近い将来、築40年超の港北区役所が建て替え対象となることはあるのでしょうか。横浜市市民局は、1960年代から1980年代に建てられた9区役所の庁舎を対象に建て替えの可能性を探る調査を始めています。建物の耐用年数や建て替え手法などを総合的に調べ、優先順位を付けたうえで、基本方針案を作成したい考えです。
横浜市では区役所を含めた公共施設は、維持管理を適正に行うことで建築から最大で70年間にわたって使う方針を決めていますが、区役所では最古となる神奈川区の庁舎(本館)はすでに建設から58年が経っており、保土ヶ谷区や旭区の庁舎も“築半世紀”という状況。
70年使うという基本方針は存在するものの、周辺の再開発時や代替地を確保できた場合、建物の老朽化度合いなど、タイミング次第では築70年以内でも建て替えは行われており、関内に置かれていた横浜市役所も築60年超で桜木町で移転新築を行っており、区役所も瀬谷、戸塚、南、金沢、港南の5区では過去10年内に庁舎が建て替えられています。
今回、1963(昭和38)年から1987(昭和62)年までに建てられた築30年以上となる9つの区役所庁舎を対象に建て替えの可能性を探る調査を始めるもので、このなかには1978(昭和53)年に建てられた港北区役所(総合庁舎=区役所・消防署・公会堂)も含まれています。
市が管理する公共施設は市内に約2600あり、生活に直結する学校や市民利用施設に比べると、区役所建て替えに対する優先順位は必ずしも高いとはいえないものの、庁舎は区を象徴する建物。公会堂などの市民向け施設が含まれるケースも多いだけに、調査の行方に注目したいところです。
調査の対象となっている「築30年以上」の庁舎は次の通りです。
(※)区役所名の部分から各区役所のアクセスページへリンクしています。横浜市では区役所の庁舎や消防署、公会堂などをまとめて「総合庁舎」と呼んでいます
1963(昭和38)年竣工
地上5階・地下1階建て/9,192平方メートル
※庁舎内に神奈川県税事務所、神奈川消防署あり
※別館あり:1990(平成2)年竣工:地上3階・地下2階建て/5,676平方メートル
1969(昭和44)年竣工
地上7階・地下1階建て/12,387平方メートル
※庁舎内に横浜市消防局(本部)
※別館あり:1999(平成11)年竣工:地上3階・地下1階建て/750.38平方メートル
1971(昭和46)年竣工
地上5階・地下1階建て/10,487平方メートル
※庁舎内に横浜市消防局(本部)、旭公会堂あり
※別館あり:1994(平成6)年竣工・地上1階建て/356平方メートル
※新館あり:2002(平成14)年竣工・地上3階建て/882平方メートル
1978(昭和53)年竣工
地上4階・地下1階建て/11,800平方メートル
※港北公会堂棟:1978(昭和53)年竣工:地上2階・地下1階建て/1,669平方メートル
※港北消防署棟:1978(昭和53)年竣工:地上2階建て/939平方メートル
1983(昭和58)年竣工
地上7階・地下2階建て/9,154平方メートル
※別館あり(隣接の歴史的建築物「旧神奈川労働基準局」を2015年から活用):1928(昭和3)年竣工:4階・地下1階建て/3,314平方メートル
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・昭和56年以前築の小中学校は建て替え方針、日吉台小や台中、高田小など先行対象か(2017年2月18日、学校は先に調査・設計が進んでいる)
・日吉6丁目の市営「さかえ住宅」を建て替え、2023年度に住民仮移転へ(2021年3月8日、市営住宅も築70年以内でも建て替えが行われる)
【参考リンク】
・【公募型指名競争入札】区庁舎建替えに関する検討業務委託(横浜市市民局、2021年6月30日掲載)