横浜市港北区日吉周辺、また相鉄・東急新横浜線や地下鉄グリーンラインを利用する人々の“普段使い”を想定しての店舗づくりとなりました。
今年(2023年)1月15日に閉店した「天一書房日吉店」があった日吉東急アベニュー(日吉2)南館3階に、きょう(2023年)3月1日(水)、「丸善日吉東急アベニュー店」がオープン。
きのう2月28日(火)午前、広さ約793平方メートルの店舗内では、開店準備が着々進み、約628平方メートルの書籍エリアと、約165平方メートルの文具売場には新しい商品の陳列がほぼ完了。オープンに向けての最終チェックが進められていました。
「天一書房日吉店」の設備なども活用する形の“居抜き”での出店となることから、書籍エリアはこれまでの棚なども利用しての陳列となっていますが、高さや位置なども調節、通路幅をこれまでより広く感じられるよう工夫しての店舗レイアウトに。
文具売り場については、木目調などの新しい什器(じゅうき)も採用。都心など一等地の「丸善」店舗を彷彿(ほうふつ)とさせるかの落ち着いた雰囲気にアレンジしています。
同店を運営する株式会社丸善ジュンク堂書店(東京都中央区)エリアマネージャーの八木卓雄さんは、「慶應義塾や日大中学・高校など、“学生の街・日吉”のイメージがありますが、鉄道・バスの利用者も含めた、日常生活をこの街で過ごす皆様に“普段使い”をしてもらう店舗づくりを目指しています」と語ります。
店舗の特色については、まずは「岩波文庫などの文庫本を充実させています」と、“丸善らしさ”を追求した書籍ジャンルを重視し取り揃(そろ)えているといいます。
また、文庫新書ジャンルのアドバイザーとしても知識を磨いてきたという渡辺泰弘店長は、「幼児教育から大学受験の参考書といった、乳幼児から大学生までこの街で過ごす若い世代の皆様に向けた書籍も多く取り揃えました」と、学習参考書などの“教育ジャンル”の書籍を特に力を入れて取り扱っていく予定だと語ります。
文具については、丸の内本店(東京都千代田区)に本店を置く丸善らしい「高級感」あふれる商品も陳列されており、“普段使い”のみならず“特別な日”の利用にも重宝するシーンがありそうです。
慶應ゆかりの創業者が「横浜」で開業の歴史
なお、創業者の早矢仕有的(はやしゆうてき)は、慶應義塾の創設者・福澤諭吉に学んだ草創期の門下生として知られており、1867(慶応3)年に同塾に入塾。
その関係の中で、1868(明治元)年12月に当時居住していたという横浜で書店を開業し、翌1869(明治2)年に創業したといいます。
その翌年には東京・日本橋に店を開設し、さらにその翌年には大阪、翌々年には京都にと支店を設けていったとされています。
日本が第二次世界大戦に参戦する前の1939(昭和14)年には、日吉駅西口に洋書を扱う丸善書店が存在した(「日吉台地下壕保存の会」資料などによる)ともいわれており、慶應とのつながりの部分でも多くの人々に歴史と邂逅(かいこう)を感じさせるかの新たな出店となりそうです。
(※)この記事の記載内容について複数の読者からの情報提供がありました。ありがとうございます。
(※)2023年3月4日追記:新店舗では、洋書を取り扱う予定はないとのことです。
【関連記事】
・日吉東急の天一書房跡に「丸善」が出店、オープンは3月1日(水)(2023年1月16日)
【参考リンク】
・日吉東急アベニュー南館3階「丸善」出店の告知(日吉東急アベニュー)※営業時間:10時~21時
・9月8日は「ハヤシの日」(丸善ジュンク堂書店)※丸善の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)の創業の経緯などについても掲載
・【丸善創業150周年】出版物で辿る丸善の歴史 ~明治時代編(丸善出版のサイト)
・【福澤諭吉をめぐる人々】早矢仕有的(三田評論ONLINE)※慶應義塾高校教諭・末木孝典(すえきたかのり)さんによる執筆、慶應義塾広報室の情報提供によりリンク掲載