目(1期5年間)となる今回の「令和3(2021)年度~令和7(2025)年度版」は、昨年(2021年)3月までに策定される予定でしたが、新型コロナウイルス禍の影響によって地域での議論や意見のとりまとめといった作業に支障をきたし、昨年12月に完成したものです。

5つの考え方で進める

今回の「ひっとプラン港北」を進めるうえでは、次の5つの考え方に立っているといいます。

  • 住民主体と協働:自治会・町内会や各地区の社会福祉協議会、ボランティアグループ、NPO法人、社会福祉法人、企業、学生など幅広い団体と行政が協働して取り組みを進める
  • 人材の確保・育成:各種活動や地域貢献に関心を持つ住民に向け、幅広い住民が参加しやすい活動のあり方を検討する
  • 社会参加と自立の促進(地域共生社会の実現):年齢や性別、障害の有無など、立場や背景が異なるすべての人が地域社会に参加し、その人らしい生活を実現できる社会の構築に向けて地域の理解、環境の整備を進める
  • 地域包括ケアシステムの構築と一体的に推進:要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、医療・保健・福祉をまとめて提供する「地域包括ケアシステム」の構築と一体的に進めていく
  • 子育て支援の充実:子どもや子育て世帯、転入世帯も多い港北区の特性から、地域全体で子どもや子育て世帯に関心を持ち、見守っていく風土づくりを進める

そのうえで、「誰もが安心して健やかに暮らせるまち 港北」というテーマを掲げ、「すべての区民が人とのつながりをつくりながら、できるだけ長く健康に自立して過ごすことを基本に、助けあい、支えあいのある安心して暮らせるまちを目指します」との基本理念を前回に引き続き掲げます。

7つの重点目標とは

「ひっとプラン港北」では7つの重点目標が決められている(同プランより)

計画推進の重点目標としては、次の7つを挙げます。

  1. 幅広い住民の地域活動への参加促進:(取組例)インターネットなどでの情報発信の強化、活動団体の交流機会創出など
  2. 未来を担う次世代育成:(取組例)横浜市子育てサポートシステム、親子向けの催し開催など
  3. 人と人とのつながりづくり:(取組例)地域ケアプラザにおける地域住民の交流の場づくり、空き家活用による身近な居場所新設、75歳以上のひとり暮らし高齢者の見守りなど
  4. 年齢や障害の有無にかかわらず誰もが参加できる場づくり:(取組例)認知症サポーター養成講座の開催、障害のある子どもたちの居場所づくりなど
  5. 健康寿命を延ばす取組の推進:(取組例)健康ウォーキングの定期開催、介護予防や健康づくりに取り組むグループ活動の支援など
  6. 支援が必要な方を発見し支援につなげる仕組みづくり:(取組例)生活困窮者への自立支援、よこはま成年後見推進センターと連携、地域における情報交換会の開催や有償ボランティアグループ発足など
  7. 災害に備えた要援護者支援の取組の推進:(取組例)救急搬送時などの際に活用する「救急医療情報キット」の配布、女性や要援護者の視点を盛り込んだ避難所運営の支援、災害時要援護者名簿の共有など

コロナ禍での地域活動

また、4期目となる「ひっとプラン港北」の策定にあたっては、2020年春から始まった新型コロナ禍の影響を大きく受けたことから、「新型コロナウイルスとこれからの地域活動」と題した緊急調査も行われており、その結果も今回の計画に掲載されました。

コラムの形で「新型コロナウイルスとこれからの地域活動」と題したページが盛り込まれた(第4期「ひっとプラン港北」より)

2020年6月から7月にインターネットを通じて寄せられた362件の回答では、「地域のつながりの重要性が改めて浮き彫りになった」「地域のイベントが無くなってさびしい、困っている」などの声が寄せられており、各地域のイベントが地域参加のきっかけとなっていた点を指摘しています。

回答者の2割は60・70歳代だったといい、「今後の地域活動にオンラインを利活用していく可能性が示されました」と結んでいます。

なお、区内13地域(日吉・綱島・大曽根・樽町・菊名・師岡・大倉山・篠原・城郷・新羽・新吉田・新吉田あすなろ・高田)の「地区計画」は、北部エリアを「横浜日吉新聞」で、南部エリアは「新横浜新聞~しんよこ新聞」で、それぞれ詳しく順次紹介していきます。

港北区内の13地区ごとにそれぞれ「地区計画」を策定している(第4期「ひっとプラン港北」より)

)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の共通記事です

【関連記事】

<港北区>子育てや高齢者支援の「計画」更新へ、ネットで初の意見募集(2020年6月22日)

<港北区が調査>コロナ禍で「地域」の重要性が高まる、IT活用には課題も(2020年10月12日)

<港北区>子育ての未来はどうなる?支援現場の約50人からヒアリング(新横浜新聞~しんよこ新聞、2020年1月8日)

【参考リンク】

第4期「ひっとプラン港北」(令和3年度~令和7年度)の紹介ページ(2021年12月21日公表)


カテゴリ別記事一覧