東急新横浜線(相鉄・東急直通線)の開業を待たずに、新たな地下道が整備されそうです。
2022年度下期(2022年10月~2023年3月)に開業予定の東急新横浜線の日吉駅と新綱島駅の区間(箕輪町)で、綱島街道がある箕輪町1丁目と、箕輪町3丁目を連絡する地下横断通路(地下道)の建設工事が進められています。
この場所では、かつて東横線が2001年に高架化された後、「日吉第1架道橋」と名付けられた高架下の通路が設置されていましたが、新横浜線の工事に伴い、架道橋近くにあった読売新聞の販売店「読売センター日吉」が立ち退き、移転。
現在は、地下道に降りるためのエレベーターも、同販売店跡付近と、箕輪町3丁目側の両方に設置する工事が進み、「このエレベーターにより、通路はどこまでつながるのか」といった声も多くあがるなど、付近を通りかかる人々からの大きな注目を集めていました。
この地下通路を、「安心・安全に通れる場所にしたい」との想いを強く抱いたのが、箕輪町町内会・日吉地区連合町内会会長の小島清さん。
「明るい雰囲気で、なるべく人が通りかかる機会を増やすことでの治安対策を行いたい」と、地域の代表として、地下道の壁にイラストを描くことを思いついたといい、区役所や鉄道建設の関係者、地下道の管理者などとの調整を経て、建設途中の地下道に子どもたちの絵を描くための了承を得ることができたと笑顔で語ります。
この提案に応じたのが、日吉台小学校(日吉本町1)、箕輪小学校(箕輪町2)、日吉南小学校(日吉本町4)、日吉台中学校(同)4校の学校・地域コーディネーターや、箕輪町子ども会が主体となった「企画チーム」の皆さん。
子どもたちへの声掛けやデザインの作成といった準備を進めてきたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の発出により、各小学校の児童の参加は断念せざるを得ない状況となってしまいます。
そんななか、「最小限の人数で、より高いパフォーマンスを」と、日吉台中学校の1、2年生(約30人)の美術部員に白羽の矢が立つことに。
今月(2021年)2月6日と、20日の土曜日に、3つのグループに分かれてそれぞれが別の時間帯に地下道に入り、模様やイラストを描く作業を行っていました。
当初、小学生が参加することも想定されていたことから、「簡単な幾何学(きかがく)模様を」と、箕輪町子ども会副会長の渡邊香織さんがデザインした、日吉の街の優しさをイメージに込めたという、暖色系のパステルカラーによる四角のデザイン模様のみを、地下道に描く想定での作業を進めていました。
しかし、2グループまで作業を行った初日で作業が完了してしまったことから、美術部員の中からイラストのデザインを募集。
3グループ目が作業を行った20日には、部員たちから選ばれたイラストを一人ひとりが分担して描き、協力しあいながら色を付けて完成に導いていました。
イラストを描く許可を得るまでの各方面の調整に奔走した港北区区政推進課の田中郁雄課長は、「小島会長から(地下道に絵を描くことについての)打診をされた時、特に治安対策ということで協力しなければと感じるほどに、小島さんの熱意が伝わってきました」と、同課でまちづくり調整を担当している岡村将志担当係長とともに、今回のイラスト制作が実現したことを喜びます。
小島さんも、「イラストに加え、地下道付近への防犯カメラや、郵便ポストの設置といった“工夫”で、より治安対策を行っていきたいと各方面と調整中です」と、さらなる安全対策への想いも馳せながら、地元の中学生たちの活躍に目を細めていました。
まだ地下道は工事の途中段階ということもあり、現在も立ち入りや通行は不可となっていますが、「来年度の後半から年度末(2021年10月~2022年3月末)までにはおそらく通行が可能になる見込み」(東急電鉄の工事担当者)とのこと。
その時には、現在、日吉駅側にある高架下の横断通路は撤去される予定とのことで、地下道の利用開始に向けての工事の進捗状況も、特に箕輪町3丁目と行き来する住民や通行者にとっては気になるところとなりそうです。
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【参考リンク】
・日吉駅付近工事(2工区)の進捗状況(令和2年12月末現在)(鉄道運輸機構)※「横断通路部」地上出入り口となるエレベーター付近の写真も