"薬物はダメ"をどう伝える?薬剤師が学校で教える「くすりと薬物の話」 | 横浜日吉新聞

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芸能人やスポーツ選手らが「薬物」を使用し逮捕されるというニュースが世間を騒がせている昨今、どのように地域の子どもたちに「薬物の危険性」を教えていったらよいのでしょうか。

綱島小学校PTA会議室で行われた「くすりと薬物の話」講演会。綱島駅西口ですみれ薬局を営む市川浩さんが登壇し、薬物乱用の危険性を訴えた(2月21日)

綱島小学校PTA会議室で行われた「くすりと薬物の話」講演会。綱島駅西口ですみれ薬局を営む市川浩さんが登壇し、薬物乱用の危険性を訴えた(2月21日)

綱島と大曽根、樽町地区で活動する港北保護司会綱島大樽地区では、“罪のない明るい社会の実現”を目指す「社会を明るくする運動」の一環として、先週(2020年)2月21日午前、綱島小学校(綱島西3)のPTA会議室で、地元薬剤師を招いた薬物乱用防止教室「くすりと薬物の話」講演会を初開催。

同小学校のPTA役員や、学校関係者、民生委員・主任児童委員や青少年指導委員、スポーツ推進委員や少年補導員など、地域活動を行うボランティアを招き、約1時間20分にわたりその危険性を伝え、理解してもらうためのミニ集会として実施しました。

講師に、綱島駅西口ですみれ薬局(綱島西1)を営む薬剤師で、神奈川県薬物乱用防止指導員協議会の港北支部指導員も務める市川浩さんを招へい。

薬物は「1回使っただけでも乱用になる」と説明

薬物は「1回使っただけでも乱用になる」と説明

小学校や中学校に招かれ、薬物の危険性を語る際に使用する際のスライド画像などを使用しての、小・中学生にどのように薬物の危険性を伝えていくべきか、という視点でのレクチャーが行われました。

そもそも薬物の乱用とは、「薬物を社会のルールからはずれた方法や目的で使うこと」と市川さん。

たった1回使っただけでも乱用になることや、ぼんやり、興奮し、幻覚が起こること、そして危険な薬物の種類として、覚せい剤や大麻(たいま)、MDMAやLSD、ヘロインやシンナー、危険ドラッグなどそれらが非常に多岐にわたるという点についても説明します。

それらは「とても危険な薬物」で、使うと「死んでしまう」こともあると、その危険性や恐ろしさについても言及。

たった一回の使用で、取り返しがつかなくなることも(神奈川県警のサイトより)

たった一回の使用で、取り返しがつかなくなることも(神奈川県警のサイトより)

世界各国の最高刑として、中国や韓国、シンガポールやタイでは「死刑」に処せられることも。フィリピンでも「終身刑」、イギリスやアメリカ、日本でも「無期懲役(無期拘禁)」として厳しく罰せられることもあると、国際問題としての薬物乱用についての厳しい処分についても説明します。

何より、「考える・食べる・笑う・走る・投げる・痛みを感じる」といった、人間の活動を行う神経細胞に命令伝達を行う「全てを支配する脳」の大切さ、そして薬物で傷ついた脳は、「治療ができず元に戻らない、治らない」と、その危険性を指摘。

に意識障害やけいれん、幻覚、妄想や記憶力の低下が生じるばかりか、心臓には心不全や不整脈、には胃痛や吐き気、おう吐、肝臓には黄だんや食欲不振、骨髄には貧血、は視力低下、気管支や肺には気管支炎(せき・たん)、腎臓はたん白尿といった症状が現れ、「全身がボロボロ」になってしまうと、その“悲惨な”恐ろしさについて子どもたちにも伝えていると語ります。

危険な薬物に誘われた時の「逃げる」ことの大切さについても言及していた

危険な薬物に誘われた時の「逃げる」ことの大切さについても言及していた

精子の異常や流産、死産、先天異常といった妊娠・出産の異常や、エイズ・肝炎・静脈炎といった各種感染症も発症しやすくなると、たった一回の薬物使用でも、二度と取り返しがつかなくなってしまうこと、そうして心身に与える影響のあまりの大きさを知ってほしいと、市川さんは力強く訴えます。

薬物を使用してしまい「やめたくても、やめられない状態」に陥ってしまうことは「依存」といい、「一回くらいなら大丈夫だろう」と使用してしまうと、たった一回の使用がきっかけであったとしても、繰り返し使用し、量が増えることで、イライラ感から「苦しい」と感じるまでに至ってしまうとのこと。

「たった一度使っただけでも、やめられなくなることも」と、その恐ろしさを強調します。

市川さんは、新田中学校での学校薬剤師として、同校での「薬物乱用防止教室」でも登壇している

市川さんは、新田中学校での学校薬剤師として、同校での「薬物乱用防止教室」でも登壇している

市川さんは、「『お金はこの次でいい』、『みんなやっている』、『イライラがとれてスッキリする』、『最高の気分が味わえる』、『一度だけなら』、『ダイエットに』『やめようと思えばいつでもやめられる』『勉強にも集中できる』といった、“天使の顔”をした“悪魔のささやき”には、決して乗らないでもらいたい」と、特に先輩、友人からの誘いといった近いところからの声かけにも、「きっぱりと断る勇気」が大切と説明。

“薬物を断る”理由を説明する必要はありません。とにかく“逃げる”ことも大切です」と、理由を伝えることで、逆に言いくるめられてしまうこともあるため、とにかく断り、そして逃げるよう、子どもたちにも伝えているとのこと。

この日は綱島、大曽根、樽町で地域まちづくりを行うボランティアなど約20人が集い、薬物の危険性について学んだ

この日は綱島、大曽根、樽町で地域まちづくりを行うボランティアなど約20人が集い、薬物の危険性について学んだ

特に、一見、薬物とは見えないパッケージや、ドリンク類などにも危険性があると指摘。特に海外では、危険な薬物が「近い場所」で流通しているケースもあるとのこと。

また、薬物を乱用したことで、“家庭や命(いのち)を失ってしまった”事例についても語るなど、市川さんは、「薬物乱用が生む悲惨な現実を広く知ってもらえたら」と語っていました。

現在、新田中学校(新吉田東5)でも学校薬剤師として講習を行っているといい、「まずは、一般的な病気などで医師に処方してもらう薬を、正しく飲み、使用することが“薬”の基本。他人からもらった(危険な)薬には、決して手を出さないで」と伝えているといいます。

市川さん、そして同保護司会では、子どもたちはもちろん、世代を超えての薬物乱用の危険性を、港北区周辺での日々の地域での活動の中で、これからも広く訴えていく考えです。

【参考リンク】

暮らしの安全情報~少年の薬物乱用を防止するために(神奈川県警察本部)

乱用薬物の危険性と最近の状況(神奈川県衛生研究所「衛研ニュースNo.192)

薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」(啓発資料)(厚生労働省)

保護司ひとくちメモ~「更生保護」は人の立ち直りを支える活動です。(法務省のサイト)


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