2年半後は新横浜がご近所に!日吉・綱島に必要なのは来客をもてなす宿泊施設 | 横浜日吉新聞

横浜日吉新聞
ひよしコラム 日吉コラム

ひよしコラム何十年に一度あるかないかの日吉と綱島での再開発計画は、少しずつ輪郭が見え始めてきました。アピタ日吉店跡地などの「日吉箕輪町計画」と新綱島・綱島駅東口の再開発に関しては、具体的な内容こそ公表されていないものの、箕輪町はマンションを中心とした住宅と小学校が建てられ、綱島は商業施設も含めた2つの高層タワーマンションに加え、新綱島地区には各種商業ビルが新たに生まれるとみられます。

忘れてはならないのは、これらの再開発は新たな鉄道によって始まっているということです。相模鉄道と東急電鉄が相互直通運転をするための“新地下鉄”である「相鉄・東急直通線」は、2019年4月に開業が予定(※)されています。

東横線の車窓からも新たな線路を作っている様子が見える(箕輪町付近)

東横線の車窓からも新たな線路を作っている様子が見える。新線開通後は新しい線路側を東横線が走る(箕輪町付近、2016年8月)

日吉住民からすると、今後は目黒線の始発電車が大幅に減らされるうえ、東急東横線の線路沿いでは工事だらけで、今は少し重たい気持ちにはなっているのですが、新線開通後は新横浜や相鉄線方面への分岐駅として、日吉の地位がこれまで以上に向上するのは確実です。現在は日吉駅を通過している東横線の「特急」や「特急Fライナー(西武や東武線への乗り入れ特急)」の停車駅となる可能性も高まります。

綱島では、鉄道工事はすべて地下深くで行われるため、新駅の建設地周辺以外では大きな影響はないとみられます。また、「新綱島駅(仮称)」が生まれることを契機に再開発が進み、街の価値が向上するだけでなく、狭あいな道路で事故の危険性が高い駅東口の改善が行われることは間違いないでしょう。

「新横浜はこんなに近かったのか!」となる

そして、2つの街をさらに発展させるために考えていきたいのが、日吉と綱島は、約2年半後に新横浜と同じ沿線になるという点です。

相鉄・東急直通線のパンフレット(公式ホームページより)

相鉄・東急直通線のパンフレット(公式ホームページより)

現時点ではなかなか想像が付きづらいのですが、日吉駅の横浜方面ホームから電車に乗ればわずか2駅先、10分もしないうちに新横浜の中心部に着いてしまうようになります。武蔵小杉へ行くような感覚といえるでしょう。

綱島の場合、次の駅は新横浜なのですから、もっと身近です。地下深くにある新綱島駅のホームに来た電車(ホームは1本しかないので、間違えて渋谷方面行に乗ると日吉へ着いてしまいますが)に乗れば、5分ほどで新横浜駅です。「こんな近かったのか!今までの菊名駅の乗り換えは何だったんだ?」と驚かされることになるはずです。

近くなることで、日吉や綱島の住民が新横浜へ遊びに行ったり、買物をしたり、新幹線に乗ったりする時は便利になりますし、逆に新横浜に住んでいたり、働いていたり、訪れたりする人にとっても、日吉と綱島は、わずか1~2駅で着いてしまう身近な場所となります。

企業勤務が5万人、イベントで7万人が訪れる街

イベント開催日には多数の人が押し寄せる新横浜駅

イベント開催日には多数の人が押し寄せる新横浜駅

新横浜の人口自体は1万人超ですが、駅から徒歩10~15分圏内の篠原町や大豆戸(まめど)町には宅地が多いため、多数の人が住んでいます。企業は、新横浜に本社を置く上場18社を含め、2012年調査では約1900社の事業所に5万2000人が働いているといいます。

スポーツやイベント開催時は、日産スタジアムが最大で7万2000人、横浜アリーナは最大1万7000人が街に押し寄せることになります。アイススケート大会の会場としても知られる新横浜スケートセンターも最大で2500名の観客を収容できます。

新幹線を降りて乗り換えれば綱島や日吉はすぐの場所となる

新幹線を降りて乗り換えれば綱島や日吉はすぐの場所となる

今日(2016年8月14日)のように、日産スタジアムで「ももクロ(ももいろクローバーZ)」が公演し、横浜アリーナではジャニーズのコンサートが行われるような場合、少なく見積もって7万人以上が新横浜の街にあふれることになります

たとえば、日吉は慶應義塾大学日吉キャンパスや慶應高校、日本大学高校・中学校などの学校があり、最大約2万人の学生・生徒が所属しているため、平日昼間は多くの人が訪れる街ですが、それでも新横浜のレベルには及びません。企業が休みの日でもイベントで人があふれる新横浜の街が持つ集客力はすごいものがあります。

そんな新横浜の街と1~2駅の近さになる日吉や綱島では、新横浜と同様にこれからは外からの客を招くという視点が必要になるのではないでしょうか。

長い温泉の歴史は、都内や横浜中心部にはない価値

2015年までは綱島駅東口で旅館が営業していたが現在は休止中

2015年までは綱島駅東口で旅館「きよ水」が営業していたが現在は休止中だという

まず必要なのが宿泊施設です。現在、日吉と綱島にはビジネスや観光で宿泊できる施設は1つもありません。かつては旅館が存在していましたが、昨年までにすべてなくなっています。

外からの人を招くためには宿泊施設は駅に近いことが条件となります。ただ、残念なことに日吉駅の近くではホテルを作れるような土地はありませんし、そうした動きは微塵も見えません。そもそも、駅周辺ではマンションも宅地も足りていません。

しかし、綱島には東口にこれから再開発が行われる場所が多数あります。再開発の高層ビルは大部分をマンションとする方針ですが、一部のフロアをホテルにするのはどうでしょう。また、これから建設が想定される新綱島駅周辺の民間ビルを活用する方法も有効です。

ホテル機能も付加した現代版の「東京園」が欲しい(2012年撮影)

ホテル機能も付加した現代版の「綱島温泉・東京園」が欲しい(2012年撮影)

特に綱島は大正時代から温泉とともに歩んできた歴史があり、温泉によって外からの人を多く招いてきました。現代版の温泉付きホテルを作ったとしても、まちづくりの方向性としては間違っていないはずです。

わずか1駅でアクセス可能な新横浜からの客はもちろん、米アップルの研究所ができ、慶應大学も近くにあるので、世界から訪れる研究者やビジネスマンにも喜ばれるでしょう。わざわざ都内や横浜中心部に泊まるよりも、1世紀以上の伝統を持つ温泉に価値を見出す人は多いと思われます。

マンションや商業施設を新設することで居住者を増やすだけでなく、日吉と綱島が遠くからの人を招ける街となれるのかどうか。そうした視点を持ちながら、今後も再開発の行方に注目してまいります。

※2016年8月追記:「相鉄・東急直通線」については、事業主の鉄道建設・運輸機構がこれまで示していた「2019年4月の開通予定」を「2022年度下期(10月以降)に開通」と3年半ほど延期すると2016年8月26日に公式発表しました。相鉄・東急直通線に関する最新の記事はこちらをご覧ください。

【関連記事】
日吉と綱島の風景が一変する5つの巨大再開発、2016年5月の最新動向をまとめました(2016年5月22日)


カテゴリ別記事一覧