神奈川県議会は今月(2020年)5月22日に港北区の嶋村ただし(公)県議(自民党、当選5回)を第113代の議長に選出しました。新型コロナウイルスへの対応で注目を浴びる神奈川県。黒岩祐治知事とともに緊急事態宣言下で県政を代表する立場に選ばれた新議長の嶋村さんに話を聞きました。
港北区の選出議員が神奈川県議会の議長に選ばれるのは、嶋村さんの父親で、1976(昭和51)年に第69代議長に就任した嶋村尚美(なおみ)元県議(当選10回、2016年死去)以来のことになります。
議長就任について嶋村さんは、「私はいわゆる“二世議員”として議会に入りましたが、昔から嶋村を知っている方が港北区内にたくさんおられ、支持していただいたからこそ、こうしてやっていける。地元の方には大いに感謝しています。期待に応えられるような活躍を見せることができれば」と話します。
樽町の旧家である嶋村家は、嶋村さんの父だけでなく、祖父の嶋村力(つとむ)氏が横浜市会15代議長(1951=昭和26年)に選出されるなど10期40年にわたって市会議員をつとめ、叔父にあたる嶋村勝夫(まさお)氏(都筑区、35代議長)も市会で9期36年にわたって活躍しました。
政治家一家に生まれ、結果的に横浜市と神奈川県で三代続けて議長に就任することになった嶋村さんですが、自身は当初から政治家を目指していたわけではなく、会社員経験のほうが長いという経歴を持ちます。
富士見幼稚園(綱島西1)を振り出しに、大曽根小学校(大曽根2)、大綱中学校(大倉山3)、港北高校(大倉山7)と地元で育ち、東海大学理学部を経て、市内にあるNECグループの株式会社ワイイーシーソリューションズ(中区山下町)にプログラマーとして入社。
「最初はプログラマーだったはずが、いつの間にか営業をやることになっていました」と、黎明期のIT機器やオフィス向けコンピュータ販売の責任者をつとめるなど横浜のビジネス界で奔走し、サラリーマン生活は政治家歴より長い23年間にわたります。
「父も祖父も叔父も若いうちから議員をやっていましたが、私は64歳でまだ半分(5期目)くらいしか政治家を経験していないことになりますね……」。
知事とともに県民を代表する存在に
そんな嶋村さんが「大変名誉ある職」という議長に就任したのは、神奈川県など首都圏に緊急事態宣言が出されていた先週5月22日(金)のこと。
緊急事態宣言下では、外出自粛や店舗・施設休業の要請と解除などは知事が判断することになっており、これまでになく神奈川県の動向に大きな注目が集まりました。
「二元代表制」として知事とともに県民を代表する立場の県議会。「議会の考え方や判断は、なかなか県民の皆さんに伝わりづらい状況ですが、今後も105人の議員を通じて地元の声を県や国へ届けていきたい」といい、県議会としても、SNSの積極活用などで情報発信の強化を検討しているといいます。
一方、神奈川県内では今週5月25日(月)に緊急事態宣言が解除されたとはいえ、学校や公共施設の再開や経済活動の再起はこれからで、「東京2020オリンピック大会」の1年延期をはじめ、県内でのイベントや式典開催など、今も多くの動きが止まっている状態。議長としての対外活動も制約が多いのが現状です。
昨年は地元の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)で決勝戦などが行われた「ラグビーワールドカップ2019」の成功へ向け、「県議の会」代表として尽力してきた嶋村さん。「港北区をはじめ県内4カ所が会場となっている東京2020大会は楽しみにしていましたが、こればかりは仕方がないこと」と前を向きます。
議長の任期は慣例で1年間。その間も港北区での町内会や社会福祉協議会などの地域活動は続けていく考えで、「地元の活動と両立できるよう、誠心誠意頑張っていきます」と話していました。
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