新綱島駅上の再開発ビルが「悲願」のオープン。地域への“お披露目”となった初日の賑わいに、この先さらに進むであろう綱島再開発の息吹を感じることができそうです。
2016(平成28)年度から本格的に始動した東急新横浜線・新綱島駅(綱島東1)周辺再開発のシンボル的な存在となっているビル「新綱島スクエア」の5階建て商業(低層)棟で、きのう(2023年)12月6日午前、新たに7つのテナントが新オープン。
開店を待ちわびた地元・綱島近郊からの来店客を中心に、多くの人々がそれぞれの店舗を訪れていました。
新綱島駅から「新綱島スクエア」に連絡する通路から同ビルへの入口は、始発電車が運行開始する時間から開放。
最も早いオープン時刻となる「タリーズコーヒー新綱島スクエア店」のオープン時刻となる朝7時30分には、「朝6時頃から周辺を見ていました」という地元・綱島からの男性客を先頭に、約40人が列を成す状況となっていました。
同店は779番目の店舗としてオープン、通常店舗よりやや大きめだという約180平方メートルの広さを持つ同店にはまたたく間に多くの来店客が訪れ、しばらくの間は“長蛇の列”が続く状況が続いていました。
68席と店舗前の共用部分に設置されたベンチでも飲食が可能だという同店には、コンセント付きの座席がカウンターやレジ近くにも配置されているほか、独自にトイレ2カ所も設けられています。
「座席はクッション素材で座りやすい仕様としています。バッグも背もたれと座席の間に置くスペースがあります。ゆったりと過ごしてもらうことができれば」とタリーズコーヒージャパン株式会社(東京都新宿区)営業本部の担当者。
店舗責任者の岩崎彩女(あやめ)さんは、「地域の活性化のために、様々なことにチャレンジをしていくことができれば」との想いを語っていました。
「きらぼし銀行」ではオープンセレモニーも
朝8時には、綱島駅(綱島街道)側に2台設置された「きらぼし銀行」の銀行ATMがオープン。
関係者が見守る中、無事の稼働を確認。全日8時から21時まで利用できるとのことで、「店内のATMは、店舗の営業時間(平日:10時~19時、土日祝10~17時)での稼働となりますが、綱島駅側の利用時間は長いこともあり、好評を博しそうです」と同銀行の担当者。
10時の「新綱島支店」オープンを前に、株式会社きらぼし銀行頭取で株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ(東京都港区)の渡邊壽信社長と、綱島地区連合自治会の佐藤誠三会長、同店の佐藤顕太朗支店長がテープカットを行い、開店前の式典のひとときを関係者とともに祝うシーンも見られていました。
164店舗目のオープンになったという同店は、土・日曜日と祝日も営業することをはじめ、「キャッシュレス」を志向し現金の取り扱いは行わず、対面サービスは資産運用や各種ローンなどの相談業務を中心に行うこと、ロビーでモニター上の“アバター(分身)”を通じた接客を初めて採り入れるなど、デジタルツールをフル活用した店舗運営をスタートしたことも大きな特色となっています。
店頭のアバターにはファミリー層なども早速駆け付けるなど、「これまでにない多世代の来店となっています。デジタルが苦手な方にも寄り添っていく店舗運営ができれば」と、営業企画部次長の小幡貴弘さんは、新しい店舗ならではのチャレンジやサービスを行っていきたいとの意気込みを熱く語っていました。
「フランスのマルシェ」気分で買い物を
「タリーズコーヒー」の向かい、ブルーブルーエジャパン株式会社(東京都渋谷区)では176店舗目のオープンになったという生活雑貨店「マルシェドブルーエプリュス(Marche de Bleuet plus)」。
約200平方メートルもの広めだという店舗空間に、「『衣・食・住』をテーマに、シンプルですが“大人の遊び心”のある雑貨をラインアップしました」と、日々の暮らしの中で“癒し”となるような商品を取り揃えていると店舗の運営責任者。
フランス語で「ヤグルマギク(矢車菊)」を表す「ブルーエ」という会社名に、「マルシェを散歩するような空間で、日々の生活にプラスしての“ちょとしたこだわり”の商品を探してもらいたいという店名の由来となっています」と、フランスの“マルシェ”のような店舗での買い物をゆっくり楽しんでもらいたいとの店名に込めた想いを語っていました。
11時から昼過ぎまで「一風堂」に長い列
お昼の11時には、新たに博多発祥のラーメン専門店「一風堂」がオープン。
地元・綱島から訪れたという来店客を先頭に、オープン時には約40人の長い列となり、「新綱島スクエア」オープンの賑わいを感じさせる風景を生みだしていました。
全国に約130店舗を展開し、神奈川県内では6店舗目となる同店舗は、港北区内では新横浜店(キュービックプラザ新横浜・篠原町)に次ぐ出店になるといいます。
約100平方メートルだという店内は、シンガポールやオーストラリア、インドネシアそしてイギリスにも38店舗を展開する同店らしく、「インバウンドを意識し、歌舞伎のデザインを採り入れました。海外から来店されるお客様も意識した内装に仕上げています」と同店の店舗開発担当者。
“赤”の壁面が鮮烈な印象の店内に、“和モダン”を感じられるかのような空間美を演出しています。
店長ほか一人ひとりの店員による「活き活きと」活気ある声だしでの接客も特徴となっている同店。
「10月にリニューアルしたばかりの定番ラーメン『白丸元味』や『赤丸新味』などもお楽しみいただけます。ぜひ当店ならではの“熱々”のラーメンを味わってもらえれば」(同担当者)と、多くの来店を広く呼び掛けています。
「生産者」の想い伝える花店は“夕方賑わう”
約20平方メートルという“大きくはない”空間で14店舗目になるという店舗をオープンした生花店「フルールメサージュ(Fleur Message)」。
「フルール」はフランス語で「花」。「メサージュ」は「メッセージ」の意味をあらわす店舗名に象徴されているように、「生産者と消費者の皆様をつなぎたいとの想いで、店舗運営をスタートしました」と、同店を経営するジャパン・フラワーネットワーク株式会社(東京都品川区)の平田定亮社長。
生花の通信配達ネットワークの運営と管理を行うなか、東日本大震災があった2011(平成23)年に最終消費者との接点を持てる店舗の運営をスタートしたといいます。
「切り花は、緑の部分、葉や枝が大事だと思っています。本当の花好き、枝もののことを理解してくださるお客様に支持していただき、さらには生産者の想いを伝えたいと、産地の方を呼んでイベントを行うといった取り組みも行っています」と、「南町田グランベリーパーク」(東京都町田市)の店舗で行っているイベント活動実績などもプレゼンテーションに盛り込み、新綱島での出店が決定したと説明します。
「花を中心とした地域とのコミュニケーションや花の素晴らしさを感じてもらうチャレンジを行っていくことができれば」と、平田社長は通常“職場帰りの夕方が混みあう”であろうと予測する新店舗に込めた想いを熱く語り、開店直後の店舗の様子を、穏やかな表情でしばらく見守り続けていました。
“悲願のオープン”、しかし「ここからがスタート」と関係者
当初は2019(平成31)年4月に開業が予定されていた「相鉄・東急直通線(新横浜線)」にあわせ、事業が進められていた新綱島駅周辺の再開発。
しかし、2016(平成28)年8月に鉄道開業が延期されると発表され、それとともに再開発の進展も時間を要することになるなど、苦しさを伴う時期も。
「10年間、再開発事業にかかわってきました」と語るコンサルティング会社の担当者は、しみじみとした表情で「朝からずっと、わくわくする一日です」と話し、この日を無事に迎えられたことの喜び、そして“悲願の達成”を噛みしめるかの表情を浮かべます。
この日、「新綱島スクエア」を訪れていた「新綱島駅前地区市街地再開発組合」の組合員のうちの一人は、「きょう、また新しい歴史が始まりました。全てはここから。ここが、まだ“スタート地点”だと思っています」といい、まだ序章を迎えたばかりの綱島駅のこれからの「地域まちづくりの未来」に、確かな手ごたえを感じているかのようでした。
この日は、1階部分の4つの店舗のほか、2階フロアの大部分を占める「東急ストア新綱島スクエア店」や、再開発により再出店となった鍼灸院の「トータルケア綱島」もオープン。
同階には来年(2024年)1月4日に調剤を手掛ける「アイセイハート薬局」と、1月以降には3階のクリニックモール「メディパーク新綱島」の5つの医院も春に向けて順次開院していく予定とのことで、「変わる。つなしま つなぐ。つなしま」をテーマに据えた同施設らしい、新たな人とサービスの出会いの場として同施設のメリットを感じられる時間が増えていくことになりそうです。
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【参考リンク】
・新綱島スクエア公式サイト ※最新情報を掲載