人口35万人もいるのに「無投票」の可能性、4/7(日)の県議選・港北区選挙区 | 横浜日吉新聞

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今年(2019年)4月7日(日)に投開票が行われる「神奈川県議会」(105人)の議員選挙(神奈川県議選)で、港北区選挙区(定数4)無投票となる可能性が高まっています。無所属で活動する現職の1氏が不出馬の意向を示しており、来月(3月)29日の告示を前に、2月24日時点で4人の定数に対し、立候補の動きは4人にとどまっている状況です。

2015年4月に行われた前回選挙には6氏が立候補し、自民党の現職と新人の2氏と民主党(現国民民主党)の現職、共産党の新人が当選となり、維新の党(当時)現職と無所属新人が落選しました。

【前回】2015(平成27)年4月12日投開票・神奈川県議会議員選挙
 港北区選挙区(立候補6、定数4、投票率39.92%)

  • 当29,990:嶋村ただし(58)自民党・当選4回目(樽町)
  • 当20,607:はかりや珠江(61)民主党・当選6回目(新吉田東)
  • 当20,083:大山奈々子(52)共産党・初当選(新横浜)
  • 当16,999:武田しょう(33)自民党・初当選(富士塚)
  •  11,110:むなかた富次郎(53)維新の党・過去当選1回(日吉本町)
  •    6,134:水口だいすけ(63)無所属・新人(篠原町)
  •    3,277:無効票

※候補者名は選挙管理委員会への届出によるもの(年齢は当時)。カッコ内は選管へ届出された住所のうち町名のみを記載

4月7日(日)の統一地方選では神奈川県知事選と横浜市会議員選、神奈川県議選の3つが予定されているが、港北区では2つにしか投票できない可能性も(横浜市選挙管理委員会のサイトより)

今回は、自民党2氏と共産党の現職3氏と、立憲民主党の新人1氏が立候補に向けた動きを見せていますが、前回民主党で6回目の当選を果たし、現在は無所属で活動する1氏が出馬をしない考えを示しています。また、前回落選した立候補者からも現時点で出馬の動きは見られません。

神奈川県内48の選挙区から105人の議員を選出する神奈川県議選で、港北区は藤沢市(定数5)に次ぐ県内2番目となる4人の定数を持っています。

しかし、政令指定都市である横浜市には、神奈川県が従来持っていた権限や事業の多くが移譲されており、現在は県が関わるのは警察(県警)や県立高校などに限られるため、県議会議員の役割が見えづらいとの指摘もあります。

神奈川県議選への立候補者は減っている(写真はイメージ=Photo AC)

そのためか、近年は県議会議員への立候補者が減っており、前回は金沢区(人口約19.9万人)や横浜市西区(同10.1万人)、川崎市幸区(同16.7万人)などの都市部でも無投票となりました。神奈川新聞が今月17日に報じたところでは、今回は港北区を含め県内選挙区の半数が無投票となる可能性が指摘されています。

同じ日程で実施される横浜市会議員選挙の港北区選挙区には、8人の定数に対し11人以上が立候補する動きが見られる一方、県議選は定数と同じ4人だけ。人口35万1400人超(2019年2月、横浜市推計)を持つ日本最大の行政区である港北区で、県議選が無投票ということになれば、県議会の存在意義やあり方が大きく問われることになりそうです。

無投票の可能性に悩む、綱島に事務所置く計屋さん

自分が出なければ、無投票になってしまいかねないことから、悩みました――。綱島駅近くの西口商店街に構える事務所で、神奈川県議の計屋珠江(はかりやたまえ)さん(無所属)は話します。

元横浜市立小学校の教員だった計屋さんは、夫で県議だった計屋圭宏(けいこう)さんが衆議院議員選挙へ転出することにともない、1995年4月の県議選で当時の新進党(後に民主党)公認候補として港北区選挙区から初当選。以後、6期24年間にわたって県議をつとめています。

「選挙ポスターと実物がずいぶん違ってきたことも、立候補をやめようと思った一因かもしれませんね」と周囲を笑わせる計屋さんですが、無投票の可能性が高まることに内心は複雑。綱島西口商店街には夫の圭宏さんが選挙に出ていた頃から30年以上にわたって事務所を置いており、近所に住んでいたことがあるなど綱島と縁が深い

現在は65歳であることから、「年齢的にあと1期(4年)はやってほしい、という声もいただきますが、不出馬の考えは、一言で話せるような大きな理由があったわけではなく、いつかは引退する時が来るわけですので、“潮時”だと思ったためです」と計屋さん。

ただ、自身が出馬しないことで、無投票となる可能性が高まるため、今年に入ってからもずっと悩んでいたといいます。「自分の後も、できれば女性が議員になってほしい」と、会社員の女性に立候補を打診したものの不調。子息も現在のところ選挙に出る考えはなく、「うまくバトンタッチできていません」と残念そうに話します。

「こんな私を24年間も支えていただいた方々に、今は感謝の思いしかありません」と計屋さん。一方で「港北区民の選択機会が奪われてしまうのは良くないこと。どなたかに出てほしい」と、区選出の県議としてもっとも長く県政に関わっているだけに、今も胸のうちは複雑です。

(本記事は2019年2月24日現在の状況をもとに記したものです)

【関連記事】

都市部でも相次ぐ無投票でシラける「神奈川県議選」、港北区では激戦の様相(新横浜新聞~しんよこ新聞、2019年1月7日、この時点では選挙になるとみられていた)

港北区民の意思を示せる「4年に1回」、身近ではない市会議員は無関心の裏返しか(2019年1月7日、市議選について)

【参考リンク】

神奈川県議選24選挙区無投票か 全体の半数、前回2倍超(2019年2月17日、神奈川新聞「カナロコ」)

神奈川県選挙管理委員会


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