<川崎市の監査結果>日吉住民と高津区民の利用が多かった「井田病院」 | 横浜日吉新聞

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中原区井田2丁目にある川崎市立の「井田病院」をもっとも利用していたのは、下田町をはじめとした日吉高津区の久末・蟹ヶ谷エリアの住民でした。

高台にある井田病院の周辺には日吉の住宅街が段々状に広がっている

川崎市はこのほど、井田病院などの川崎市病院局を対象とした2019(令和元)年度の「包括外部監査による結果報告書」を公表し、井田病院の交通アクセスや地域別の患者割合も取り上げられています。

このなかでは、井田病院について「収益性や病床利用率の改善が課題となっているが、病院への交通アクセスの悪さが患者増への制約になっている可能性がある」(同報告書)とし、病院局の資料(データ集計期間2018年4月~11月)から地域別の患者割合を監査人が抽出しました。

同じ中原区にある元住吉駅のホームから井田病院(写真右奥)は見えるが徒歩で25分ほどかかる

これによると、患者の67%は川崎市民でしたが、残る30%が横浜市民で、東京都やその他が4%という結果。

さらに詳細な所在地別の患者状況を見ると、もっとも多かったのが下田町の在住者で8%。続く高津区久末が7.9%の僅差で2位となり、病院が所在する中原区井田は6.8%で3位にとどまっています。

特徴的なのは日吉エリアと、隣接する高津区久末・蟹ケ谷などからの患者が多いこと。

井田病院のアクセス情報ページでも日吉駅から案内されている

公開されている15番目までに入っている地域で見ると、日吉は川崎市外ながら3つの地域(下田町・日吉本町・日吉)で18.4%にのぼり、市内ではあるものの区外高津区(久末・蟹ケ谷・子母口・千年・明津)も19.9%と2割を占めます。

一方、井田病院が位置する中原区(井田・木月・下小田中・上小田中・井田中ノ町)は5地域で15.7%にとどまっています。

中原区の井田(6.8%)や木月(2.9%)、井田中ノ町(1.7%)は直通バスが通じているものの、直通バスの走っていない久末(7.9%)や蟹ケ谷(5.3%)、子母口(2.9%)といった高津区からの利用が多いという結果が示されました。

井田病院前の道路を隔て目の前(写真右側)は横浜市港北区の日吉や下田町という環境にあり、東急バスの「井田病院正門前」停留所も片方は横浜市側に置かれている

中原区にありながら、高津区のさくらが丘周辺や、道路一本を隔てて横浜市港北区と、3地域に近接した位置にあり、バス路線の運転本数も多くはない井田病院ならではの傾向と言えそうです。

なお、同報告書では、井田病院の駐車場が整備される以前には、約1500万円をかけて走らせていた無料シャトルバス(2016年3月終了)の運行を現在は行っていないことや、日吉駅からの路線バス(東急バス「日23系統」日吉駅~さくらが丘)についても、「日吉駅前の道路が狭く歩道も無いため、運行本数をこれ以上増やせない」といった事情も記します。

井田病院には川崎市バスのバスターミナルも近年新装され、武蔵小杉駅や川崎駅、武蔵新城駅方面への路線が運行されている

そのうえで、「患者は高齢者の割合が高い一方で、直通バスがない地域が一定数存在する。井田病院では、平成29年度に駐車場の整備を行ったが、高齢者の移動手段としては、自家用車以外での通院手段の確保が求められる」と指摘していました。

【関連記事】

<井田病院>武蔵小杉行の無料シャトルバスを3月で廃止、市バスの増便で(2016年3月8日、かつて無料バスも運転していた)

限りなく日吉に近い「井田病院」、川崎市民の利用増へ交通アクセス改善着手(2016年2月13日)

【参考リンク】

川崎市立井田病院の公式サイト

川崎市「包括外部監査」のページ


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