エコタウン開発を目指すパナソニック跡地、9月中旬から米アップル大型施設の建設に着手 | 横浜日吉新聞

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甲子園球場ほどの敷地面積があるパナソニック綱島事業所の跡地。9月中旬からの工事に備えてか、工事用とみられる建物も見える(2015年8月15日撮影)

甲子園球場ほどの敷地面積があるパナソニック綱島事業所の跡地。9月中旬からの工事に備えてか、工事関係者用とみられる建物も敷地内に見える。手前側がアップル建設予定地で、建物の先(日吉寄り)がユニーの建設予定地(2015年8月15日撮影)

「次世代都市型スマートシティ」として再開発することが決まっているパナソニック(旧松下通信工業)綱島事業所跡地(綱島東4)では、2015年9月中旬から米国アップル研究施設の建築に着手されるようです。

現地に設置された「建築計画のお知らせ」と題した標識によると、アップルの日本法人であるApple Japan(アップルジャパン)合同会社(東京都港区)が建築主となり、大林組に設計を依頼。地上4階建ての施設1棟と地上1階建て施設1棟の計2棟について、9月中旬に着工すると告知しています。

敷地にはアップルによる建築計画を知らせる標識が立てられている(2015年8月15日)

敷地にはアップルによる建築計画を知らせる標識が立てられている(2015年8月15日)

「綱島TDC計画」と名付けられたこの建築計画は、アップルが日本での研究開発拠点とする「テクニカル・デベロップメント・センター」の略称とみられます。

アップル施設の敷地面積は1万2500平方メートルで、建物面積は8200平方メートル。東京ドームのグラウンド面積(1万3000平方メートル)と同じくらいの敷地に建てられる研究開発施設ということになります。

工事期間は着工から1年半後の2017年3月末日としており、実際に工事を行う事業者は現段階では未定となっています。

 

<2018年度中に街びらきする「綱島SST」>

「綱島SST」計画の全体図。横浜市が説明会で公開した資料に、本紙でロゴマークを加えるとともに、位置関係を追記しました

「綱島SST」計画の全体図。横浜市が説明会で公開した資料に、本紙でロゴマークを加えるとともに、位置関係を追記しました

綱島東4丁目のパナソニック跡地は、2011年の工場閉鎖後に生まれたもので、今年(2015年)3月に土地所有者であるパナソニックは、野村不動産と共同で「Tsunashima(綱島)サスティナブル・スマートタウン」(綱島SST)の開発に着手すると発表。横浜市も全面協力すると表明しています。

跡地全体では甲子園球場(約3万8500平方メートル)と同程度の面積(3万7900平方メートル)があり、ここにユニーが大型商業施設(1万8300平方メートル)を建てたり、アップルが研究開発施設を建てたり、環境面に配慮した約100戸の“エコ集合住宅(マンション)”を建設したりする計画となっています。

綱島街道に面した場所に3カ所と、裏手の住宅街側に1カ所の計4カ所の「広場」が設けられ、エコマンションの1階には保育園も新設されます。

完成は「2018年度」中としており、遅くても2019年3月までには“街開き”となる予定です。

なお、2019年4月には、徒歩10分圏内の地下に「新綱島駅(仮称)」の開業が見込まれています。

この跡地開発「綱島SST」の目玉は、やはりユニーの大型商業施設とアップルの研究開発施設で、この2つだけで敷地の大半を占める形となります

<「アピタ横浜綱島店」という名になる>

ユニーは今年4月から5月にかけて、現地日吉寄りの場所で土地のボーリング調査を行っていたとみられます。横浜市の資料によれば、来年(2016年)3月までには工事に着手し、2017年4月以降に建物を完成させる予定となっています。

今年4月に発表されたユニーの決算説明会資料によると、新店舗名は「アピタ横浜綱島店」と明記されており、アピタブランドの店となるようです。ユニーでは、4月1日付でアピタ営業本部内に「アピタ横浜綱島店開店準備委員」という組織も設けています。

一方、これにともない隣町の箕輪2丁目で長年運営してきた「アピタ日吉店」は今年11月中にも閉鎖される見通しです。

<付近の再開発を主導するのは野村不動産>

パナソニックとともに跡地開発を主導する野村不動産は、工場近接のパナソニック所有体育館だった場所に、大型マンション「プラウド綱島」を2011年に建設しています。

最近では、主要道路を1本挟んで日吉側の箕輪2丁目にあった大型工場(旧DOWAサーモテック横浜工場)の跡地も取得しており、ここには「プラウド日吉」を建設している最中です。

加えて、野村不動産はプラウド日吉に近接するアピタ日吉店の土地も取得したと言われており、箕輪町2丁目から隣接する綱島東4丁目にかけての再開発を主導する存在になるとみられます。

パナソニック跡地とアピタ日吉店の位置図、もしアピタに隣接する野村総研や日本興亜損保の敷地lも含めた開発となると、さらに大規模になる可能性がある

パナソニック跡地とアピタ日吉店の位置図、もしアピタに隣接する野村総研や日本興亜損保の敷地(黄色い点線部分)も含めた開発ということになると、周辺の風景を一変させる可能性もあります。なお、野村総研は売却先を明らかにしていませんが、敷地内の日吉データセンターの土地と建物を210億円超、および自社寮(売却価格不明)を売却したことを今年公表しています(クリックすると拡大します)

<6月に地元で市が説明会、都市計画の手続き中>

綱島SSTの計画に関しては、横浜市による都市計画案の説明会が6月12日に綱島地区センターで行われています。その後、都市計画案に対して住民が公式に意見を述べることができる「公聴会」が7月16日に開かれ、関係者によると住民2名が意見を表明したといいます。

この住民意見に対し、横浜市では市としての考え方をまとめたうえで、「都市計画審議会」での審議にかけ、年内もしくは年明け早々にも都市計画として正式決定される見通しとなってます。

【関連記事】

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【公式資料】
・2015年6月12日に綱島で開かれた横浜市による都市計画市素案説明会の資料(当日のスライド資料[PDF]には計画の詳細や松下通信工業の工場時代だった頃の写真も掲載)
パナソニック綱島事業所跡地に次世代都市型スマートシティを開発(横浜市などが2015年3月25日に発表した記者発表資料[PDF]

【参考リンク1】
昭和38(1963)年当時の綱島の3000分1地形図(※日吉駅付近から綱島駅にかけて、箕輪町や周辺部の土地利用が工場中心だった過去の状況がわかります)

【参考リンク2】
Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(神奈川県藤沢市にあったパナソニックの工場跡地=約19万平方メートル=を使い、同社などが2014年11月から展開する国内第一号の「サスティナブル・スマートタウン」)


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