港北区民の意思を示せる「4年に1回」、身近ではない市会議員は無関心の裏返しか

横浜日吉新聞

【コラム】今年(2019年)は4年に1度だけ、港北区民の意思がそのまま結果に反映される「横浜市会」と「神奈川県議会」の議員選挙が4月7日(日)に行われます。平成時代になって以降は、5割以上の有権者から“無視”され続けている選挙ですが、港北区内の身近な課題が取り上げられる機会は、この選挙以外にはありません。

(※)神奈川県議会議員の情勢などは「新横浜新聞~しんよこ新聞」に掲載しました

横浜市会は市長とほぼ同じ“権力”を持つ(DVD「議会ってなんだろう?~わたしたちのくらしと横浜市会~」より)

日々の生活に政治は何の関係もない――。横浜の市会議員が誰であろうと、日々の生活にほとんど影響はありませんし、横浜市会には、国会のようにテレビに取り上げられるようなスキャンダルや賛否が分かれる議論も多くはありません。日本の地方都市などでは、政治への依存度が極端に高い地域もありますが、少なくとも横浜市や港北区にはそうした傾向は見られません。

ただ、綱島街道や子母口綱島線が狭くて渋滞が慢性化し、歩行者も危険なままで放置されているのも、マンションや住宅が乱立して保育所が足りないのも、公立中学校で給食が未だに行われていないのも、元をただせば1人の横浜市長と86人の市会議員が認めたこと。役所の職員が勝手にやっているわけではありません。

横浜市は374万人(2018年12月)の人口を持ち、日本の基礎自治体のなかでは日本一の規模を誇っているだけに、国の権限である外交や法律の制定面などを除き、市民から選ばれた市長には強力な権力が与えられています。そんな市長が何かを実行するためには、86人の市会議員が認めない限り、“権力”を行使することは、ほとんどできません。市長とほぼ同様の権力を持っているのが横浜市会議員です。

人口の多さだけでなく、議員の少なさも“日本一”(DVD「議会ってなんだろう?~わたしたちのくらしと横浜市会~」より)

ただ、選挙では過半数が棄権するという横浜市民の無関心さも手伝ってか、374万の人口があっても、市会議員の数はわずか86人。単純に計算すると、人口4万3400人に対して議員は1人だけ。

たとえば、同じ神奈川県内の南足柄市は4万2000人超の人口ですが、計16人の市会議員を置いています。約2625人に対して1人の割合で議員が割り当てられている計算です。

2600余の住民を相手にする市会議員(こちらの方が全国の多数派)がいる一方で、4万3400の住民に向かい合わなければならない横浜市会議員。住民にとって縁遠くなるのは当然で、市会議員の顔など一度も見たことがない人もいるはずです。市会議員も4年間の任期中に区内の4万3400人と会うことは至難です。

そんな横浜市内18区のなかで、もっとも多い35万1388人(2018年12月)の人口と28万8509人(同)の有権者数を持つ港北区。区ごとに分けられた“選挙区”のなかでは最大となる8人の議員を選出していますが、それでも人口4万4000人弱に対して1人、選挙権を持つ有権者に限っても3万6000人に対して1人の議員しか存在していないことになります。

港北区から2015年に選出された8人の横浜市会議員(横浜市会「市会のしおり」を加工して一覧にした)※クリックで拡大

4万4000人に1人の議員しかおらず、なおかつ国会議員などに比べると注目を浴びることが少ないので、住民からすれば、身近な存在とはいえず、選挙にも関心が持てなくなるのも当たり前かもしれません。

しかし、人口4万4000人に対して1人の代表者しか選べず、35万の人口があっても「区長」などの代表者を住民意思で選出できない制度下にある港北区民だけに、4年に1度しかやって来ない投票機会は、できるだけ行使したいものです。

選挙への関心を喚起するため、前回の選挙結果と4月7日(日)に行われる今回選挙(3月29日告示)の情勢を記しました。

2015年4月・前回選挙の結果

2015(平成27)年4月12日投開票・横浜市会議員選挙
港北区選挙区(立候補10、定数8、投票率40.04%

  • 当14,845:白井まさ子(55)共産党・当選3回目(高田西)
  • 当12,942:さかい誠(53)自民党・当選3回目(日吉本町)
  • 当11,911:佐藤ひろふみ(52)自民党・当選6回目(小机町)
  • 当11,224:川口たまえ(67)民主党・当選4回目(日吉本町)
  • 当11,155:望月やすひろ(54)公明党・当選3回目(大倉山)
  • 当10,710:大山しょうじ(47)民主党・当選4回目(篠原東)
  • 当10,650:酒井亮介(42)維新の党・初当選(高田東)
  • 当10,116:とよた有希(39)無所属・当選2回目(菊名)
  •   9,811:畑野しずお(68)自民党・過去当選5回(大倉山)
  •   2,609:ささきしんや(36)次世代の党・新人(日吉町)
  •   2,207:無効票

※候補者名は選挙管理委員会への届出によるもの(年齢は当時)。カッコ内は選管へ届出された住所のうち町名のみを記載。2015年選挙当時の「選挙公報」はこちらに掲載

横浜市会議員選挙「港北区選挙区」の政党別状況(2019年4月7日投開票・3月29日告示)

普段は身近ではないので誰に入れれば良いのかは悩むところ(イメージ写真=Photo AC)

▼ 8人の定数に対し、少なくとも11人が立候補する見通しで、前回2015年以上の激戦が予想される今回。下記11氏の他にも立候補する動きもみられる

▼ 前回は現職3氏を擁立したものの、6期目を目指したベテランが議席を落とし、2議席にとどまった自民党は、今回も現職2氏に加え、菊名・大倉山を拠点に活動する40代男性新人候補の計3氏を擁立。前々回1999年から2011年まで4回連続で3議席を確保していた実績があるだけに、同党3人目の当落が鍵となりそう

▼ 前回は民主党(当時)で2議席、維新の党(当時=旧「日本維新の会」+旧「結いの党」=みんなの党系)で1議席を確保。国政で民主党と維新の党が合流し、市会内でも民進党(旧民主党+旧維新の党)系の会派を結成していたものの、2017年10月の衆議院選挙に端を発した国会議員の分裂と新党設立にともない、市会候補者も新党の立憲民主党と、旧民進党を引き継ぐ形で設立された国民民主党のそれぞれから出馬する形となった

立憲民主党は、同党へ移り5期目を目指す現職1氏をはじめ、4期で引退する旧民進党現職の後継者として、旧民主党時代に鶴見区から県議選出馬経験のある50代の男性新人候補を公認、さらには衆議院選挙への出馬経験もある40代女性新人候補の計3氏を擁立。一方の国民民主党は2期目を目指す現職1氏を公認しており、“旧民進党系”からは4氏が立候補することになりそう

▼ 国政で政権交代への期待が高まっていた3回前の2007年選挙では民主党単独で、前々回2011年や前回2015年は後に合併する政党を合わせて3議席を確保した実績はあるものの、旧民進党系から計4人の立候補となれば激戦は必至

公明党は4期目を目指す現職、日本共産党は4期目を目指す前回トップ当選の現職をそれぞれ擁立。両氏とも2007年の初当選以来、過去の選挙では比較的安定した戦いを続ける

▼ 大阪や神戸など関西エリアで強い地盤を持つ日本維新の会(旧おおさか維新の会)は、かつて中区から出馬し横浜市会議員への当選経験がある50代女性の元職を昨年7月に公認し、港北区での擁立を決定した

無所属では、みんなの党公認の新人として出馬した2011年選挙で、トップ当選の経験を持つ現職が3期目を目指す

以上、2019年1月6日現在の記事です。

【関連記事】

東京と違って常に盛り上がらぬ「横浜市長選」、無関心な市民だけが悪いのか?(2017年7月8日、横浜市長選も低投票率)

日本一の人口持つ“仮想自治体”港北区、政治への反映欠如が行政サービス低下に?(2015年12月25日、横浜市の議員数は極端に少ない)

大都市でも無投票が相次ぎシラける「神奈川県議選」、港北区は少数激戦の様相(新横浜新聞~しんよこ新聞、2019年1月7日)

【参考リンク】

横浜市選挙管理委員会


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