保育所などを利用できない「待機児童」について、横浜市が発表した2016年4月1日現在の数値によると、横浜市内全体でわずか「7人」だったということがわかりました。大手マスコミはこの数値を使い、横浜市に来れば誰もが保育所に入れるのような報道が行われています。ちなみに港北区の「待機児童」は「2人」だとのことで、この待機児童数という定義自体が、いかに実態を反映していないものかが分かります。
待機児童の定義は、国により決められており、認可保育所などを希望したのに入れなかった「保留児童数」のなかから、
(1)横浜保育室などに入所した児童の数
(2)親が育児休暇を取得している人の数
(3)特定の園などを希望する人の数
(4)主に自宅で求職活動をしている家庭の数
を差し引いた数を「待機児童」であるとしています。
横浜市内全体の保留児童数は4月1日現在で3117人おり、これは昨年(2015年)4月1日現在より、583人も増えています。
この3117人のうち、987人は横浜保育室などで保育する場所が見つかっています。
残る2130人については、両親のうちいずれかが育児休暇をとっていたり、主に自宅で求職活動をしていたり、特定の保育所のみを希望していたりということで、「待機児童ではない」と計算されています。その結果、“横浜市内全体で待機児童が7人”という数値がはじき出されることになります。「家で休職活動をしている人は、保育所を利用するな」と言わんばかりの定義です。
港北区については、現在も市内で最悪の状況は変わらず、保留児童数が564人におよんでいるにもかかわらず、待機児童数は「2人」です。もし、本当に待機している児童がたった2人であったなら、ここまで横浜市が懸命に保育所を建てる必要はないはずです。
実態とかけ離れた「待機児童」という定義。保育所へ入れなかった人の無念と苦労を覆い隠すだけの“まやかし”の数値といえるのではないでしょうか。
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【参考リンク】
・平成28年4月1日現在の保育所等利用待機児童数について(2016年4月26日、横浜市)