グリーンライン・川和町駅で進む再開発、“昔ながらの旧港北区”風景が変貌 | 横浜日吉新聞

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【沿線レポート】高田駅や日吉本町駅などからのグリーンライン利用者には、降りたことはなくても駅名はよく知られている「川和町駅」で、駅前の風景が一変するような再開発が進みつつあります。

日吉駅側から見て、センター南駅の2つ先、終点・中山駅の一つ手前にあるのが川和町駅。都筑区川和町にある同駅の周辺は、かつて同じ「港北区内」でした。

【訂正とお詫び】当初記事で現在は「都筑区川和町」にある川和町について、「1994(平成6)年まで同じ港北区内」と記載しましたが、この時期は誤りであり本文を修正しました。川和町1969(昭和44)年10月に当時の港北区から「緑区」が分区した際に「緑区川和町」となり、現在の緑区総合庁舎(中山駅近くの寺山町)が完成する1972(昭和47)年までは緑区の庁舎も川和町に置かれていました。その後、「港北ニュータウン」のまちづくりを契機に当時の「港北区」と「緑区」は4つの区に再編(新設)1994(平成6)年11月に都筑区が新設された際、川和町は「都筑区」に入ることになり、現在は都筑区域となっています。誤記をお詫びするとともに、指摘いただいた読者の方に感謝申し上げます。ありがとうございます。(2022年9月5日19:55)

グリーンライン利用者には「川和町駅」はおなじみの存在だが、降りたことがある人は多くないかもしれない

明治期には「都筑郡役所」が置かれ、昭和期には当時の港北区内で最初の県立高校「川和高校」が設けられるなど、北部エリアの中心的な存在として栄えた街でしたが、その後は中山(旧港北区、現「緑区」)や港北ニュータウン(センター北・南)などに中心部が移り、現在は農地と工場が目立つエリアとなっています。

車両基地のある川和町駅は立派なつくりの駅となっている

地下鉄ながら高架駅として建設された

2008(平成20)年3月に横浜市営地下鉄グリーンラインが開業し、川和町駅と車両基地が設けられて以降も駅の周辺には農地が広がり、路線の10駅では最小の乗降客数となっていました。

沿線では随一の自然を残していた川和町駅でしたが、2016(平成28)年以降は駅周辺に広がる農地を使った再開発の議論が進展。

駅近くの7万3000平方メートルで土地区画整理事業を行い、昨年ごろから建物の建設が本格化していました。

大型の商業施設が先週オープン

「川和町駅周辺西地区」と呼ばれる駅周辺の再開発で中心的な存在となりそうなのが、駅から徒歩2分の大型商業施設「フォルテ横浜川和町」で、約5500平方メートルの敷地に2階建ての建物と210台の駐車場を設置。

駅から徒歩2分の場所に先週オープンした商業施設「フォルテ横浜川和町」、左下の渋滞している道路は区役所通り(中山北山田線)

食品スーパー「ベルク」(埼玉県鶴ヶ島市)を中心にドラッグストアやフィットネスクラブなど9つのテナントを誘致しています。

フォルテ横浜川和町には200台超の駐車スペースを完備

先週(2022年)8月31日には、商業施設で中心となるスーパー「ベルク・フォルテ横浜川和町店」がオープン。9時の開店直後から客が押し寄せ、平日にも関わらず入店規制を行うほどに混雑し、周辺住民の期待の高さを示していました。

平日にも関わらず「スーパーベルク」のオープン当日は入場規制が行われるほど混雑していた(8月31日)

今週9月7日(水)にはテナントの「マツモトキヨシ」や「モスバーガー」、「セリア(100円ショップ)」などがオープンを控え、翌週14日(水)には「無印良品」も開店します。

これまで川和町駅の近くでは「まいばすけっと」や「ヤマザキYショップ」くらいしか飲食物を買物できる店が見当たらなかっただけに、一気に買物利便性が高まることになりました。

駅前再開発には当然マンション

そして、駅至近にこれだけの再開発地と商業施設が生まれたとなれば、当然のようにマンションの建設ラッシュも同時に進行。

マンション「ザ・パークハウス横浜川和町ガーデン」の公式サイトでは駅前再開発もPR、赤い部分が先週オープンした商業施設、F街区がシニアマンション、E街区には三菱地所レジデンスの164戸共同住宅(名称未定)、駅に近いD街区は“生活利便施設”を誘致する方針

駅からもっとも離れた街区では、三菱地所レジデンスなどによる183戸の「ザ・パークハウス横浜川和町ガーデン」が今年(2022年)12月の完成へ向けて工事が進みます。

さらに三菱地所レジデンスは164戸の「共同住宅」(名称未定)を駅寄りの「E街区」で7月に着工しており、2023年12月に完成させる予定としています。

現在の再開発エリアには建設中の「ザ・パークハウス横浜川和町ガーデン」とモデルルームくらいしか見られないが、1年後には風景が激変している可能性が高い

このほか、工場と隣接した「F街区」ではフージャースコーポレーションによるシニア向けの分譲マンション「デュオセーヌ横浜川和町ガーデン」(149戸)も2023年11月には完成する計画としています。

シニアマンション「デュオセーヌ横浜川和町ガーデン」の建設予定地の隣(写真奥)には、港北区に本社を置く企業の工場が操業しているが、もし将来的に用途変更されるようなことになればさらに再開発が進む可能性も考えられる

また、再開発エリアのうち駅に近い「D街区」(川和公会堂前バス停横)は、商業・サービス施設といった“生活利便施設”を誘致する計画がうたわれており、ボーリング調査(地盤調査)を行っている様子も見られました。

駅に近い「D街区」ではボーリング調査の様子も、写真左側は「横浜上麻生線(県道12号)」で新横浜駅と市が尾駅を結ぶ東急バスや、センター南駅と中山駅を結ぶ横浜市営バスが通り、バス停(川和公会堂前)も目の前にある

鶴見川の近くにあって市営地下鉄の車両基地が置かれ、土地利用の中心が工場と農地という環境は、港北区内にあるブルーラインの北新横浜駅(かつて新羽町、現在は北新横浜1丁目)に似ており、同駅の周辺も平成初期の大規模な土地区画整理で農地が中心だった風景が一変。商業施設や事業所を誘致するとともに、現在は駅の近くに分譲マンションが建ち並びます。

“昔の旧港北区”の雰囲気を最近までとどめていた川和町駅の周辺は、この先、風景が変貌していくことになりそうです。

【関連記事】

港北IC付近に新たな「商業エリア」、ラーメン店やプロ向けホームセンター(新横浜新聞~しんよこ新聞、2022年4月22日、都筑区では港北インター付近でも再開発が進展)

【参考リンク】

川和町駅周辺西地区の紹介ページ(横浜市都市整備局、土地区画整理事業やまちづくりの紹介)

スーパー「ベルク」フォルテ横浜川和町店(2022年8月31日オープン、川和町駅から徒歩2分)

マンション「ザ・パークハウス 横浜川和町ガーデン」(183戸、2022年12月完成予定)

シニアマンション「デュオセーヌ横浜川和町ガーデン」(149戸、2023年11月完成予定)

・(もう1棟の「E街区」164戸マンションについて)「三菱地所株式会社アセットブック 2022年3月」PDF、23ページに「再開発・大規模開発物件」として川和町の「E街区」で建設するマンションについて引渡開始年度を「2024年3月期」と記載)


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