<慶應日吉>英国が事前キャンプ開始、オリ・パラ期間に「エリア分け徹底」 | 横浜日吉新聞

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徹底した「エリア分け」で新型コロナウイルス対策を実施する計画です。「東京2020オリンピック・パラリンピック」に向けた英国(イギリス)代表チームの事前キャンプが、横浜と川崎の両市内で始まりました。

東京2020オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ地として英国チームを迎えいれる慶應義塾大学(協生館)

東京2020オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ地として英国チームを迎えいれる慶應義塾大学(協生館)

慶應義塾大学日吉キャンパス(日吉4)では、英国のオリンピック代表チームのキャンプ期間がきょう(2021年)7月8日(木)から8月7日(土)まで、パラリンピック代表の期間を8月13日(金)から9月1日(水)までそれぞれ設定。また、オリンピック期間には下田町1丁目の「ホッケー場」も使われます。

オリンピックでは約400人パラリンピックは約100人の選手やスタッフを受け入れる予定で、競技は、オリンピックがアーチェリー、ボクシング、柔道、ウエイトリフティング、バドミントン、フェンシング、ホッケー、テコンドー、バスケットボール、体操、近代五種、卓球など。

銀杏並木の歩道については通常どおり通行が可能。英国チーム向けの「専用歩道」を車道側に設置した

銀杏並木の歩道については通常どおり通行が可能。英国チーム向けの「専用歩道」を車道側に設置した

パラリンピックはアーチェリー、テコンドー、パワーリフティング、柔道、車いすフェンシングなどとしています。

同大学によると、7月1日(木)から英国オリンピック委員会(BOA)のスタッフが日吉キャンパスに入っているといい、次いで8日からコーチ陣11日頃から選手たちがキャンプインする予定とのこと。

7月23日(金)のオリンピック開会式以降には、主要選手らが「選手村」(東京都中央区)に移る一方、控えの選手などについては、調整や感染症対策の一環で「選手村から隔離する必要」(同大学の担当者)があるため、横浜市内や慶應日吉に残るケースもあるといいます。

接触機会をなくす「エリア分け」を徹底

綱島街道から協生館の2階につながるスロープ部分は9月2日まで通行できず、1階からの通行を呼び掛ける

綱島街道から協生館の2階につながるスロープ部分は9月2日まで通行できず、1階からの通行を呼び掛ける

同大学では、「来日する英国の選手・スタッフは、2週間の隔離期間を経たうえ、5回のPCR検査を受け陰性だった場合のみ来日しています。来日後は公共交通機関は使用せず、専用車両で移動、宿泊施設で毎日PCR検査を受ける予定」(同大学担当者)とし、感染症対策を徹底すると説明します。

主に使用する施設は、銀杏(いちょう)並木の奥にある「日吉記念館」とその前庭、体育館(柔道場)蝮谷(まむし谷)体育館陸上競技場協生館(綱島街道沿い)、ホッケー場(下田町1)。

協生館には一部選手や関係者なども宿泊する。2階の英国チームが通る場所(専有ゾーン)には、学生が組織したKEIO 2020プロジェクトによる歓待のアレンジが行われていた

協生館には一部選手や関係者なども宿泊する。2階の英国チームが通る場所(専有ゾーン)には、学生が組織したKEIO 2020プロジェクトによる歓待のアレンジが行われていた

このうち、日吉記念館と、銀杏並木の車道側に特設した「専用歩道」、蝮谷体育館から東側の通路、協生館内の一部を英国チームの「専有ゾーン」としています。

銀杏並木内の「専用歩道」から協生館までの数十メートルについては、一般の通行人と導線が交わってしてしまう部分があるといいますが、多くは日吉記念館に横付けされた専用のバスで来訪し、大半はそれぞれの場所で留まるため、往来ははわずかだといいます。

英国内で2週間もの隔離を経て来日する選手・スタッフを励ますための装飾が、協生館2階の陸上競技場側にも見られた

英国内で2週間もの隔離を経て来日する選手・スタッフを励ますための装飾が、協生館2階の陸上競技場側にも見られた

カフェやコンビニ、薬局など一般のテナントも置かれている協生館については、英国チームが使用するのは地下1階と2階、7階のみで他の階に行くことはなく、専有する階以外ではエリア分けを行っているとのこと。

綱島街道側から2階に直接入るスロープについては、9月2日まで封鎖していることもあり「不便をお掛けしますが、ご理解とご協力をいただけたら」(同)。

下田町のホッケー場についても、「バスを横付けし、使用するのは下田寮の一部施設のみ」(同)といい、一般の人とは接触機会はないといいます。

エリアや時間帯を分けて学生が使用する施設もあるとのことですが、「英国チームと慶應義塾の学生や教職員が同時に一緒になることはない」(同)と、在学生にも“安心・安全”なキャンプ会場運営であることを呼び掛けます。

学生の交流は叶わず、想い伝える装飾も

KEIO 2020プロジェクトで中心となり活躍してきた杉山佑さん(左)、大類なをみさんが指で「2020」のポーズ

KEIO 2020プロジェクトで中心となり活躍してきた杉山佑さん(左)、大類なをみさんが指で「2020」のポーズ

今から5年以上前の2016(平成28)年2月、事前キャンプの招致が正式に決定した後、同大学では英国チームの受け入れを準備し、学生有志らも英国五輪・パラ選手団をサポートする団体「KEIO 2020 project(プロジェクト)」を組織してきました。

本来は、同プロジェクトにより、学生と英国チームとの交流や支援活動を行う予定でしたが、新型コロナ禍でそうしたプランも叶わなくなってしまったことから、英国チームの選手やスタッフらの目につく場所に「デコレーション」を行うことで、歓待と激励の意を表しています。

キャンプ開始前日には英国チームをより華やかに出迎えるためのプランターの設置作業が行われていた

キャンプ開始前日には英国チームをより華やかに出迎えるためのプランターの設置作業が行われていた

せっかくの「晴れの祭典」から、一転して「コロナ禍」での事前キャンプ運営を迫られてしまった慶應義塾大学。「日吉近郊エリアにお住まいの皆様に、徹底した感染症対策を行った上でのキャンプ運営であることをお伝えできれば」と同大学の担当者は運営の決意を語ります。

「5年越し」の悲願となったキャンプ地の運営。これまでの集大成となる同校の想いが、英国チームの一人ひとりの大きな力となることが望まれます。

日吉記念館内の「バス待ち」スペースには、三田祭実行委員会の法被(はっぴ)やけん玉、こまといった日本文化や和の心を伝える展示も

日吉記念館内の「バス待ち」スペースには、三田祭実行委員会の法被(はっぴ)やけん玉、こまといった日本文化や和の心を伝える展示も

なお、オリンピックでの英国代表チームは、横浜国際プール(都筑区北山田、約50人)や川崎市中原区の等々力陸上競技場(約200人)、横浜カントリークラブ(保土ヶ谷区今井町、約30人)、パシフィコ横浜ペデストリアンデッキ(西区みなとみらい、約50人)でも順次トレーニングを行う計画です。

【関連記事】

<2020年東京五輪>慶應日吉キャンパスが英国代表チームのキャンプ地に(2016年1月20日、決定時の記事)

<五輪>武相高と日体大で「事前キャンプ」、7/7(水)からアフリカ2カ国(新横浜新聞~しんよこ新聞、2021年7月6日、区内の武相高校でも事前キャンプが行われている)

川崎・横浜の「聖火ランナー」集結、“トーチキス”で火をつなぐセレモニー(新横浜新聞~しんよこ新聞、2021年7月1日)※KEIO 2020 project(プロジェクト)の大類なをみさんも聖火ランナーを務めた

【参考リンク】

ニュース~東京2020オリンピック・パラリンピック英国代表チーム、慶應義塾大学で事前キャンプを開始(慶應義塾大学公式サイト)

事前キャンプ施設紹介(GO GB 2020のサイト)

KEIO 2020 projectのサイト

東京2020オリンピック・パラリンピック英国代表チーム 横浜市・川崎市・慶應義塾大学で事前キャンプを開始(川崎市報道発表資料)

英国代表チーム事前キャンプの応援機運醸成のための広報及び装飾を実施します(川崎市のサイト)※南武線における広報や等々力陸上競技場の装飾についてなど


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