菊の名所だった豪商の旧家、川和町「中山恒三郎家」を11月26日(日)に公開 | 横浜日吉新聞

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菊の名所として知られた川和町の「中山恒三郎(つねざぶろう)家」を見学できる年に一度の機会です。

同家を管理する有限会社中山松林甫(しょうりんぽ)と、横浜市歴史博物館などの運営を担う横浜市ふるさと歴史財団は、今月(2023年)11月26日(日)都筑区川和町にある中山恒三郎家の歴史的建造物の内部や所蔵資料の一般公開を行います。

中山恒三郎家の一般公開を11月26日(日)に行うことを伝える案内チラシ(中山松林甫提供)

中山恒三郎家は江戸時代から続く旧家で、敷地内には菊園「松林圃(しょうりんぽ)」を設け、明治から大正期にかけては皇族が訪れるほどの菊の名所として関東一円に知られていました。

同家のある川和は、かつて12の村から成る「都筑(つづき)郡」の中心地として役場や裁判所、警察署といった行政機関が置かれ、戦後には旧港北区域(港北・緑・都筑・青葉)で最初の公立高校となる川和高校が設けられたほど重要な街。

中山恒三郎家では菊花展が開かれ、“川和の菊”として広く知られていた(2022年11月の公開時)

ただ、鉄道の駅が中山に設けられたこともあって次第に中心部は駅周辺に移り、青葉区の東急田園都市線沿線や、都筑区の港北ニュータウンが栄えるなかでも、川和は近年になって再開発がスタートするまでは農村時代の雰囲気を残していました。

そんな川和が繁栄した歴史を現在まで伝えているのが街の名士でもあった中山恒三郎家で、1980年代中ごろまで経営していた酒問屋の「中山恒三郎商店」が事業を停止した後は、邸宅や蔵などがそのままの状態で残されました。

今も緑が残る丘の上に位置する中山恒三郎家(2022年11月)

2015(平成27)年に敷地の一部に保育所が移転することを機に横浜市ふるさと歴史財団による調査が始まり、現当主で六代目となる中山健さん(中山松林甫代表)が歴史的建造物である「書院」や「店蔵」の保存に着手し、定期的に公開しています。

今回の一般公開では、かつて観菊会の際に当時の皇族や著名人が多数訪れたという書院の内部を公開するとともに、当時の写真や資料なども展示する予定。また「諸味蔵(もろみぐら)」の内部で保管する民俗資料の見学も可能だといいます。

「書院」(写真)と「店蔵」は横浜市認定歴史的建造物となっている(2022年11月)

現当主の中山さんは「今年の公開は1日だけですが、私やふるさと歴史財団の専門家が現場にいますので疑問点など気軽にご質問いただければ」といい、「今回は初めて来場者アンケートを行う予定で、今後の活用方法などについてアイデアをいただけると大変嬉しいです」と話していました。

中山恒三郎家は地下鉄グリーンラインの川和町駅から一本道の中山上麻生道路をららぽーと横浜方面へ徒歩約10分、新横浜駅からは東急バス「市03系統」で「川和団地下バス停から徒歩約2分の場所。

公開時間は10時から15時までで、見学時に事前の予約は不要です。

【関連記事】

・【前回公開時のレポート】<旧港北区>地域屈指の「豪商」が伝える川和の繁栄、3年ぶりに公開された旧家(2022年12月7日)

【参考リンク】

中山松林甫(しょうりんぽ)(中山恒三郎家の案内ページ)

2023年11月26日(日)「令和5年度 中山恒三郎家公開」の案内(横浜市歴史博物館)

川和町「中山恒三郎家」の場所(グーグルマップ、バス通りの道路から丘にある同家までは上り坂、川和保育園が目印)


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