日吉・綱島周辺で「オンデマンド交通」の実証運行、6月から東急バスが計画 | 横浜日吉新聞

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日吉・綱島エリアで昼間の移動スタイルが変わるきっかけとなるかもしれません。

東急バス株式会社(東京都目黒区)は今年(2024年)6月から日吉・綱島高田東新吉田東の一部を含んだ3キロ弱の範囲で、ワゴン車を使った「オンデマンド交通」の実証運行を始める計画です。

今回行う実証運行の範囲イメージと既存の東急バス路線、大型車が入れないなどの理由で空白域も目立つ(横浜市地域公共交通会議の資料より)

3月26日に横浜市中区で開かれた「横浜市地域公共交通会議」の場で明らかにしたもので、日吉・綱島エリア人口が増加し、新綱島駅の開業で交通結節点としての重要性も増していることから約1年間にわたる実証運行でニーズを探っていくといいます。

同会議で公表された計画案によると、運行対象となるエリアは日吉駅綱島駅新綱島駅日吉本町駅を含んだ日吉本町や箕輪町、綱島東(5・6丁目の鶴見川寄りを除く)、綱島西のほぼ全域と、日吉5・7丁目、高田東1・2丁目(高田駅近く)の一部、新吉田東2丁目などの範囲。路線バスの運行本数が多い下田町は対象外としました。

実証運行の範囲内には乗降できる約90のスポットを設ける計画。現地にバス停などは置かず、アプリ上で乗降区間を選ぶ際に使う。範囲や乗降スポットは変更される場合がある(横浜市地域公共交通会議の資料より)

エリア内に約90カ所の「乗降スポット」を設け、11人以上が乗れるワゴン車を9時30分から16時30分まで運行し、1回あたりの乗車料金を500円(小児半額)に設定する予定とのこと。混雑する朝と夜の通勤時間帯における運行は避け、昼間の移動需要を掘り起こす考えです。

通常の路線バスのように時刻表は設けず、乗車時は専用アプリで乗車区間と人数を予約すると、ワゴン車の到着時刻が表示される仕組みになるといいます。電話での予約も受け付ける予定。

実証運行にはAI(人工知能)を用いたシステムを活用する(横浜市地域公共交通会議の資料より)

AI(人工知能)を用いた専用アプリとシステムは、全国各地で乗合型移動サービスmobi(モビ)」を展開するCommunity Mobility(コミュニティモビリティ)株式会社(東京都目黒区)が提供。同社は高速バスの運行で知られるWILLER(ウィラー)株式会社(大阪市北区)の傘下で、KDDIとの合弁企業として2022年4月に設立されています。

また、東急バスではTsunashima SST(綱島サスティナブル・スマートタウン)協議会東急ストアとも連携していく予定とのことです。

今回の実証運行ではワゴン車が使われる予定(イメージ、PhotoACより)

今回の実証運行は、地域交通の維持と活性化を目的とした国土交通省の「共創モデル実証運行事業」(共創・MaaS実証プロジェクト)に選定されており、国の補助を受けて実施。

運行対象となるエリア内には、坂道が多くバス停からも距離のある日吉本町の一部や、宅地としての人気が高まっている一方でバスの便数が極端に少ない日吉元石川線沿い、大型マンションが建つものの停留所のない新吉田東2丁目などがあります。

計9万人以上が住んでいるとみられる設定エリア内で、昼間移動ニーズの有無や、国の補助がなくても採算ベースに乗せることができるか否かなどを1年かけて探ることになりそう。

大型車が入れなかったり多くの需要を見込めなかったりするエリアでは、ワゴン車を使った路線やオンデマンド交通を模索するケースが横浜市内でも目立ってきたが、本格運行に至らない場合が少なくない。写真の都筑区東方町周辺では横浜市営バスがワゴン車を使った路線を新設したが、需要を掘り起せず、1年ちょっとの実証運行のみで撤退が決まった(3月18日)

東急バスでは運行開始までに対象エリア内で住民向けの説明会を開くなどして、地域に周知していく考えです。

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【参考リンク】

東急バス「オンデマンドバス」の紹介ページ(世田谷区や大田区で運行している)

乗合型移動サービス「mobi(モビ)」の紹介ページ(コミュニティモビリティ、今回の実証運行はmobiのシステムを使って行われる)


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