いつまで経っても投票にたどり着けない――先月の選挙では、人口急増エリアの現状を見せつけるかのような状況におちいっていました。日吉駅から綱島街道を歩いて約10分、綱島寄りの箕輪町2丁目では、この5年間で住民が3000人近く増え、今後もさらに1000人以上の増加が見込まれています。
先月(2021年)8月22日(日)に行われた横浜市長選挙。今回から初めて投票所に指定された箕輪小学校(箕輪町2=2020年4月開校)へ投票に訪れ、その行列の長さに唖然とした人も多かったのではないでしょうか。
箕輪小学校の投票所は、同校が位置する箕輪町2丁目をはじめ、周辺の日吉7丁目などの一部住民を対象としたもので、2年前の参院選挙までは箕輪町2丁目の「日大高校・中学校」の体育館を借りて行っていましたが、今回の市長選から市の施設である小学校へ移動しています。
前回の市長選と比べ港北区内の投票率が13.16ポイント上がったとはいえ、有権者の半分が棄権した選挙。それでも同小学校では、9時から12時ごろまで体育館からグラウンドを挟んで校門まで行列ができ、警備員が懸命に列の整理を行い、投票所のスタッフが急いで「ここが最後尾」といったプラカードを持ち込む姿も見られました。
同投票所の主な対象地域となっている箕輪町2丁目は、今年2021年7月までの2年間で住民が2237人(851世帯)増えており、今回の大行列は人口の急増ぶりを可視化したものといえそう。
この2年間、港北区内の人口も7288人(6682世帯)増えていますが、およそ3分の1が箕輪町2丁目での人口増がもたらしていることになります。
同町内で人口が増えているのは、野村不動産が再開発を行っているためで、工場跡地や商業施設の跡地を使い、2016(平成28)年の177戸を皮切りに、2019(平成31)年は58戸、翌2020年に362戸、今年2021年は417戸の分譲マンションを相次いで建設しています。
この先、同社は120戸のサービス付き高齢者向け住宅を同町内にまもなくオープンさせるほか、来年(2022年)には分譲マンション539戸の完成も控えており、さらに1000人以上の人口増は確実な状況です。
5年前の2016年7月には、5000人ほどしかなかった箕輪町2丁目の人口は、今年7月時点で7900人超に達しており、5年間で3000人近く増えたことになります。これは、神奈川県清川村の全村民(2800人超)が丸ごと移住してきたような規模です。
来年まではさらに増え続ける箕輪町2丁目の人口。決して広くはない、いち地域の住民にどんなインパクトを与えるのでしょうか。
■ 箕輪町2丁目の人口と再開発状況
▼ 2022年7月(推定)
- 人口:9,000人?(4,000世帯?)
(※)2022年6月「プラウドシティ日吉レジデンス3」(539戸)完成予定
(※)2021年10月サービス付き高齢者向け住宅「オウカス日吉」(120戸)完成予定
▼ 2021年7月【現在】
- 人口:7,907人(3,435世帯)
(※)2021年2月「プラウドシティ日吉レジデンス2」(417戸)完成
▼ 2020年7月
- 人口:6,718人(2,954世帯)
(※)2020年2月「プラウドシティ日吉レジデンス1」(362戸)完成
▼ 2019年7月
- 人口:5,670人(2,584世帯)
(※)2019年4月「プラウド日吉クロス」(58戸)完成
▼ 2018年7月
- 人口:5,486人(2,517世帯)
▼ 2017年7月
- 人口:5,484人(2,512世帯)
▼ 2016年7月
- 人口:5,044人(2,341世帯)
(※)2016年7月:「プラウド日吉」(177戸)完成
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【参考リンク】
・横浜市の「人口・世帯」(各種データ)