きょう2016年3月11日で、東日本大震災の発生からちょうど5年を迎えたことになりました。発生時と同じく5年前も金曜日。まさかあれほど大きな地震に見舞われるとは思っていなかったのではないでしょうか。
以来、大地震に対しての防災意識は日吉や綱島では高まっていますが、5年も経つと人の記憶も少しずつ忘れてくるものです。この機会に、日吉(横浜側)と綱島、川崎日吉(南加瀬、矢上など)、中原区の井田や木月など、もし日吉周辺で大地震に見舞われた時、何が起こるのかを考えてみました。
どこの活断層でどんな地震がいつ起こるかの予測は、現在の技術では困難ですが、今住んでいる場所の地層や環境から、地震発生直後の危険性を想定することはそれほど難しくはありません。
日吉周辺の地域でもっとも注意しなければならないのは「液状化」と「土砂災害」の2つです。
綱島街道沿いの一帯で「液状化」のおそれ
現在、横浜市では1703年に実際に起こった巨大地震「元禄型関東地震」をはじめ、これから起こる可能性がある「東京湾北部地震(首都直下地震)」と、静岡から九州付近までの海底で起こる「南海トラフ地震」の3つの地震を想定し、どの場所で液状化の危険性があるかを示した「液状化マップ」を公開しています。
これを見て驚かされるのは、綱島から箕輪町2丁目にかけての綱島街道沿いのエリアで、「液状化の危険性がきわめて高い」と警告されていることです。
綱島では駅付近(日吉寄り)が危険区域となっているほか、綱島街道の長福寺信号付近から旧アピタ日吉店付近までの一帯が「液状化危険度が高い」と判定されています。ここまで広範囲にわたって警告されているのは、港北区でもほかには見当たりません。
危険度が高いと判定された区域には、パナソニックの工場跡地を使った「Tsunashima(綱島)サスティナブル・スマートタウン」(綱島SST、綱島東4)や、旧アピタ日吉店などの再開発地も含まれています。これらのエリアがかつて沼地や水田などであったことから、高い危険性があると判断しているようです。
一方、綱島街道沿いでは、隣接する川崎市中原区の木月3~4丁目でも危険度の高い判定となっているほか、幸区内ではいわゆる「川崎日吉」地区である南加瀬の日吉近接地や矢上地区で注意を要するとされています。
以下に詳しい資料が公開されていますので、住んでいる地域がどのように判定されているのかについて、一覧しておいて損はないはずです。
<日吉周辺で液状化の危険度が指摘されている地域一覧>
※すべてPDFファイルで、港北区の資料は若干重いです
・港北区液状化分布図:元禄型関東地震の場合/東京湾北部地震の場合/南海トラフ巨大地震の場合
・川崎市直下の地震での液状化危険度:中原区(木月3~4丁目など綱島街道沿いで高い危険度)
・川崎市直下の地震での液状化危険度:幸区(南加瀬の横浜日吉近接地や矢上地区で注意喚起)
日吉全域で土砂災害の危険、隣接の井田や南加瀬も
一方、丘陵が多い日吉周辺地域ならではの危険性としてあげられるのが地震後の土砂災害です。東日本大震災の時には、日吉で被害は出ませんでしたが、福島県などを中心に土砂災害を原因とする死者が全国で19人出ています。直下型地震だったらさらに増えていたかもしれません。
日吉では山を削って家やマンションを建てているケースも多く、土砂災害の危険性が高いといわれる傾斜度が30度以上の「急傾斜地」(いわゆる「崖=がけ」)は30箇所が指定されています。多くの町で一カ所以上が指定されており、指定区域が1つもないのは日吉5~6丁目、日吉本町3~4丁目、箕輪町2丁目、下田町2丁目の6区域(字=あざ)にすぎません。
また、日吉に近接する中原区や幸区では、井田や川崎日吉地区など、すべて日吉に近接している地域が急傾斜地として指定されています。
一方、綱島では丘陵地帯の綱島台を中心に6カ所が急傾斜地です。このなかには、綱島東2丁目の「諏訪神社」付近や「綱島地区センター」周辺の綱島西1丁目も入っています。
どの場所が急傾斜地として指定されているのかについては神奈川県が詳細地図を公開しており、住んでいる場所周辺の危険性を知ることができます。
<「急傾斜地」(土砂災害警戒区域)として指定されている場所>
※ページ右側の「図面区域図」をクリックすると詳細な地図が閲覧できます
・港北区の急傾斜地一覧(区内221区域のうち日吉は30区域、綱島は6区域)
・川崎市中原区の急傾斜地一覧(8区域すべてが日吉の近接地)
・川崎市幸区の急傾斜地一覧(7区域すべてが「川崎日吉」エリア)
大きな地震が起こった際、日吉周辺でまず警戒したいのは「液状化」と「土砂災害」。具体的にどこに危険性が潜んでいるのか、今日を機にぜひ確かめてみてください。
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