【法人サポーター会員による提供記事です】大切な衣類は、一枚一枚を「手仕上げ」で扱いたい――日吉で創業してから半世紀超、先月(2018年9月)で、オープンからちょうど55年目を迎えた老舗クリーニング店が、二代目にバトンをつなぎ、地域に根差すお店の経営を行っています。
かつて第1回目の東京オリンピックが開催された年、1964(昭和39)年の9月に、箕輪町3丁目の東急東横線の高架沿い、かつては線路が横を走っていた場所で創業した「山森クリーニング」(有限会社山森クリーニング)は、当時20代だった山森秀三(しゅうそう)さんが独立起業した店。
富山県砺波(となみ)市出身の(山森)秀三さんは、就職で上京。10年間、日吉や元住吉からも近い苅宿(かりやど=川崎市中原区)のクリーニング店で修業します。
独立前の経営者に言われたことは、「ここから遠くで起業してはダメ」。相模大野(相模原市)や、中山(緑区)の駅近くでの開店も考え、物件を見てまわったといいますが、「当時の大きな取引先も日吉周辺にあったため、最終的に、ここでの開業を決めたんです」と、箕輪町でお店を開くことになった偶然を(秀三さんは)懐かしみます。
当時の箕輪町の風景は「田んぼだらけ。(旧)アピタ日吉店(箕輪町2、1977年創業・2015年閉店)もなかったんですよ。お店の横の道は砂利(じゃり)道で、田んぼの用水路がすぐ近くを流れていました」と、当時の風景を想い起こす秀三さん。
今ではお店に洗濯物を客側が「持ち込み」するのが当たり前の時代ですが、その頃は「クリーニング店は、お客様のところに訪問し、回収、そして配達をする時代。遠くは、たまプラーザ(青葉区)、や、高津区野川、三ッ池公園付近(神奈川区)、高田エリアへもよく出向いていました」と、日吉を拠点に広範囲での営業活動を行っていたといいます。
大手クリーニング会社の社長からのアドバイスもあり、少しずつ「持ち込み」を増やす戦略へと事業を展開していった秀三さん、妻の弘子さんとともに営む店は繁盛し、夢見ヶ崎(幸区南加瀬)に1968(昭和43)年に支店を出店。その後も業績は拡大を続け、「一時期は、チロル幼稚園(日吉3)近くや、日吉駅近くの普通部通り(日吉本町1)でも取次店を開いていたんですよ」と、高度成長期以降の事業拡張、そして現在の店舗のみ残ったという歴史を振り返ります。
2008年に事業継承、「手仕上げ」にこだわり顧客獲得へ
現在の店舗は、1993年に建てられた、創業時からの“三代目”にあたる建物。
「コンピューター関連企業での勤務経験を経て、実家の仕事を手伝うことになりました」と、現在、同社代表を引き継いだ、二代目の山森秀樹さんは、20代後半から同店に入店しています。
秀樹さんは、創業者の父・秀三さんと母・弘子さん、そして金融機関での勤務経験もある妻の直美さんと、家族一丸となり、同店を切り盛りしてきました。
同店がこだわるのが、「手仕上げ」を丁寧に行い、顧客の元に“すっかり綺麗になった”洗い上げ品を返すこと。
機械などでのクリーニングの後に、秀樹さんが丁寧にアイロンをかけ、“ここでしかない職人技”で預かり品を扱う様は、一部の特殊品(皮・着物製品、大型布団など)を除き、箕輪町の自店舗内で洗い上げていることもあり、「よりお客様の求める仕上がりに近付けるよう、父の姿も見ながら、しみ抜きの技術など、クリーニング職人としての研鑽(けんさん)を積んできました」というように、まさに地域に根付いた“顧客目線”を常に意識した仕事ぶりを心がけているかのように映ります。
「ここでしかない仕上げ感を実感いただけているからなのか、日吉近郊から遠く引っ越ししてからも、わざわざクリーニング品をお持ちくださる方もいらっしゃるのです」と、遠く湘南エリアや県央・相模原方面からも「常連として」来店する人も。
事業継承を無事終えることができたこともあり、半世紀を越えたクリーニング店がこれから歩むべき方向性は、「より良質な仕上げをひたすら目指すこと」と、二代目の秀樹さん。
創業者の秀三さんが語る「町内会、商工会の人々は、まとまりがあって、親切な人が多い。まさに“思いやりの街”なんです」という箕輪町のまち。
箕輪町や日吉エリア、そして日吉周辺から通って来る人々に向け、“手仕上げ”でのクリーニングという、半世紀以上も継承されてきた技術力、その向上をさらに目指す同店は、さらなる半世紀先を見据え、新しい街づくりを行っていく箕輪町の歴史を、地域の人々とともに作り、そして共に歩んでいく予定です。
なお、同店の営業時間は朝8時から、平日は20時まで、日曜日と祭日が19時まで。年末年始やGWなどの長期休暇ありとのことです。
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【参考リンク】
・有限会社山森クリーニング(Yahoo!ロコ)
(法人サポーター会員:箕輪町商工会 提供)