在宅勤務が増えて平日の様子が分かるようになった――。新型コロナウイルス禍を経て、地域に対する見方の変化や、身近なつながりの重要性があらためて認識されつつあるようです。
港北区は、福祉(安心な暮らし)や保健(健康維持)の方向性を決める「ひっとプラン港北」を2021年度に更新するにあたり、6月15日から7月26日まで41日間にわたってインターネット上で行った意見募集の結果概要を公表しました。
ひっとプラン港北は、“ひろがる”“つながる”“とどく”の頭文字を愛称とした地域の福祉保健計画で、日吉や綱島、高田など区内13地区の実情に応じてそれぞれ策定。初めてつくられた2006(平成18)年度以降、5年ごとに更新されています。
同プランの策定や更新にあたっては、その担い手となる地域の関係団体へのヒアリングやワークショップなどを通じ、多くの声をプランに反映させていますが、インターネットを通じて不特定多数の区民から意見を募集したのは初めてのこと。
今回、インターネットを通じて寄せられた362通の意見は、40歳代(28%)と30歳代(26%)と50歳代(23%)による回答が8割近くを占める一方、60歳代(10%)や70歳代以上(8%)からも回答が得られています。
地域活動の経験を尋ねたところ、年代別では30歳代で6割超が「未経験」と答える一方、40歳代や50歳代では逆に6割前後が「経験あり」と回答していました。
30歳代では地域活動への経験は少ないものの、61%が「関心がある」と答えており、今後の担い手となる可能性を感じさせる結果となっています。
その30歳代が関心のある活動内容は、「お祭りや運動会などのイベントの参加」や「子どもとの交流や学習支援」への回答が多く、「趣味・教養・スポーツなどのサークル活動」や「体操や運動などの活動の参加」が続いていました。
興味深いのが自由記入の回答で、地域活動の運営側からは、「3密などにどこまで対応していいか分からない、予算もかかる、もう疲れた」や、「こんなときこそ支援が必要だと思うが、自分の家族を考えると何を優先したら良いのか迷う」など、未曽有の新型コロナウイルスを前に活動継続に苦心していることをうかがわせます。
また、地域住民からも、「転居したばかりで近隣の人は知らないまま、自治会等の活動が中止になったり、あまり近隣の方との交流がない」と、つながりの機会を突如失われたことに戸惑う声もありました。
一方、地域活動の運営側も「活動が中止になって、そもそも本当に必要な活動は何なのかを考える機会になった」と、今回の新型コロナウイルス禍を何とかプラスに捉えようとする声も聞かれます。
実際に会っての会合が難しくなったことを機にITを活用し、「遠方の人や産後間もない人も会合に参加できるオンラインのメリットを感じた」との意見も。
また、「在宅勤務が増えて平日の様子がわかるようになった」との声もあり、“日吉都民”や“綱島都民”といった都内への通勤者が平日昼間に地域で業務を行う新たな勤務スタイルが実践されつつあることをうかがわせます。
ただ、地域活動の現場から「オンラインイベントという時点でしり込みしてしまうスタッフが多く、アクティブメンバーに負荷が集中する」との現状報告や、「高齢者こそIT支援が必要と実感」といった指摘は、新型コロナ禍が今も続く地域において、重要な課題となりそうです。
【関連記事】
・<港北区>子育てや高齢者支援の「計画」更新へ、ネットで初の意見募集(2020年6月22日)
【参考リンク】
・新型コロナ影響下の地域のつながりと地域活動への意識を調査しました(港北区福祉保健センター福祉保健課、2020年10月9日)
・港北区地域福祉保健計画「ひっとプラン港北」について(港北区)