<箕輪町計画>住民545人がマンション壁面と小学校を離すよう「請願」、横浜市会は“否決” | 横浜日吉新聞

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旧アピタ日吉店など一連の跡地「箕輪町計画」で、横浜市会はきのう(2018年2月)19日(月)に開いた「建築・都市整備・道路委員会」で、箕輪町などの住民から出されていた新小学校(箕輪小学校)の建物とマンションの壁面を離すように求める「請願(せいがん=住民からの意見・要望)の2件をいずれも賛同できないとの意思を示す「不採択」としました。

日吉住民らから出された「請願」は賛同が1人のみだったため“否決”された(2月19日開催、横浜市会「建築・都市整備・道路委員会」のインターネット中継より)

請願は、憲法16条に「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し……」などと明記されていることから、その趣旨にのっとって、市民が国や行政に対して意見や要望の表明を行うことができる制度。国や自治体の意思決定機関である議会へ提出できるようになっています。

今回、横浜市会で再開発案件などを審議する建築・都市整備・道路委員会に出された請願のうち、箕輪町周辺の住民ら544人による「港北箕輪町二丁目地区地区計画の一部是正について」は、小学校隣接地で建物が高さ31メートル以上の場合は敷地境界線から壁面を20メートル以上後退させてほしいとの内容。

綱島街道などに面した側は境界線から10~20メートルを離さなけれなならないが、小学校が建てられる「B地区」とマンションが建つ「A地区」は計7メートルを離せば問題がないことになっている(「建築・都市整備・道路委員会」への提出資料)

もう一つの「港北箕輪町二丁目地区地区計画における開発事業者との再協議について」と題した請願は、建物が高さ31メートルを超える場合には、敷地境界線から10メートルから20メートル以上後退させるよう開発事業者と再協議するよう市に求めたもので、日吉在住の個人から出されたとみられます。

いずれの請願も箕輪町計画地内で、新小学校の敷地と高さ最大60メートルのマンション壁面が接近していることに懸念を示し、改善を求める内容です。

現状の制限では新小学校の校舎が建てられる位置とマンションの敷地境界線までは、マンション壁面から敷地境界線までは5メートル校舎側からも同様に2メートルを離すよう求められているため、合わせて最小7メートルの間隔を空ければ“問題はない”ことになっています。

「65m離れないと建物見えない」「想像超える圧迫感」

右下の小学校の校舎は後方(北側)がマンションと近接する計画となっている(2016年8月8日「第31回横浜市都市美対策審議会景観審査部会」に提出された資料より)

住民からの請願に対し横浜市建築局の坂和伸賢局長は、「仮に(新小学校)校舎の高さを15メートル・奥行きを42メートルとした場合、(校庭へ出てすぐに見えるのは校舎であり、校舎越しに)児童の視界にマンションが入ってくるのは、建物からおおむね65メートル離れた位置からだ。校舎西側も幅員10メートルの地区内通り抜け空間が緩衝帯となるため、いずれも(建物の)圧迫感が軽減されるものと考えている」と述べます。

また「地区計画では建築物などの形態意匠(けいたいいしょう=形や色など)の制限として、ボリューム感を軽減する工夫を行うことと規定している」といい、マンションの壁面を後退させることや、事業者との再協議は行う必要はないとの考えを表明しました。

一方、戸塚区から選出されている岩崎ひろし議員(共産党)は「(学校の敷地が)L字型に高さ60メートルの壁で囲まれるような形となり、子どもたちの圧迫感は想像を超える。市役所(委員会の審議を行っている関内の横浜市役所)の周りでも60メートルを超える建物はすぐには(見つから)ないはず」と指摘。

そのうえで、検討段階の校舎図面では、4階建ての屋上にプールを設ける計画となっていることから「マンションから丸見えで、子どもたちは衆人環視(取り囲むように見られる)のもとでプールをやることになる」と懸念を示しました。

小学校校舎とマンションの鳥瞰図、校舎の後方に高層建物が建てられることになる(2016年8月8日「第31回横浜市都市美対策審議会景観審査部会」に提出された資料より)

市の坂和局長は「60メートルの高さはこの辺(箕輪町)にはなかなかないマンションだが、4階建ての校舎越しにマンションが見えてくるのは、直線距離で約65メートルを離れたところからになる。都市の中における学校として、それが圧迫感と感じるかどうかだ」との見方を示します。

加えて同局長は、「プールの端からマンションの壁面までは30~40メートルくらいの距離が取れると思うが、何らかの形で風よけや目隠し的な対応はしていきたいと考えている」と述べました。

一方、マンションと接する形となる校舎の北側については、「一般教室ではなく、音楽室や技術室など特別教室ができると(教育委員会から)聞いている」と明かしています。

議論の後、同委員会では所属する10人のうち小粥(こがゆ)康弘委員長(民進党、旭区選出)を除く9人(自民党3、公明党2、民進党2、共産党1、維新・ヨコハマ会1)で採決を実施。請願に賛同したのは共産党の1人のみだったため、横浜市会として「不採択」としました。

【関連記事】

時系列で見るアピタなど一連の跡地再開発、「箕輪町計画」はどのように決まったか(2017年11月20日、都市計画決定までの経緯)

旧アピタ跡地計画の問題点とは、箕輪町公会堂で2/10(土)14時から「住民集会」(2018年2月8日、住民集会でも校舎とマンション壁面が近いことを問題視)

【参考リンク】

横浜市会「建築・都市整備・道路委員会」の記録(資料などは後日公開される)


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