“市境”に関係なく3者がシームレス(途切れなく)に連携し、おもてなししたい――。2020年の東京五輪では英国チームの事前キャンプ地に内定している横浜市と川崎市、慶應義塾大学の3者は2016年2月8日に都内で日本オリンピック委員会(JOC)とともに、英国オリンピック委員会(BOA)と覚書を締結しました。4年半後の本番へ向けて動きが加速しそうです。
2020年の7月24日から8月9日まで東京で予定されている夏季オリンピック(2020年東京五輪)では、英国オリンピック代表チームのトレーニングや事前キャンプ地として、慶應大学日吉キャンパスをはじめ、横浜市都筑区の横浜国際プール(北山田駅近く)や川崎市中原区の等々力(とどろき)陸上競技場の活用が予定されています。
覚書の締結式に参加した英国オリンピック委員会のセバスチャン・コー委員長は、「横浜と川崎は世界レベルの施設を持っており、なおかつスポーツの価値を理解している都市だ。英国ナショナルチームの選手にとって最高の場所であり、良い選択をしたと思っている」と話しました。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恆和(つねかず)会長も「英国チームが最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートしたい」と応じました。
横浜市の林文子市長は「まだ英国チームの宿泊先が決まっていないとのことだが、横浜市内には多数のホテルがあるのでぜひ検討していただきたい」と“宿泊地”としての横浜もアピール。誘致の初期段階では、横浜市と別に活動を行っていたという川崎市の福田紀彦(のりひこ)市長は「横浜市や慶應義塾大学と心は一つになっている。3者がシームレス(途切れなく)に、おもてなしをしていきたい」と話しました。
慶應義塾大学の清家篤塾長は「日吉キャンパスを使っていただけるのは光栄なこと。キャンプ期間中は英国チームが問題なく利用できるようにするとともに、さまざまな面からサポートしたい」と話し、期間中は大学の授業や行事と英国チームキャンプでの利用を上手く調整していく考えを示しました。
英国チームのキャンプ地決定に際しては、「これまで度々訪日した」(BOAのコー委員長)といい、どの競技がどこの施設を活用するのかといったおおまかな点は水面下で決まっている可能性もありますが、現時点では今年夏に「リオデジャネイロ五輪」が控えていることもあり、具体的な内容は発表されませんでした。
BOAの一行は、今回の来日を機に、各施設などののさらなる視察を行うとみられます。
2012年にロンドン五輪を実施したばかりのBOA・コー委員長が「4年半は長いと思うかもしれないが、あっという間だ」と自身の経験から指摘するように、施設整備や受け入れ体制など、横浜市と川崎市、慶應大学に加え、日吉の街でもどう“おもてなし”をしていくかなど、今年はアイデアを出すべき1年となるかもしれません。
【関連記事】
・<2020年五輪キャンプ>自転車・陸上・馬術が得意な英国が慶應日吉を選んだのは必然か(2016年1月22日)
・<2020年東京五輪>慶應日吉キャンパスが英国代表チームのキャンプ地に(2016年1月20日)