慶應ラグビー部が日本一目指す、日吉・港北区からの「熱き声援」呼び掛け | 横浜日吉新聞

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日吉の「無観客」2試合も好調にスタート、大学ラグビーの頂点を目指す戦いを続けています。

今年は1カ月遅れで大学ラグビーがスタート。日吉での試合も行われているが、日吉では「無観客」での開催となる(10月4日・関東大学対抗戦の初戦となった秩父宮ラグビー場での筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

今年は1カ月遅れで大学ラグビーがスタート。日吉での試合も行われているが、日吉では「無観客」での開催となる(10月4日・関東大学対抗戦の初戦となった秩父宮ラグビー場での筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

1899(明治32)年の創部から120年超の歴史を誇る慶應義塾大学ラグビー部(蹴球部)

昨年(2019年)のラグビーワールドカップ(W杯)の盛り上がりや、日吉や港北区エリアでの地域まちづくりへの貢献などから、広くその存在や活動が注目されてきている同部ですが、今年(2020)年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、これまでになかった試練と苦難に見舞われています。

それでも「ラグビー日本一」を目指す慶應ラグビー部は、1カ月遅れてスタートした「関東大学ラグビー」の秋シーズンに参戦。

下田グラウンドでの試合は「無観客」での開催となった(写真は2019年9月の国際試合開催時)

下田グラウンドでの試合は「無観客」での開催となった(写真は2019年9月の国際試合開催時)

関東大学対抗戦の初戦となった秩父宮ラグビー場(東京都港区)での10月4日の試合では、筑波大学に19対30で惜しくも敗戦しています。

しかし、10月10日に下田ラグビーグラウンド(下田ラグビー場、下田町1)で行われた東京大学との定期戦は、73対0と快勝。翌10月11日の日本体育大学との対抗戦でも、74対0と、昨年(27対30で敗戦)の雪辱を果たし、圧倒的勝利をおさめています。

下田での試合は、いずれも「無観客」の開催となるなど、例年にはない「コロナ禍」での戦いにどのように挑んでいるのか。ゼネラルマネージャーの和田康二さんマネージャーの荒川瑚子(ここ)さんに詳しく話を聞きました。

「新型コロナ」に負けない対策を徹底、秋シーズンに挑む

昨年度(2019年度)の全国大学選手権(第56回)に優勝した早稲田大学、準優勝した明治大学といった強豪ひしめく関東大学対抗戦(Aグループ)に所属している慶應ラグビー部は、昨年(2019年)のシーズンで5位となり、22シーズンぶりに全国大学選手権の出場を逃すという厳しい現実に直面します。

慶應義塾高校(日吉4)出身で、同大法学部政治学科4年生の主将・相部さん(10月4日の筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

慶應義塾高校(日吉4)出身で、同大法学部政治学科4年生の主将・相部さん(10月4日の筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

「だからこそ、今年は日本一を目指すための準備と対策を行ってきました」と和田さん。

予期せぬ新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、3月30日から練習の自粛がスタートしてしまったという同ラグビー部。

「接触が難しい」ラグビーというスポーツが迎えた最大の危機ともいえる状況下においても、日本ラグビーフットボール協会の「トレーニング再開のガイドライン」(2020年5月19日)をも遵守しながら、「まずは自分たちが感染しない」ための対策を徹底。

緊急事態宣言後に自粛が段階的に解除され、グランドが利用できるまでの間も、「自分たちがやらねばならないこと」を、部員一人ひとりが考えに考え抜いて、一つひとつ目標をクリアするための自主練習やトレーニングを実践していたといいます。

京都成章高校出身で、総合政策学部4年在学中の三木亮弥副主将もチームの要の存在(10月4日の筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

京都成章高校出身で、総合政策学部4年在学中の三木亮弥副主将もチームの要の存在(10月4日の筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

エネルギーある学生たちにとっては、「我慢」を強いられたであろう活動の自粛期間。和田さんは、「グラウンドにも出られず閉じ込められていた時期は、本当にかわいそうだなと感じました」と、部員たちの気持ちを慮(おもんばか)る一方、より徹底した感染症対策のため、「(日吉に通うための)公共交通機関を使わない」というルールを課したことも、コロナ対策を万全に行い、感染リスクを減らすための方策であったと説明します。

また寮生活を行う部員に対しても、「実家に帰省しない」ことや「食堂でそれぞれ食事を受け取った後、部屋に持ち帰り食べる」、「(部単位で)シャワーを分けて入る」といった感染症対策を徹底。

「今のところ、感染者が発生することもなく、無事シーズンに入ることができました」と、厳しい「我慢」を強られるシーンがあったからこそ無事に秋のシーズンに挑めていると、和田さんは“ほっ”とした表情を浮かべながらも、まだまだ気を抜くことができないコロナ対策の必要性を感じているといいます。

“日吉”で過ごす部員たちへ、地域・保護者からの熱き「エール」

「制限があったとしても、体育会を取り巻く環境は、まだ他の学生やサークル活動などと比較しても恵まれているほうだと感じました」と和田さん。

横浜市港北区と慶應SDM研究科による「オンラインラジオ体操」に慶應ラグビー部も参加した(慶應キッズパフォーマンスアカデミー公式サイトより)

横浜市港北区と慶應SDM研究科による「オンラインラジオ体操」に慶應ラグビー部も参加した(慶應キッズパフォーマンスアカデミー公式サイトより)

体育会ならではの部へのバックアップの仕組みや組織があり、他の体育会運動部とのつながりもあるため、特に寮生活などを通じての“支え合い”、またこうして試合を行うことができたことに「改めて感謝したい」と、日吉で過ごす日々の中での体育会の連帯感を産み出した部員一人ひとりの、ある意味「修業僧」のような取り組みの継続にも、敬意を表したいと和田さんは語ります。

この夏、地域での「ラジオ体操」が行えないという事態を受け、横浜市港北区(大豆戸町)と慶應義塾大学日吉キャンパス(日吉4)を拠点とする同大大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM研究科)が企画した「オンラインラジオ体操」に同ラグビー部も参加。

港北区との「オンラインラジオ」の司会進行を務めたゼネラルマネージャーの和田康二さん。地域での盛り上がりや一体感を得られたと感じている(慶應下田グラウンドで)

港北区との「オンラインラジオ」の司会進行を務めたゼネラルマネージャーの和田康二さん。地域での盛り上がりや一体感を得られたと感じている(慶應下田グラウンドで)

今回のプログラムを提供する慶應キッズパフォーマンスアカデミー(慶應KPA・一般社団法人慶應ラグビー倶楽部=東京都港区)の運営責任者(同ラグビー倶楽部理事)を和田さんが務めていることもあり、「地元・日吉の皆さんとはもちろん、港北区の皆さんともつながれる機会になりました」と、最大で1日に600人を超える参加もあったという同イベントの成功と、企画を通じた部員たち同士の連帯感も深まったのではないかと語ります。

「帰省できない」部員たちへの、保護者たちからの「栄養があるものを」との差し入れも頻繁に寮に届いていたといい、「大学、体育会、保護者、そして地域の皆さんの支えもあり、より上位を目指して邁進していくという決意を抱いています」と、「コロナ禍」に打ち克つため、そして日本一を目指すための「エール」を、部員たちも強く日々感じてきたのではないかと和田さんは説明します。

「筋肉量アップ」や「グッズ販売」サイト刷新で支援呼びかけ

「コロナ禍」による大打撃は、部員たちのトレーニング・夏場の対外試合の機会を減少させたばかりでなく、「本年度は試合会場にてのグッズ販売、チームチケット販売による競技収入が得られない状況となっています」とマネージャーの荒川さん。

慶應ラグビー部「お米プロジェクト」のサポートを募ったところ、OBの紹介により2017年9月以降、年間約2トンのお米のサポートを新潟県佐渡市から受けていることから、佐渡市の商品も新サイトで取り扱う

慶應ラグビー部「お米プロジェクト」のサポートを募ったところ、OBの紹介により2017年9月以降、年間約2トンのお米のサポートを新潟県佐渡市から受けていることから、同市の商品も新サイトで取り扱う(KEIO RUGBY SELECT SHOP~一般社団法人慶應ラグビー倶楽部のページより)

そこで、先月9月には「グッズ販売サイト」をリニューアル。「パートナーシップを結んでいるアンダーアーマー(UNDER ARMOUR)社をはじめ、白米を提供してくれている新潟県佐渡市など、蹴球部(ラグビー部)を日頃からサポートしてくださる皆様の商品にも気軽にアクセスできるような新サイトとして生まれ変わりました」と、新たな販売サイトへのアクセス、またラグビー部の熱意とつながりから生まれた数々の商品の購入を呼び掛けます。

また同部では、現在「筋肉量アップProject(プロジェクト)」を実施していますが、その主旨について和田さんは、「強豪校に比し体格で劣るものの、小粒ながら大型選手に負けない体作りを目指していることから、優先的に食事を充実させ、良質な栄養摂取と総合栄養バランス確保を図っておりますが、選手個人にかかる食費負担も増加傾向にあります」と説明。

「皆様よりの、食品などのご寄付を募集させていただいております。 蹴球部(ラグビー部)が目指す大学日本一という目標達成につながるよう、当該プロジェクトで幅広く皆様にサポートいただければ」と募金額を1口 3000円に設定、インターネット上での問い合わせ(個人・法人)を受け付けています。

日吉下田のキッズ教室も再開、監督・主将も一丸となり高みを目指す

下田ラグビー場で開催しているキッズ向けスポーツ教室「慶應キッズパフォーマンスアカデミー(慶應KPA)」も、全国どこからでも参加できる「特別オンラインクラス」(年長〜小6対象)を、期間限定で先月9月に開講。

10月からは人数を制限しながらグラウンドのプログラムも再び始動。「マルチスポーツコース」と「ラグビー(RUGBY)コース」の2つのコースでの体験募集も再開している(慶應キッズパフォーマンスアカデミー公式サイトより)

10月からは人数を制限しながらグラウンドのプログラムも再び始動。「マルチスポーツコース」と「ラグビー(RUGBY)コース」の2つのコースでの体験募集も再開している(慶應キッズパフォーマンスアカデミー公式サイトより)

今月10月からは、人数を制限しながらグランドプログラムも再び始動。「マルチスポーツコース」「ラグビー(RUGBY)コース」の2つのコースでの体験募集もスタートするなど、地域の子どもたちのスポーツ環境の再整備に向けての決意も新たに、少しずつ活動を再開しています。

「日本一」を、ジュニア層から、塾生・塾員、そして地域の関係者やファンをも巻き込み、新たな航海へと漕ぎ出した慶應義塾体育会ラグビー部。

昨年から監督を務める栗原徹さんは、「日頃から校舎・グランド・学生寮がある日吉、そして港北区の皆様には大変お世話になっております。日本ラグビー発祥のチームとしてのプライドを持ち、一戦一戦ベストを尽くします」との意気込みを示します。

地元・慶應義塾高校(日吉4)出身で、同大法学部政治学科4年生の主将・相部開哉(あいべかいと)さんも、「日吉の皆様、いつも大変お世話になっております。『コロナ禍』の中、多くの皆様のご支援・ご協力のお陰でラグビーができることへの感謝の気持ちを忘れず、チーム一丸となり全力で戦います」との決意を語ります。

鍵は「全国大学選手権」への出場、日本一目指すための戦いを

「慶應義塾體育會蹴球部(ラグビー部)」のSNSでも試合結果を速報している(写真はツイッター)

「慶應義塾體育會蹴球部(ラグビー部)」のSNSでも試合結果を速報している(写真はツイッター

残念ながら、下田グラウンドで開催されている試合は「無観客」での実施となっているものの、グラウンドでの戦いそのものは熱く展開。秩父宮などではソーシャルディスタンスを確保してのチケットの販売も一部行われています。

10月18日(日)13時の立教大学(下田)、11月1日(日)14時の明治大学(秩父宮)、11月8日(日)11時30分の青山学院大学(上柚木公園陸上競技場=東京都八王子市)、11月23日(月・祝)14時の早稲田大学(秩父宮)、そして12月6日(日)14時の帝京大学(熊谷ラグビー場)との戦いを経て、12月13日から秩父宮と、大阪・花園(大阪府東大阪市)で本格スタートする「第57回全国大学選手権大会」への出場権と、同大会での日本一を目指します。

「日本一」を目指すための戦いを続けていく(10月4日の筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

「日本一」を目指すための戦いを続けていく(10月4日の筑波大学戦、慶應ラグビー部提供)

「関東対抗戦」の試合の模様は、国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局「ジェイ・スポーツ(J SPORTS)」の、PC・スマホ・タブレットで見られる動画配信サービス「J SPORTSオンデマンド」でも配信されており、同部の公式サイトやSNSなどでも、試合結果など最新情報の入手が可能となっています。

秋から冬へと向かう慶應ラグビー部の「熱き戦い」を、まずは日吉周辺、そして港北区エリアで共有し、地元地域からの「熱き声援」を、ラグビー熱冷めやらぬ今こそ送っていきたいところです。

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【参考リンク】

慶應義塾體育會蹴球部公式サイト

今後の試合日程・結果(同)

筋肉量アップProjectへのご寄付のお願い(同)

グッズ販売サイトがリニューアルいたしました。(KEIO RUGBY SELECT SHOP~一般社団法人慶應ラグビー倶楽部)

慶應キッズパフォーマンスアカデミー公式サイト(慶應KPA・一般社団法人慶應ラグビー倶楽部)※10月から人数を制限しグランドプログラムを再開、体験も募集中


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