自然や歴史を体感、日吉の塾がフィールドワークで「学び」深める試み

横浜日吉新聞
昨年(2017年)4月に行われた「片倉城跡公園」(東京都八王子市)フィールドワークの様子。社会科講師の石井覚さんが案内した(ひよし塾提供)

昨年(2017年)4月に行われた「片倉城跡公園」(東京都八王子市)フィールドワークの様子。社会科講師の石井覚さんが案内した(ひよし塾提供)

法人サポーター会員による提供記事です】日吉の塾を飛び出し、自然や歴史を「肌身」で学ぶ機会を大切にしています。日吉駅から徒歩約3分、日吉中央通りにある「ひよし塾」(日吉本町1)では、子どもたちが「主体的に」自然や歴史などをリアルに学ぶ時間を提供したいと、屋外での「フィールドワーク」を実施しています。

同塾を運営する株式会社タマダ代表取締役で塾長の玉田久文(ひさあき)さんが、前身の中堅塾・フェリックス練馬教室(練馬区)に勤務していた2008年から行っているもので、日吉でも2011年からスタート

現在、名寄市立大学(北海道名寄市)准教授柳原高文(たかふみ)さんが、当時講師として理科を担当していたことから玉田さんと知り合い、「イラスト暗記で入試を乗り切ってもあとが続きません。自然に気づき、そこから生まれる驚きと好奇心から身に着ける勉強は一生の宝物です」(柳原さん)と、フィールドワークの大切さを訴え、実践する柳原さんの理念に共感。

ひよし塾でも、現在、春から夏にかけて「フィールドワーク」を年間6回(2018年)開催しています。

農学博士・森林インストラクターの柳原さんが伝える「自然の発見」

現在、名寄市立大学(北海道名寄市)准教授として教鞭をとる柳原高文(たかふみ)さん(中央)との出会いが、フィールドワークを開催・継続するきっかけとなった。2011年11月、小石川植物園でのフィールドワークの様子(ひよし塾提供)

現在、名寄市立大学(北海道名寄市)准教授として教鞭をとる柳原高文(たかふみ)さん(中央)との出会いが、フィールドワークを開催・継続するきっかけとなった。2011年11月、小石川植物園でのフィールドワークの様子(ひよし塾提供)

宇都宮大学大学院農学研究科森林科学を専攻し、農学博士となった柳原さんは、森林インストラクター、同資格の普及教育を行う一般社団法人全国森林レクリエーション協会(東京都文京区)の研究員としても知られています。

主な研究テーマは、自然の中で遊び学ぶ「森のようちえん」「森林環境教育」だという柳原さん。

柳原さんの案内により、映画『となりのトトロ』(1988年公開)の舞台のモデルになったといわれる狭山丘陵(埼玉県所沢市)でフィールドワークを行った際、「生えている草、落ち葉についても、柳原先生が一つひとつの名前が分かる。一つひとつ、全て説明できるんです」と、玉田さんは、柳原さんが自然を熟知し、それを子どもたちに教える姿に、大変驚いたといいます。

植物の名前を「全て説明できた」という柳原さんの姿に塾長の玉田久文(ひさあき)さんも驚き、「机上の学習だけでなく、外で学ぶことこそが大切」という理念に心から共感したという(ひよし塾提供)

植物の名前を「全て説明できた」という柳原さんの姿に塾長の玉田久文(ひさあき)さんも驚き、「机上の学習だけでなく、外で学ぶことこそが大切」という理念に心から共感したという(ひよし塾提供)

また、小石川植物園(東京都文京区)でも、サクラやイチョウ、ツバキ・サザンカ・チャノキの違いなどを観察した際の成果として、「まさに“百聞は一見にしかず”。何度も何度もイラストで勉強して身につかない植物分野が数時間で頭に入ったと思います」と柳原さん。

玉田さんは、植物に興味がない児童が関心を持ってくれたのも驚きだったとのことで、「教材やテキスト、そしてテストに出てくるものが、実際に見てみることで、リアルに分かる。理解できるんです」と、机上で学ぶだけでは身につかない、リアルに自然や土地に触れ、学ぶことの大切さを痛感したとのこと。

ひよし塾では、現在、新年度にあたると冬の2月から、ほぼ毎月に1回、夏までの間にフィールドワークを行っていますが、それは、「将来の人づくり、“アクティブ”な学びには、リアルでの自然・社会学習は欠かせない」との願い・想いがあるからこそと、玉田さんは力を込めて説明します。

日吉から行ってみたい「学び深める」お勧めスポット

2010年5月、葉山の海岸でのタイドプール学習。大潮の日に現れる潮溜まりで生き物学習などを実施。ひよし塾では現地インストラクターに案内を依頼することで、安心して学ぶことができるという(ひよし塾提供)

2010年5月、葉山の海岸でのタイドプール学習。大潮の日に現れる潮溜まりで生き物学習などを実施。ひよし塾では現地インストラクターに案内を依頼することで、安心して学ぶことができるという(ひよし塾提供)

ひよし塾が行うフィールドワークでは、インストラクターが同行してこそ安心・安全に行えるものもありますので、個人で行くには適さない場所もありますが、自然・歴史学習の参考として、ここに3つのスポットを紹介します。

タイドプールで「海の生き物」観察

【ひよし塾では、海の現地ガイド付きで実施】目的地は、JR横須賀線逗子駅からバスで約20分の芝崎海岸(三浦郡葉山町)。海の干潮、満潮の差が大きい「大潮」の日には、普段、海底である場所が「潮溜まり」として現れる「タイドプール」が出現するとのこと。

そこには、“普段目にすることのできない”海の生き物たちの姿が。ヤドカリ、ウニ、タコといった分かりやすい生き物だけでなく、ウミウシやアメフラシなど、「不思議な生き物」に出会えることも。

2014年4月、芝崎海岸でのタイドプールの様子。珍しい海洋生物を探すドキドキ・ワクワク感が魅力とのこと(ひよし塾提供)

2014年4月、芝崎海岸でのタイドプールの様子。珍しい海洋生物を探すドキドキ・ワクワク感が魅力とのこと(ひよし塾提供)

また、砂浜に打ち寄せられた波で削られた貝や漂着物などを集め観察する「ビーチコーミング」(時に危険物もあり)も行います。

磯の観察用に適した履物(古いスニーカーやアクアシューズ、サンダルなど)や、観察用の箱めがね(刺身パックの透明ふたでも代用可能)、カゴやバケツ、網や軍手などの持参をおすすめしているとのこと。

日程を組む際は、カレンダーで大潮の日(満月や新月の日やその前後)をチェック。

また、岩礁(がんしょう)や隆起した場所が潮が引くと歩けるため、つい遠くまでいってしまいがちですが、潮が満ちてくると取り残されてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

城址見学~八王子城に登ろう!

自然の地形を利用している「八王子城」の当時の様子をジオラマで学習。2014年5月訪問時に八王子市が運営するガイダンス施設で(ひよし塾提供)

自然の地形を利用している「八王子城」の当時の様子をジオラマで学習。2014年5月訪問時に八王子市が運営するガイダンス施設で(ひよし塾提供)

【ひよし塾では、自然ガイドや社会科講師が同行し実施】「城」というと、「巨大な天守閣」や城壁、その周囲を囲む堀といったイメージが一般的ですが、戦国時代の城の多くは「山城」で、自然の地形を利用して作られています。この戦国時代の末期(16世紀後半)に作られた「八王子城」(八王子市)も、天守閣は存在しません。

しかしその城址は2006年に、東京都内では江戸城のほか唯一「日本百名城」(公益財団法人日本城郭協会=東京都品川区)に選ばれており、高尾山(八王子市)にも近いことから、人気の城址スポットとなっているとのこと。

この日も石井先生のナビゲーションで城址を散策。歴史と自然を学べる貴重なスポットという(ひよし塾提供)

この日も石井先生のナビゲーションで城址を散策。歴史と自然を学べる貴重なスポットという(ひよし塾提供)

国が指定した史跡の八王子城は、指定面積159ヘクタール(159万平方メートル)にも及ぶ広大な山城ということで、八王子城の歴史や意義などを、初めて訪れた方にもわかりやすく解説することを目的とした「ガイダンス施設」も、2012年10月にオープンしています。

広々としたエリアには、戦国時代に落城した際、悲劇の滝と言われた「御主殿の滝」や、2016年に復元的整備工事が完了したばかりの「御主殿跡」など、歴史を体感できるスポットも。

また、高尾山周辺ならではの自然の中、“珍しい”樹木や草花との出会いもあり、「社会(歴史)も、理科も勉強できる貴重なスポットです。山登りで少し疲れますが、暑さ・寒さ対策をしっかりと、履きなれたスニーカーで、水分やおやつも多めに、雨具もしっかりと持参して訪れてみてください」(玉田さん)と呼び掛けます。

八王子城址まではJR中央線・京王線高尾駅北口からバス。土曜日・日曜日・祝日のみ「八王子城跡」行が運行されているとのことです。

湘南モノレールで行く江の島の歴史と散策

2017年2月は江の島へ。懸垂式のモノレール乗車や鎌倉、江戸、そして明治時代の歴史もたどれるスポットが点在するなど、フィールドワークには最適な場所という(ひよし塾提供)

2017年2月は江の島へ。懸垂式のモノレール乗車や鎌倉、江戸、そして明治時代の歴史もたどれるスポットが点在するなど、フィールドワークには最適な場所という(ひよし塾提供)

【ひよし塾では、社会科講師が同行し実施】中世に幕府が置かれていた鎌倉周辺には、歴史的スポットが満載。

ひよし塾では、鎌倉周辺の歴史を学ぶ「フィールドワーク」も多く実施しており、この「江の島の歴史と散策」(高学年が対象)では、鎌倉時代になぜ刀鍛冶(かじ)が鎌倉にいたのか、といった歴史や、源頼朝と江の島との関係、江戸時代に盛んだったという「江ノ島詣」、岩礁むき出しの地形について学ぶ「岩屋洞窟」の散策など盛りだくさんの内容で好評を博しているといいます。

特に、「湘南モノレール」の乗車も「生徒がびっくりする体験です。懸垂型で動くしくみに驚き、子どもたちの歓声があがるんです」と、ちょっとした小旅行の中に、新しい発見や学びがあるとのこと。

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2012年5月、生田緑地にて柳原先生を囲んだフィールドワークを実施。リアルな学びを通じて、子どもたちの「主体性」「積極性」も伸ばしたいと塾長の玉田さん(ひよし塾提供)

2012年5月、生田緑地にて柳原先生を囲んだフィールドワークを実施。リアルな学びを通じて、子どもたちの「主体性」「積極性」も伸ばしたいと塾長の玉田さん(ひよし塾提供)

今年は猛暑ということもあり、家族で遊び訪れられるスポットも限られる可能性もありますが、「当塾では、『フィールドワーク』内で入試問題にチャレンジする企画も設けるなど、より楽しく受験勉強においても学べる工夫を行っています。ご家族やご友人たちと、企画・アイデアに工夫を重ね、学びに最適なスポットを探し、訪問すると、より楽しい夏の発見につながるのではないかと思います。当塾紹介のスポットも、自由研究や校外学習としてぜひ訪れていただければ」と玉田さん。

2020年度から順次全面実施される予定の新学習指導要領(国・文部科学省)でも、「生命の有限性や自然の大切さを学ぶ体験活動の充実」や、「見通しをもった観察・実験(小中学校・理科)などの充実」が謳(うた)われています。

新要領に先駆けて「体験・観察」をリアルに実践するひよし塾の「フィールドワーク」の取り組みは、次世代を生きる人材を育む「塾」の未来像を提示しているといえそうです。

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【参考リンク】

ひよし塾公式サイト(株式会社タマダ運営)

ギャラリー(ひよし塾公式サイト)※フィールドワークの写真集

「フィールドワーク」の記事一覧(中学受験塾 ひよし塾のつれづれ日記)

柳原 高文(やなぎはら たかふみ)(名寄市立大学・教育研究・地域貢献~教員総覧・社会保育学科)

法人サポーター会員:中学受験ひよし塾~株式会社タマダ提供)


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