近郊の小・中・高校生たちに親しまれる理系キャンパスでありたい――そんな想いを抱きながら、地域に根差した行事として企画されている「矢上祭」(同実行委員会主催)が、今年(2019年)で20回目となる節目の開催を迎えます。(※)2019年10月10日編集部追記:主催者によると、台風19号の進路状況や交通機関への影響から、両日とも開催中止とのことです。
矢上川沿いの日吉3丁目にある慶應義塾大学理工学部の矢上キャンパスで、毎年10月上旬の土曜日、日曜日に行われる学園祭として、広く地域で親しまれている矢上祭。
今年は、今週末の10月12日(土)12時15分から19時まで、10月13日(日)10時から19時までの2日間の開催を予定し、300人を超える同実行委員会の学生により、着々と準備が進められています。
今回のテーマは“Spark(スパーク)”。「20 年間積み上げた土台を活かし、どこまでも弾けていくような活気づいた学園祭」(同祭の公式サイト)を目指すとのこと。
「パンフレットの表紙も、“スパーク”(というテーマ)を“光”に見立てて表現しました。20周年の記念として、さらなる発展をとの願いを込めて作成しました」と、同会広報局の局長で、慶應義塾志木高校(埼玉県志木市)出身で川崎市在住の金子真史(まさし)さんは、1・2年生がデザインしたという、届いたばかりだという同冊子を手に取り、その一冊に込めた想いを熱く語ります。
7つの部局・執行部の300人超が「想い一つに」イベントをつくる
1年に1回の“理系の祭典”が開かれるまでのプロセスには、実はほぼ1年近い歳月の準備期間が設けられています。
前年の「矢上祭」が終了したのち、数週間で同会のメンバー募集は始まるといい、7つの部局と、統括する執行部で組織・運営されているとのこと。
実行委員を引っ張るリーダーは、委員長で愛知県名古屋市出身の中野夏海(なつみ)さん。大学入学した際の新歓活動を見て「面白そう」と感じ、「矢実(やじつ)」と言われる同会への参加を決めたといいます。
片道2時間もかけて通学しているという、東京出身の副委員長・藤田晃成(あきなり)さんも、「慶應義塾の、しかも理系学生ばかり集まれるという特殊性もあり、まさに“最初の友達”が作れると好評なんです」と、学年単位では約100人規模での入会者があることにより、矢上キャンパスで最大規模のコミュニティーに“参加できる”という、かけがえのないメリットが同会にはあるとのこと。
室内でのイベントを今年は8企画も運営するという、室内局の局長・佐伯爽(あきら)さんは日吉出身。「小学生時代に子ども会で参加した“お化け屋敷”の記憶が印象的でした。室内局で、逆に企画する立場となりました」と、より地域に根付いたイベントとして成長し、また地域向けの企画もより深まってきていると、自身の想い出にも重ねて、笑顔で“地位密着イベント”として根付かせたいという想いを語ります。
「事前の仕事」と「当日の勝負」で役割分担も
矢上祭を運営するにあたっての「仕事のタイミング」が大きく分かれる部局も。「まさに“事前の仕事”が大半の比率を占めています」と語るのは、東京都出身で渉外局局長を務める井田美咲季さん。
「高校時代、推薦入学で慶應義塾への進学を決めていた時に、初めて“子どもたちであふれる”矢上祭を、当時の友人と初体験しました」と、矢上祭と自身の初めての出会いを語る井田さん。
井田さんたち渉外局のメンバーが奔走したスポンサー獲得。今年度の協賛企業数は計189社(日吉近郊の地元店舗などを除く、2019年9月20日現在)に上るなど、「地元企業には直接出向くことで、お店を知り、コミュニケーションをはかることもできました」と、直接訪問や電話で交渉、卒業生のつながりのある先も歓迎してくれるケースも多く、協賛が毎年増加傾向であることを井田さんは喜びます。
開催当日は、協賛してもらった物品を、福引やゲームなどの景品としてプレゼントする予定とのことで、「多くの企業や店舗の皆さんの魅力を伝えることができたら」と、当日にも行う予定の“渉外局”としての仕事をアピール。多くの来場を呼び掛けます。
また、“当日こそが大きな勝負”となるのがステージ局。横須賀市出身の局長・服部和(やまと)さんは、メインステージの企画・運営や、設営・誘導など、まさに開催両日の一切合切を取り仕切る重責を担います。
「1年生は、イベントそのものをほとんどのメンバーが未経験なので、ステージの進行を想像しづらいことから、きちんと運営できるのかどうか。“頑張り甲斐”がある仕事なので、(未経験のメンバーにも)しっかりと教え、ステージの成功に導いていけたら」と、その進行の難しさ、ゆえに感じる仕事のやりがいについても言及します。
今年は20周年を記念してのスペシャル・ゲストに、テレビアニメ「ONE PIECE(ワンピース)」の主題歌の歌手として知られるきただにひろしさん、ポケットモンスターの声優・歌手として知られる松本梨香さんを招いた交渉も、「(服部さんらが)20周年ということで特別にお願いしたんです。大型ゲストを2人も招けるのは、大変珍しいこと」と、2人の矢上祭でのコラボが実現することに、ぜひ注目してもらいたいと意気込みます。
20周年ならではの企画が盛りだくさん、「より多くの来場を」
室内局では、20回開催を記念し、やはりスペシャルゲストとして、人の心を読み、操る技術「メンタリズム」を駆使するメンタリスト・DaiGo(ダイゴ)さんほかを招いての室内ステージ「Yagami ch.」を開催。
今回は、数字の「20」にちなんだ小企画も多く練っているといい、2017年の約1万300人、2018年の約1万千人を多く超える1万5千人の来場を目指していると、実行委員長の中野さん。
「新しい試みとして、ドット絵での装飾によるお菓子プレゼントにもチャレンジします。また、毎年恒例の花火も、よりグレードアップしフィナーレを飾る予定です。ぜひ、300人の“矢実”メンバーの想い詰まった、20回目ならではの矢上祭に、お近くの皆様と一緒に参加してもらえたら」と、中野さん、藤田さん、そして同実行委員のメンバーは、当日の多くの来校を呼び掛けています。
【参考記事】
・2018年「矢上祭」は10/6(土)・7(日)、ロボットやARなど先端技術の体験も(2018年10月4日)※昨年の記事
・初の“高校生クイズ”や東大・早大とのコラボも、2016年「矢上祭」は10/8(土)・9(日)に(2016年9月19日)※追記レポートあり
【参考リンク】
・【第20回矢上祭中止のお知らせ】(矢上祭公式サイト)※リンク追記
・20th矢上祭公式プレサイト(同実行委員会)